先日高校1年生の患者様で矯正治療中の方が訪れました。この患者さんはインビザラインの治療を中学生の時に始めました。マウスピースの矯正治療です。インビザラインとはマウスピースで歯を動かすと言う方法です。矯正治療と聞くと、一般的には針金が主流でした。歯の表面などに針金を貼り付けて、針金を用いて歯を動かしていく、これが最もオーソドックスな矯正治療方法の1つです。ですが、近年、ほぼ透明色のプラスチックのマウスピースを使ったマウスピース矯正というものが普及しつつあります。このマウスピース矯正と言うのは半透明ですから装置をはめてみてもあまり目立たないと言う特徴があります。遠目から見ると一見しては矯正の器具を入れていると言う事はほぼわからないでしょう。かなり近くに行ってみて、よーく見るとお口の中に何かはめているんだなぁというのがわかる位です。ポイントとしては見た目の問題ということです。矯正装置が目立たないと言う見た目の問題です。もう一つは矯正装置を外すことができるので、歯磨きはしやすいです。この2つがまぁポイントではないかと思います。ですが、逆に弱点もありまして、装置をしっかり入れてなければ動かないということです。
さて、この患者さんなのですが、実は中学生の頃は割合頑張ってやっていたのですが、高校に入ってからだんだんとやらなくなり、お母さんからも高校生になってからは学校にはめていっていないとの事でした。その結果、歯はあまり動いていないと言う状況で、チェックしても全然動いていないし、マウスピースもはまらないので、このままだと動かないよ。うまくいかないから必ず入れたほうがいいと言うことをしつこくアドバイスしていました。そして1年半位が経った頃、どうしてもマウスピースの合いかたが悪いので、再度制作することになりました。そして新しいマウスピースを渡して頑張ってやってもらっていたのですが、またしばらくしてサボり癖が出てしまったせいか、ちっともやっていなかったようで、久しぶりにお口の中を見てみると、これはちょっと残念と言う状態になっていました。
もしこれが大人の女性であれば結構頑張って入れる人が多いのですが、子供の場合親がお金を出しているので、いまいちしっかりやらずにサボっている子もいるわけです。無論大人の場合でもさぼっている人が残念ながらいます。これは治療の成果がどれだけ出るかと言うことに対して、自己責任を持っているのか、他己責任だと思っているかの差です。自分自身がしっかりと言われたことを努力しなければ、それなりの成果は出ないと言うことを自分自身の責任と捉えてやる人はしっかり良くなります。しかしまぁなんか親が言ったし、まぁ通っていればいつか先生が何とかしてくれるんじゃないかと。おんぶに抱っこのような状態ではそれなりにしか良くなりません。もっと言えばたいして良くならないということです。
そしてこの患者さんは残念ながらもう2年を経っているので、装置を再度作る3回目になりますので、費用が大きく発生しました。約500,000円ほどの費用です。これもまた親が払うわけなのですが、本人が、その親が精一杯子供のために協力していると言うことをよくわかってもらうよう私なりにコンコンと本人には伝えました。自分の体のために周りの親が一生懸命愛情注いでいる、子供のうちだからこそ、自分の体を本当に大切にし、大人に成長してほしいと言う親の願い、それを受け身ではなく、自分自身の成長だと思い精一杯受け止めてほしいことを伝えています。
またここで大事なポイントとしましては親子のこのような関係の場合、親がやってあげてる、金を払ってあげていると言うような態度を取らないことです。そのようなことを全面的に出してしまうと、子供のほうも自分はそんなこと頼んだ覚えはないとか、本当はやりたくなかったとか、何らかの言い訳をし始めるということが考えられるからです。そして、そのようなパターンを多く見てきているから、わかっていることなのです。中には親の方から後は自分の問題、自己責任だから、自分でどうなろうと、親としてはもうこれ以上何もしてあげられないから、自分でよく考えてやりなさいとはっきりと子供に言ってる親も見受けることがあります。
矯正治療は期間はおよそ2年です。それ以上期間がかかる場合にはさらに追加費用がかかります。また2年以上かかるのはかならずしも良いことではないです。それ以内に充分終わるはずですので、その期間を集中してやることが最も良いことです。