先日、右上の歯をある患者様は抜きました。右上の歯だけがだんだんぐらぐらしてきて悪く、いつかもうこの歯はダメになると思っていたそうです。
その患者さんは本人の話によると、今までこの歯を2回かぶせ直したことがあるそうです。そうして今まで何とか頑張ってきたのだが、もうかなりぐらぐらするのでもう限界だと思う。これを抜くことになったらどうしようということで抜く前、以前に既にどうすべきかと言う相談を受けていました。そして相談の中で今度これがダメになりそうになったらもうインプラントで行きたいと言うことに話としてはなっていました。
そうこうしているうちにこの本人の気になっている歯の上のかぶせ物だけがある日突然取れたのです。患者様から連絡があり、歯の根っこだけが残っているが、この根っこがどんどん腐って顎が悪くなっていくのではないか、心配だから1度見てほしいとありました。そして急患で来てもらい、お口の中を見ると、やはり上の歯はなく根だけが残っていました。そして治療計画としてはこの根を抜いて、そこに一旦仮歯を入れる。仮歯はその歯を抜いた当日入れる。そのすることによって、歯が全くないと言う期間をできる限り少なくすると言う方法です。
そして歯茎が治った頃インプラントをする。治る期間としては、おそらくおよそ2ヶ月ぐらい後になる。インプラントを入れた後、歯茎や骨に十分なじむ。さらに2ヶ月ほど待って後、上にかぶせものを入れると言う流れとなりました。
もちろんこれはあくまでおおよその流れであり、骨や歯茎の治り状態によっては、その期間はさらに長くなることも考えられます。
そして根を抜いたのですが、その時に抜歯した穴にコラーゲン用の特殊な薬を入れました。薬といってもゲルのようなものです。この薬をなぜ入れるか?それは、歯を抜いたままだと骨や歯茎は多少減っていき、そこのところが抜いたところがくぼんでしまうのです。この凹みを最低限に抑えるためです。理想はもともとあった骨や歯茎のボリュームと同じ位丸くふっくらと膨らんでいる状態になることです。
しかしそのような事はまぁまずあり得ません。20歳の人の歯を抜くのとは状況が違いますから。細胞の再生力などを考えると、どうしてもロスするわけです。そのロスをできる限り抑えるために抜いた直後に特殊なゲルを入れたり、もしくは場合によっては本人の血液を採取して、血中の白血球などの成長因子だけを取り集めた凝縮した自身の活性因子となる凝縮した血液を入れると言う方法もよく行っています。このような方法をPRFと呼んでいます。このPRFを用いた方法は、抜歯する時点でも既にこれをやるべきであると言う判断もありますし、先ほど書いたような薬のゲルを入れると言う方法もあります。インプラント治療する際には、事前に歯を抜いた後にインプラントをするということが決まっていれば計画を立てることが可能です。
ですので、もしインプラントにするかもと言う可能性がある場合には、早めに相談を受け、骨や歯茎が減らないような対策を考えることが得策です。