先日ある女性の患者様を治療しました。この方はいつもクリーニングで定期的に通っていた方です。大体3、4ヶ月に1度ほどクリーニングに来られています。もうだいぶ長い間通っています。今までにいろんなところを治療してきました。主には奥歯のかぶせものが悪くなって、セラミックでかぶせ直したりなどが多かったです。一方で、前歯も少しばかり治療をしています。前歯の場合は部分的な小さな虫歯が右や左、先の方などいろんなとこにあり、それを部分的に所々なおしていたわけです。それは1本だけの歯ではなく、前歯6本ほどそのような処置を行っていました。そして定期クリーニングに来るたびに、その表面の部分はプラスチックで詰めてありますので、毎度機械で磨いていました。これはプラスチックの詰め物ですので、機械で時々磨いてあげないと光沢が落ちてきたり、水分をどんどん吸収してぼそぼそとしてくるからです。
ですが、前回のクリーニングの時に患者様からだんだんなんとなく目立ってきたから、完全にやり直してもっと目立たなくできないだろうかと言う話が出ました。そしてこれについての治療計画を相談しました。
前歯の部分は所々がプラスチックで詰めてあり、なんとなく色が変色したり、茶色くなっていたりと言う劣化のような状態です。そうするとこの部分を少しずつ削って、詰め直すと言うのも選択肢となります。また全体的にセラミックでかぶせてしまうと言うのも良い方法の1つです。そして最近ではもう一つかぶせものではないダイレクトセラミックと言う方法を提案していることがあります。この人の場合、歯の表面だけをいっそう悪いとこを削り、厚さにして0.5ミリ位から1ミリ位です。その表面をお口の中で直接セラミックタイプのもので詰めると言うやり方です。
このやり方の利点としては全体をセラミックでかぶせるよりも削る量が少なくて済むということです。また人によっては治療回数が少なくて済む人もいます。これは人によってはですので、全員同じではありません。で今回はダイレクトセラミックと言う表面に直接、部分的にセラミックを詰める方法を行うこととなりました。ですので、この人の前歯表面1ミリ位の深さで一旦削る。また古い詰め物は一旦全部取り去る。そしてそこにお口の中で、直接セラミックを詰めていく方法を行ったわけです。この方の場合は基本的にはこの治療は1回で終わります。しかし、やる箇所が6箇所ですので、6本の歯ですので、さすがに1回ではできなく2回に分けてこの作業は行われます。1回目には半分の3本分を詰めました。これで大体時間1時間程度です。2回目も約1時間程度で3本分を詰めると言うことです。そうなると2回で終わると思われるかもしれませんが、実は3回目がありましてと言うのは直接詰めたセラミックの場合は一旦完全に固まってからお口の中でもう一度よく研磨する作業が大事なのです。研磨とは歯科の専用の機械で歯の表面を特殊な器具で磨くことです。一度完全に固まったダイレクトセラミックを専用の機械で、しっかり磨くことによってより光沢感やなめらかさを出すと言うことです。
このような話を聞いていると良いことのように聞こえるかもしれませんが、通常のセラミックをかぶせるものと違い、多少の弱点もやはりあります。どんな治療も長所と短所があるわけです。この治療の場合の短所としてはセラミックといえどもかぶせものセラミックよりは若干ですが、色味や輝きは劣るということです。これは患者さん自身にはわかりにくいことかもしれませんが、我々専門家としてはその差はあります。ですが、患者さん本人が日常生活上どのように見えるかと言うことが重要ですので、ケースバイケースでどちらを選択するかと言うことを相談しながら決めた方が良いのです。またもう一つここがとても重要なことなのですがダイレクトセラミックといえども、定期的なクリーニングに通っていただき、時々歯科医院の方で歯科衛生士が歯の表面を機械で磨くということが大事です。これを怠ると長持ち度が落ちるのです。ですので、手入れに関しては必ず頑張ってほしいのです。