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矯正治療と後戻り

2024年3月14日

先日、21歳の男性の患者様が来られました。この方は小学生から中学生にかけて矯正治療を行っていました。その後は定期的なクリーニングでずっと通っています。

お口の中を見ると、下の前歯あたりは残念ながら少し乱れています。矯正治療が終わり、針金を外し、最初のうちは特に問題はありませんでした。矯正終了後のマウスピースもある程度使っていたようです。

しかし残念ながら少し下の前歯が乱れていました。

矯正治療というものは大抵の場合、針金をつけたりして行われるものです。そして歯を動かしていくわけです。もし針金でない場合は何枚ものマウスピースを順番にはめていき、針金の代わりに歯を押して歯を移動させるという方法もあります。

いずれにせよ、外から力を加え、針金でなどで歯を動かしていくわけですが、この動かす期間は約2年位と考えてください。どうして2年なかといいますと、歯が動くということは、歯の周りの骨の細胞が活性化し、新しく骨ができてそして安定する、そういった生物学的なプロセスを踏まえて歯が良くなっていくのですが、その時間というものは、短すぎても長すぎても良くないのです。ゆっくりと着実に動かしていき安定していく。この時間は約2年位もし短すぎれば、それはちょっと無理があるスピードなのかもしれません。

そして長すぎる場合は、いつまでもその歯を揺らしてしまうために、骨の安定感が悪くなるかもしれないのです。ですので、大体そのような目安の期間があり、いつまでもダラダラとやると言うものでもないですから、患者さんは必ず約束の日に来て、確実に予定通りに治療が進むことを心がける必要があります。これを守らなければ治療の成果はいまイチとなります。

さて、先程の患者様にいろいろ聞いてみると、矯正終わった直後は頑張って後戻り防止用のマウスピースを入れていたけれども、途中から油断して入れなくなっていて、ある時あー少し戻ったかなぁと思ったけどもまぁこれぐらいなら大丈夫かと思って油断していましたと。そしてさらにずれたときに親に注意され叱られ、急いで毎日夜入れるようにしていたと言うのです。

結果的には大きくはないけども、若干はずれ、本人曰くそこまでは気にならないので、これぐらいなら充分きれいになったと思うということでした。

どうしても人間の生活行動ですので、必ずこうしろと人から命令されたからといって、親から言われたからといって、ドクターから言われたからといって、全てが守れるものでもありません。例えば英語のテスト100点を取ると言うことを目標とし、一生懸命単語を覚えるわけですが、90点なら取れるかもしれないわけで。

常にある程度の後戻りと言うものは存在しますし、後戻りしていないとしても、加齢とともにまた様々なことが起きる可能性があるので気をつけたいものです。特に気をつけるべきは以前にも書いていますが、鼻呼吸と舌の上顎につけている位置です。

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