矯正治療を行う際、歯を抜くことがあります。これは専門的な言葉ですが、小臼歯を抜くことが一般的には多いです。これから矯正をやってみようかなと思ってる人が、歯を抜くと聞くと、ちょっとびっくりするかもしれません。
ですが、歯を抜いて歯科矯正をしていくと言うのはとても多いやり方です。もちろん歯を抜かないでやると言う選択もありますので、それはまたおいおい詳しく説明します。
子供の歯科矯正の場合は、大人の永久歯を抜くような事はあまりお勧めしませんし、そんなに多くはないです。
しかし、体の完成してしまった大人の場合、もう骨がそんなに動くわけではないですし、曲がっている歯をきれいに並べるためには、どうしても歯を抜いて場所を作り並べていくと言う方法が取られることがあるのです。そしてなんとこの方法は、成人の矯正で、ほぼ8割以上行われている方法です。もしかしたらとってもびっくりしたかもしれませんね。
ではどのような場合に歯を抜くのでしょうか?それは例えば前歯がとても出っ歯のような状況だとして、それをできれば引っ込めたいと思っている。そうなると中に引っ込めてかければいけないのですが、前歯を抜くわけにはいかないので、前歯よりも奥にある小臼歯の部分を抜いて、その場所のスペースを利用して飛び出ている前歯を中へ引っ込めていくわけです。
あるいは歯が凸凹に乱れて並んでいる、このような場合も場所が足りないために、このようなことが起きていますので、場所の確保のために、小臼歯を抜歯します。そしてそのスペースを利用して、凸凹を紐解いてきれいに並べていくわけです
このように小臼歯を抜歯するケースはとても多いです。誤解して欲しくないのですが、歯を抜いた方が良いと言うことを積極的にお伝えしているわけではありません。抜歯をすると言う歯科矯正がどういうものなのかと言うことを説明するために、一般的な最も多い治療方法をお伝えしているのです。
実際の診療では、歯科矯正の相談を受けた際に、これは抜歯したほうがいいな、抜歯も選択の1つだなぁと思った場合、患者さんにその状況を伝え、どのように考えるかを一緒に話し合います。そうするとどうなると思いますか?あなたはもしかして以下のようなことを想像しているかもしれません。多くの患者さんが歯を抜くなんて怖いし、もったいないから嫌だ、と。
しかし実はそのようでもないのです、この出ている前歯は引っ込めたいので、歯を抜いてでもきれいにしたいと言う方が半分以上います。
あまりにも場所が足りない、スペースがない場合は、やはり抜歯をするのが良い方法でしょう。しかし、便宜抜歯をしなくても済む場合も多々ありますので、それはよく相談して治療方針を決めることです。
抜歯を希望する場合というのは多くの場合は、女性で、できる限り顔をコンパクトに見せたいと言う希望があるからです。歯を抜いて前歯を下げていけば、自分のなんとなく出ている感じの顔をより綺麗に見せれるということから来ていると思われます。
確かにそのようなことがあります。顔がコンパクトにまとまる場合には、これも正しい選択の1つであると考えられます。大人ですから、骨が今から形が大きく変わるということはないですので、便宜抜歯をして整然と並べることによって、歯周病や虫歯になりにくくなりますので、正しい判断だと考えます。
小臼歯抜歯しないでもギリギリ何とか並ぶ場合も結構ありますが、ここは悩みどころです。どうしてかといいますと歯を抜かないで全体を並べるということは全体的にはちょっと歯並びのカーブが大きくなるわけです。そうするとしっかりした顔になるということなのです。
歯を抜かないで並べたためにとても顔が大きくなったなどと言う事は決して起きないのですが、すべての歯が並んでいるアーチは、若干以前よりも大きくなるわけです。そうすると、ここからはその患者さんの気持ちの問題になってくるのですが、歯を抜くことがとても気持ち的に嫌だと思えば、抜かないで並べて、若干アーチは大きくなる。と言う方向で行くのか、。もしくは歯を抜いてアーチを若干小さくする。どちらを取るかなのです。
ですので、どちらが良いとか悪いとかではなく、どうしたいかと言う気持ちの問題です。
またその中間的なやり方というものが、最近はかなり研究開発されて進んできています。それは歯を抜かずに、歯の端を少し0.3ミリほど丸める方法です。
この小臼歯の便宜抜歯に関して、もう一つ皆さんにお伝えしておきたいことがあります。それは小臼歯は2本連続で同じ形の歯が並んでいます。ほぼそっくりの形の歯が2本連続で誰でも上下左右に並んでいるのです。そうすると、これを2本のうち1本なかったとしても機能的にはさほど困る事は無いのです。
ですからこの場所が一般的には選ばれるのです。他の場所の歯を抜いても確かに良いのですが、それぞれの歯の形が違っていて、役目が違っているためにあまり選ばれないのです。