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入れ歯とリハビリ

2024年6月30日

先日入れ歯を作ったばかりの患者さんが見えました。この患者さん曰く、入れ歯がなかなかうまく使えないとの事でした。
あなたは入れ歯を使ったことがあるでしょうか?入れ歯の悩みは人それぞれで様々なことがありますが、単なる比較でもなく、いろいろな要素が絡んできます
この患者様は当初来られたときにほとんど合っていないような状態で、入れ歯を無理して使っていました。その無理して使っているとは?その入れ歯、入れ歯の裏側に安定剤がたくさんつけてあるのです。しかもそれがたくさんといってもかなりちょっと通常では考えられないような量なのです。それは入れ歯の厚みよりも安定剤の厚みの方が2倍位厚いのです。おそらくあなたには想像できないような状況かもしれません。この全く合っていない入れ歯を長年にわたって無理矢理安定剤を次から次へと足しながら使っていたのです。確かに安定剤を使えば強い痛みは出ません。しかしどうしてこのようなことが起きてしまったのかと言うと、痛いから毎回足して安定剤を長く使い続けたからなのです。もし当初ほんの少し痛ければそこに安定剤を使うと言うのも1つの選択かもしれません。ですが、その使うと言う量はほんの少しです。どうしてか?それは安定剤を使い続けると、ご自身の歯茎や骨が減っていくからです。事実、この患者様は歯茎がとっても減っていったということなのです。しかもこれは1ヵ月2ヶ月と言う単位ではなく、約3年近くこのようなことをしていたために驚くほど骨歯茎が減ってしまいとても厳しい状態となっていたわけです。
しかも様々な複雑な状況があり、この患者様は足が悪いために、あまり歯科医院に行っていなかったようです。すなわち車椅子などを使って生活をしていますので、普段外に行くことがとても億劫である。また出かけるためには家族や介助者の協力を得なければ出れない。そのために安定剤を使ってずっとしのいだまま3年間もの間生活していたのです。そしてなおさらに、複雑なことに多くの場合、この方の面倒を見ていたのは娘さんでした。そしてその娘さんに入れ歯安定剤をくっつけさせると言う作業をしてもらっていたのです。本人は自分で入れ歯を入れる事は一応可能なのですが、高齢なこともありあまり器用ではないため、それを娘さんにやってもらっていたのです。どうですか?この状況が皆さん想像できますか?このようなことを特に家族にやらせるとなると、どうしても喧嘩になってしまいますよね。実際、医院に通院されている時も娘さんとよく言い合いをしていることがあります。しかし、一方的に本人が娘さんを叱っているわけではなく、困ったときには、本人が泣き出すかのような態度をとり、娘さんをコントロールしていくわけです。いわば幼稚園児位の子供が母親に対して甘えてみたり、泣いてみたり、様々な態度を取り、母親の関心を得ようとすると言う行動パターンになっているわけです。これが70代の母親と50代の娘の間で起きていると言う複雑な状況なのです。
このような状況になってしまうと、単に入れ歯が合っている合っていないということだけではなく、感情の問題が常に激しく一番表に出てきますので、ちょっと何かあるとお互いが相手のことを強く言いすぎてしまったり、また誰かを悪者にした言動が出てきてしまったりとなるわけです。そして気持ちが前向きではないですからいよいよ成果は得られません。入れ歯の場合、入れ歯と言う道具を使いこなすと言うことになりますので、入れ歯があれば食事ができると言う事ではありません。その入れ歯を日々何度も何度も使い、自分の体の筋肉や舌に慣れさしていき、食事ができるようになると言うものです。まさにリハビリなのです。
一般的にリハビリと聞くと、例えば足を悪くして歩けなくなった人がリハビリをして頑張って歩けるようになると言うようなものがあるかと思います。この場合本人はとてつもなく大変な努力をしなくてはなりません。またこれを介助する専門家は、寄り添って応援することも大切ですしただ甘やかしているだけではダメですので、時としてとても厳しい言動も相手にかけていかなければ結果は出ません。結果を出して歩けるようになることが重要ですので、単に一緒にそうだよね。大変だよね。辛いよねとずっと甘やかしていて寄り添って本当にその人のためでしょうか?そんな事はなくて、時として厳しく、やれ!と言うしかない部分もあるのです。これは性格が良いとか悪いということではなく、そういう役ということです。結果を出すためにどのような役を全うしていくか。
さて、この入れ歯の患者さん、痛いから使わなかったということでした。状況を変えながら前に進んでいくと言う事は、人間と言う生き物にとってハードルを超えなければならないので抵抗感のあるものです。すなわち今までの安定剤を使った入れ歯でいつも娘と安定剤をつけろと言って喧嘩することも大変なのですが、それを長年3年間も続けて行ったために、新しいものをいざ自分で1人でやるとなると甘える相手がいなくなってその入れ歯を使っていなかったようです。
このような状況考えるに定期的に早めに入れ歯の状態を見てもらうことがいかに大事であるかと言うことです。また、足が悪いなどの理由で通院できない場合でも訪問診療などを受けて訪問歯科の治療を受けてアドバイスをもらっていれば、このような深みにはまる事はなかったのではないかと思います。

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