最近の研究では多くの子供たちが急激に歯並びが悪くなっています。実はこれは子供だけに限ったわけではなく、大人でも特に高齢者でも歯並びが悪く、この歯並びが悪くなっていけば、いよいよ様々な病気、例えば誤嚥性肺炎など危険な命に関わるリスクの高い病気にかかるであろうと言う歯並び、口の中の方を多く見受けます。
歯並びが悪くなっている子供たちの多くの原因の1つとして、出生児から1歳までの母乳吸啜がうまくいかなかったということが考えられます。それは母乳が出すぎる。逆に出ない、飲ませる姿勢が悪いなど、様々な原因が分析されています。一歳までに1つの大きなハードルがあるわけです。
そして小さな赤ちゃんはハイハイをするわけですが、これをあまりやらせず、できる限り早く立たせようと言う保護者の方が多いです。これが実は良くないのです。赤ちゃんはハイハイをしたり、つかまり立ちをしたりと言う期間をある程度しっかりと取ることが全身の健康、脳の発達と大きな関係があり、ひいてはそれは頭蓋骨、骨の成長と大きく関係があるので、とにかく早く歩かせようと言う事はやめたほうがいいです。本人が自然に歩くのを待つべきです。また離乳食を早期に開始している保護者の方をよく見受けますが、それも本当はやめたほうがいいです。これは歯科的にははっきりと根拠があり言えるのですが、残念ながら現状の市町村の行う保健指導等では、他領域の専門家もそのようなことになっていないので、統一見解がずれている部分もありこの正しい情報をしっかりと伝えれないことが残念です。私自身、公共の場で母親教室などに講師として参加することがありますが、行政の様々な立場を配慮し、あまりこのことには突っ込んで、離乳食の問題点を解説することができませんので、ここで今個人の見解として述べられる場所として述べさしてもらっています。正しい顎の発達や頭蓋骨の成長を考えた場合には、離乳食は最小限にすべきですし、早期に離乳食を開始するのも良くないです。では何を食べさせれば良いかといいますと、実は大人とほぼ同じで良いということなのです。
そうなると、歯もないのに噛めるのかと言いますが、実はこの小さい時期に前歯が2本ぐらいは出始めますが、大体半年から1歳位で出てきます。この時期から前歯で必死に引きちぎる行為を子供はすべきなのです。この必死で引きちぎる行為をしていくと、上顎の骨が十分に発達します。その基礎ができてきます。逆にそれをしていない場合、上顎の骨は未発達です。
さらには現代の食事は軟食化の傾向にあり、噛む回数も減っているので、いよいよ頭蓋骨の成長発育は弱いことが予想されています。
また私たちは現代生活の中であまり歩かなかったりすると言う運動不足もありますし、スマホを高い頻度で使っていますので、姿勢が悪くなったりと言うようなことも考えられます。
現代生活は便利でもあり、一方で様々な矛盾も抱えていると言うことなのです。健康のために何が本当に必要なのか、何が大切なのかを今一度気をつけましょう。