先日患者様から矯正の費用に関しての質問がありました。
子供の矯正費用に関して小学校1年生から3年生位の2年間で行う筋肉のトレーニングを用いたマイオブレース矯正、筋機能療法、シリコンのゴムのようなものを用いて筋肉の姿勢のバランスを直す方法のことです。この矯正方法は器具を使ってぐいぐいと歯を押すというよりは、自らの本来の持っている筋肉の動き、舌の筋肉の動きなどを正常化させて正しい生理的な自然な本来DNAの設計図通りの位置に歯が生え上がっていき動くようにとする、とても画期的な治療法で、小学校低学年のある一時期の成長期を利用すると成功すると言われているものです。
当院でもしこの治療を2年間行うと約400,000円弱の費用がかかります。このマイオブレースと言う筋機能療法は東京などの関東では特によく行われている治療法ですが、この正確な治療プログラムに基づいた指導療法を行っている医院はまだ少ないです。またこの治療を行うと費用としては当院よりも多少安いとこもあるかもしれませんが大抵の場合はこれよりもより総額的には高い場合が多いかと思われます。
ところがこの患者さんはこのマイオブレース・アクティビティーズの装置だけが売っている医院を近くで見つけそれが80,000円で売っているそうなのですが、それを買うそうなのです。子供のために。トレーニング法をこちらではかなり包み隠さず聞かれたら教えたりしているのでそれを子供に伝えて自分が指導すればうまくいくのではないかと言うことなのです。ちなみにこの方はご自身が針金を使って矯正をしていますが、当院では針金やインビザラインなどのマウスピース矯正を受けたとしてもすべての患者さんに治療終了後にいかに長持ちするかと言う重要な観点の上から筋機能療法、マイオブレース矯正の指導トレーニングをかなりの部分、サービスとして教えています。
先程の約2年間で行われる小学校低学年の矯正治療は約400,000円ほどと言いましたが相場でも大体それぐらいに近い額で、その治療費のほとんどはトレーニングの2年間のプログラムの費用と言っても過言ではなく、装置の費用と言うよりは指導料の部分です。ちなみに例えば塾で言えば塾の教科書代、テキスト代等が仮に2万円だとすると実際の塾に1年間行けば600,000円かかるとしまして、そのような費用負担になるのではないかと思いますが、テキストだけを買って母親が教えるから残りの600,000円を払わないでも成果が出るのではないだろうかと言う話になるかと思います。残念ながらこれは難しいと思います。というのも他院で治療している矯正中の患者さんがよく途中から医院を変わりたいと相談に来ることがあるのです。
そうすると、残念ながら装置を買っていくら、指導料は別途1回5000円と10,000円とかと言う請求を受けているようなのですが1回や2回位指導を受けたから、成果が出ると言うようなものではないのです。やはり成長期2年間と言う期間を経過を見ながらやっていくことがプログラム全体としてもう仕組みとなっているので、その部分だけを買ったりしてなんとかすると言う事は不可能なわけです。ですが入り口部分としての安さに魅力を感じてしまい、そのような行動をとっている保護者の方がたまに見受けられるようです。非常に残念でなりません。そして結局当院に再度受診をすることになるわけですが、そうするとやはりどうしてもプログラムとしての費用なので全体の費用がかかってしまいます。
よくよく考えて欲しいのですが、もし保護者の方が子供を塾に通わせる場合あるいはスポーツを本格的にやらせようと思っている場合、より安い塾に入れるでしょうか?それよりもその子に成果の出るところを選んだ方が良いのではないでしょうか。高ければ良いと言うわけでは無いですが、安いと言う事はかなり私は危険ではないかと思っています。なぜなら安いと言う事はそのもの自体をその金額で渡すことができるのですが、それ以上のサービス内容、使い方、今後やらなければいけないこと、困ったときにどうしたらいいかなどフォローは何もないと言うことです。これが日本の矯正と、世界の医療における差としての非常に重篤な問題点です。
診断や情報、指導にこそとても価値があり、かつそのことをするために実は下準備や研究教育などにとても費用がそもそもかかっているわけです。そういった形にはなっていない部分に対しての費用を払おうとしない文化が日本にはあるかと思います。一方矯正の先進国アメリカなどではむしろ診断であるとかアドバイスに対してとても高い費用がかかり、全体の総費用の分配の中でそちらに当てられています。スポーツで言えばコーチをしてアドバイスする人間に高いチャージを支払っている有名選手はいっぱいいます。
診査、診断、アドバイスにこそ、価値があります。