あなたはアインシュタインを知っていると思います。かの有名な物理学者です。アインシュタインは数々の名言を残していますが、この天才的な相対性理論で有名な学者です。物理学者ほどの方が、人が幸福になるために大切なこととして1つの要素を伝えています、それは、なんと、口を閉じて呼吸すること、と言っているのです。アインシュタインは医者ではありません。希代の天才と言われた方が、様々な人生の経験の中で、そのようなことを結論づけたのだと想像しています。
我々歯科医師からしてみれば、これは非常に本質をついた一言であると捉えています。呼吸をどのようにするかによって人生は大きく変わると思います。もしその人が一生口を開けて口で息をするのか、もしくは口を閉じて鼻で息をするのか?これを想像してみたら結論は簡単だと思います。あなたもおそらく感じると思います、毎日毎日ずっと口を開けていたら、喉が枯れて体がおかしくなりそう、そう思いますよね。さすがに毎日ずっと口を開けて息をしつけている人は少ないように思いますが、どうでしょうか。実際にはよく周りを見ていると、なんとなく口が開いてゼーゼー言っている人っていますよね。そうなんです。現代人は結構習慣的に口を開けて口呼吸になっている方が多々見受けられるのです。そして意外にも長い時間1日の多くの時間を口呼吸しているのです。非常に危険なことです。
特に子供です。子供の時から、具体的には一歳、ニ歳そのような歳の頃からずっと口呼吸をしていて、これはとても危険なことです。ですが、不思議な位なぜかそのようなお子さんを見ます。それは1つにまず、一般の方が口呼吸は良くないと言うことをよく理解していないし、また意識もしていない。そして子供を育てている親自体が意外に口呼吸をしているのです。ですから、なんとなく子供も口呼吸になるし、そのような環境で過ごしている日常生活の中で、口呼吸が良くないと言うことを思わずに生きているのです。結果、習慣としての口呼吸というのが頻繁に起きていると思われます。
特に小さいお子さんの場合は、なんとなく軽く口を開けて息をしているだけだと、かわいい顔に見えるので、それで周りの親たちは大喜びしながら応援しているようです。もしこれが口からどんどん唾液が出て、場合によっては食べ物まで出てくるなどと言うような状況であれば、これは病院連れて行ったほうがいいんじゃないだろうかなどと思うかもしれません。ですが、そのような特殊な場合は少ないと思います。多くの場合、ほんのちょっと口を開けているに過ぎないからです、そして、そのような子たちが3歳4歳となったときに、保育園や幼稚園に入って、これがまた、なんと周りの子供たちもみんな口呼吸をしているので、口呼吸に疑問を持たずに、皆、そのような環境で生き続けるのです。そして、アレルギーや喘息、様々な疾患の予備軍へとなっていくのです。
私は常日頃、矯正治療の患者さんを見ていると、小学生、中学生位などのお子さんたちがなかなか口呼吸のまま呼吸の改善が見受けられません。そのような子たちに口酸っぱく、鼻で息をしなさい、口を閉じてねと伝えています。無論大人の矯正患者さんにもそのような事は僭越ながら大変しつこく伝えています。で、そのような患者さんたちはよくアトピーの方を見受けます。そしてアトピーなので、大抵の場合、皮膚科、耳鼻科等へかかっていたりするわけです。で、そこで行われている事は、何かと言うと、肌の症状に対して、何らかの塗り薬や飲み薬が出ている、鼻をよく通すための飲み薬が出ていたり、吸引が行われていると言う事かと思います。ですが、先ほど冒頭で述べたようにアインシュタインの言うように、経験的に、実はもう過去からわかっていることなのです、まずは口を閉じて鼻で息をすることです。それができないから困ってるんだ、と言う声が聞こえてきますが、私は患者さんにこのように伝えています。最初は鼻で息をするのはとても大変だと思います。しかし少しずつでいいから繰り返し、1分でもいいから鼻呼吸をしてまた少し休んで、鼻呼吸をしてください、ほんの少しずつでいいのでやり続ければだんだんできるようになっていきます。そしていつしか鼻呼吸ができるようになります。体を治すという事はそういう小さなことの繰り返しからスタートで良くなっていくものです。例えばいきなりプロのサッカー選手になれるわけでもなく、最初は全然上手に蹴れないボールを必死に練習してずっと練習し続けているはずです。
すべてのアレルギーやアトピーが鼻呼吸をすることによって治ると言う事は当然ありませんし、口呼吸以外の原因で、そのような病気になっている方もいっぱいいる事は事実なのですが、私も経験的にわかっているのです。何年もの間、小学生からずっと見てきてしつこい位鼻呼吸をしなさいと言って、ようやく鼻呼吸をするようになってから、アトピーの症状が消えてきている患者さんと言うのは多く見ているのです。私は皮膚科医ではありませんので、アトピーに対する皮膚科的な治療をしているわけではありません。アトピーに対する薬を処方することもありません。ですが、その子たちは長きにわたってずっと病院にかかっているわけで、その間ずっとアトピーの治療を様々な処方薬等で受けていたわけです。しかしなかなか改善しないし、呼吸も安定もしていませんでした。ようやく本気になって鼻呼吸に取り組んでくれて、鼻呼吸ができるようになった時、顔色は全く変わっていました。とても嬉しい瞬間でした。
すべての患者様がそのような形をたどると言うわけではありませんが、鼻呼吸をして人生の幸せをつかんでほしいものです。