こんにちは、今回はセラミックのかぶせ物の良さについて話をしたいと思います。特に歯周病との関係性に関して話をしていきたいです。
歯を治療する際には、かぶせ物に種類があるということは皆さんなんとなくわかるでしょうか?
例えば、金属の銀歯、セラミックの白い歯、プラスチックの歯など。かぶせて治療すると、それが見た目がどのように見えるかとか、自然ぽい歯に見えるとか、そういうことが気になったりする人も多いと思います。そういう意味ではセラミックが1番良いでしょう。また金額という意味からすると、セラミックではなく保険の歯を入れようと言う方もいるかと思います。金属でもゴールドなどを使えば噛み合わせがしっかりして良いのではないかと思っている方もいるかもしれません。
このようなセラミックの被せ物という話と、歯周病がどう関係するのか?と思われる方もいるかもしれません。かぶせ物というのは白いのか銀色なのか強度がどうなのかなどと多くの方は考えているのではないでしょうか?
ですが、実は歯周病ととても深い関係があります。かぶせ物をかぶせるということは、自分の歯にそれをくっつけてるわけで、そのくっつけているギリギリの境界のところがあるわけです。もともとの自分の歯の根があり、そこから先がセラミックなりのかぶせ物になってるわけです。このギリギリの境界線、これをずっとズームアップしていくと、とても重要な問題があるのです。この境界線には、ほんの少しだけ隙間、段差ができてしまうわけです。となると、隙間に汚れや菌が溜まって繁殖していくわけです。それが歯周病の温床になっていることがよくあるのです。皆さんは歯周病と聞くと、テレビのコマーシャルなどでいろいろなものを見ていると思うので、なんとなくイメージがつくと思うのですが、歯周ポケットと言われる歯茎の溝に細菌がくっついていると想像するのではないでしょうか。ですから、歯周ポケットをしっかり、歯茎のキワをしっかり掃除すれば良いと。
確かにそうなんですが、実際のところはそんな単純な話では無いのです。ほとんど多くの人は歯の治療を何回かしたことがあり、そしてかぶせものなんかがお口中にあちこちに入ってたりするわけです。このかぶせ物には必ず境界がありますので、そこの段差、隙間があれば歯周病菌が繁殖して歯周病を悪化させていくということなんです。
この段差、隙間なのですが、これはとても厄介な問題があります。そこには小さな隙間があり、その隙間はどんなに精度高く作ったとしても存在します。そしてそれが一般的には30ミクロン程度から200ミクロン程度ではないかと言われています。もしこの隙間が30ミクロン程度であれば実は歯周病にほぼ影響しないということがわかっています。その程度の隙間では歯周病菌がほとんど繁殖しないからです。
逆に200ミクロンの隙間があれば、もうこれは非常にやばいです。その隙間の中を完全に掃除することはとても困難で、歯ブラシで掃除してその200ミクロンの溝の奥をきれいにすると言うのはちょっと不可能なんです。また、様々な掃除機具や歯科衛生士による歯のクリーニングを行ったとしても、200ミクロンの隙間の中は完全にきれいにするのは非常に困難を極めます。ですから、最初から隙間を作らないことなんです。治療をする際に、最終的なかぶせ物をする場合には、隙間がないような治療方法を検討するべきなんです。
現状、隙間を少なくする材料の1つがセラミックです。他にもゴールドを使ったかぶせ物と言う選択もありますが、昨今では金属アレルギーなどの様々な問題があり、メタルフリーという言葉があり、金属は出来る限り使わないで歯のかぶせ物を作ろうと言う流れになっています。もちろん金属には金属の良さがあり、それをうまく利用できればそれを選択するのもありだと思います。ですが、セラミックが最も現状では精度が高い、摩耗しにくいなど、総合的な能力は1位であると考えられています。
セラミックで作ったかぶせ物は一般的には誤差は30ミクロン位の隙間で済みます。ですからとても安心安全です。実際、私が臨床で多くの患者さんを見ていて気づくことですが、右上の前歯にセラミックが入っていて、左上の前歯にプラスチックや金属の保険の歯が入っている場合、歯茎の溝の炎症具合が明らかに差があります。
特にこれがプラスチックの白いものとセラミックでは差が出ます。これは一般の方が見ても多分わかるレベルです。プラスチックは吸水しますので、だんだん色も変色していくし、なんとなく黄色っぽい色になっていて、ざらざら感も出てきます。そしてそこに200ミクロンもの隙間があるとなると、ここでどんどん細菌が住みついてしまうわけです。
一方、セラミックの場合は細菌がそこに住むということはとても難しいですので、いつまでもつるっとした状態、衛生的な状態が続きます。
このような意味で歯周病対策としては、かぶせものはセラミックが現状ベストであると考えます。