先日左下の歯がだいぶ悪くなり、残念ながらその歯を抜かざるを得ない状況になっている患者さんがいました。その方ともうこれは残念ながら今まで頑張って使ってきたけれども、限界に来ているので、抜くことを一度考えましょうかと言う話をしました。そしてずっともっと長く使っていたいのだけれども、だんだん周りの歯茎や骨に影響が出て、さらには隣の歯にも影響が出るといけないので、ここで限界と考え諦めて抜こうと言うことになりました。そもそも普段特にそんなに痛みも出ていないし、実はこの抜かなきゃいけないかもしれない、歯にヒビが入っている、根が弱い、などと言う話はもう5年以上前から何度となく、レントゲンからは怪しいと言う話を2年に1回ほど伝えていたのですが、ほとんど痛みがないと言うこともあり、ずっと定期的なクリーニングで様子を見てきた状況でした。しかしこのたびはもうさすがに周りに影響が出るであろうということで進めることになりました。
そしてその患者様に今現在内科や整形外科などどこか病院にかかっているかと言うことを確認しました。これは当院以外にどこかクリニック、病院などにかかっていて、薬を飲んでいる、血糖値のコントロールを受けている、血液の検査を時々して指導を受けているなど、様々な状況を把握するためです。そのために他の医院へメールやファックスなどで手紙を書きます。そして先方の医院でどのような今治療が行われているか、あるいは問題点があるか、あるいは薬を飲んでいるなど情報を共有するわけです。歯科医院の方としては歯を抜くことになるので、外科的な処置で多少出血をするかもしれないと言うことを先方に状況を伝えているわけです。そしてもし患者様によっては様々な薬を飲んでいたりして、いちど一旦その薬の使うタイミングを医科の先生の方が変えたい場合もあるからです。また、糖尿病の血糖値のコントロールが悪い場合は、もう少し数字が良くなるまで待ってほしいと言うようなことを言ってくる方もいます。
このように現状をどのように体が管理されているかを医院ごとでお互いに情報共有すると言うのが最近の考え方となっています。その中で安全に歯を抜こうということなのです。ほとんどの場合はまず問題は無いのですが、まれにアドバイスをいただくことがあります。
例えば血小板かなり減少しているので、数値が安定が悪いので、もう一度検査した後に大丈夫かどうかを確認してからやったほうがいいと言うことを教えてくれる医科の先生もいました。また骨密度が低い人の場合には専用の薬を飲んでいることがあります。このような薬と歯の抜歯には関係があると一時期言われていました。しかし最新の知見では特には因果関係はないと言うエビデンスに変わりつつありますですが、その辺を慎重に一応状況を伝えてくれる先生もいました。
このようなことで私たちの歯科医院では、多くの患者様に特に50代以上の方ですが、他にかかっている病院はあるか、飲んでいる薬はあるか、などを確認し、その病院へメールやファックス等などで情報共有を行っております。また通常の歯科治療に関しては特に問題ないことが多いですが、外科的な出血を伴うような治療がある場合は、念のため先方にお伝えすることがあります。また、歯周病との関係は最近は因果関係があると言うことがよく言われていますので、今後この分野に関しての情報共有はさらに進んでいくと思います。現状では糖尿病に関しては必ず歯周病との関係をチェックするというのが一般的になっています。また、抗凝固薬などの心臓や血液を固めないための薬などを飲んでいる場合にも、歯周病との関係がさらに注意するよう促されていることがあります。