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小児歯科の予防処置、シーラント

2024年12月1日

こんにちは。先日小学校低学年のお子様で予防処置に来られた患者様がいました。小児歯科の治療に関して、様々なやり方、予防があります。有名なのはフッ素を塗ると言うものです。おそらくどのような方でもフッ素という言葉を聞いたことがあるだろうし、フッ素を歯に塗ることによって虫歯になりにくくなり、予防するのだと言う事はなんとなく知っているのではないでしょうか。

特に子供の場合、甘いものをたくさん食べたり、虫歯から歯を守るための歯磨きをしっかりしていなかったりなど、そのような状況も考えられるため、小児歯科の分野においては予防歯科をやることがとても大切であると考えられています。その中で最も有名なのはフッ素を塗ることだと思いますが、それ以外にも実は良い方法があります。

それはシーラントと言うものです。シーラントと言うのは歯に溝があり、その歯の溝をごく薄い材料で深い溝をブロックして埋めてしまう方法です。この方法は昔からあったのですが、賛否両論がありました。溝を埋めることによって虫歯になりにくく、とても良い方法だと言う意見。そしてもう一つはその溝をうまく埋めることが必ずしもできないので、埋めると隙間から知らない間に虫歯になっていることがあるので良くないと言う意見。

日本の行政においては、保健所等でこのシーラントと言う処置は普及活動が行われていました。ただ現状としてはあまりその普及成果は出ていなかったように思います。それはやはり小児歯科の世界では、シーラントに対しての意見が分かれていたからです。ただ最近になってこの考え方は大きく変化を見せています。

すなわちより高性能で確実なシーラントの材料が開発されてきているために、これをぜひともやったほうが良いと言う考え方です。医療においては、様々な機械、器具、材料等の進化がとても重要です。理論的には可能である。良い方法だとしても、それに見合うだけの材料が開発されていない。あるいはそれに見合うだけの医療器具がまだ開発されていないということがあったりするのです。このシーラントに関しても十分に接着していない、取れてしまう。穴が、実は小さい穴があり、中が悪くなるなどと言うそのような材料的な問題が、必ずしもはっきりしないことがあったのです。ところがどんどん近年、そのような歯に接着するシステム、歯の溝を埋める材料そのもの、またその材料や接着剤を固めるための特殊なレーザーの光などがどんどん進化していき、かなり高精度になり、これはぜひとも利用した方が良いと言うレベルに達してきました。

すなわち、これは従来のものではなく、最新型の材料器具を機械を使っての話です。

従来ですと接着のために歯の表面を脱灰させると言う処置が行われたりすることがあり、特にこれは大きなディスカッションポイントとなっていました。すなわち脱灰したはいいけれども、その面積をうまくコントロールできるのか、そこを完全に覆ってフッ素染み込ませて完全に固めることができるのかと言うのに対して、術式的にはそんなことは現実的には難しいと言う意見がありました。

最新のやり方ではこの脱灰させると言うステップはなしでできます。それは接着剤の進化です。接着剤がより確実にくっつくタイプのものができ、そして年数も経ち、充分エビデンスが高いということが多くの論文で発表され、安定性が高いと言うことが十分に証明されてきたからです。その最新型の接着剤を使うことがポイントとなります。これは歯に材料をくっつけるための接着剤というのはいくつもたくさんのメーカーから出ているのですが、これもピンキリなものが出てるわけです。なんでもいいから、とりあえずくっつけば良いと言うわけにはいきません。確かにその日はしっかりくっついているかもしれませんが、1年後になんとなく少しずつ剥がれていると言うようなことではダメなのです。このような材料に充分こだわって、初めて成り立つ話です。

次に歯にはとても細い溝があります。この溝はもともとあるもので必要だからあるわけです。食べ物の流れを良くしたり、咀嚼、噛むことを順調に機能させるための重要なものです。ところが実際には、すべての溝が現代人にとってそこまで必要かと言うと、むしろその溝があるために虫歯になりやすいと言う状況がありますので、現代食を食べている我々にとっては溝の1番深い部分はもし埋めることができるのであれば、シーリングして埋めてしまった方が良い。シーラントで埋めた方が良いと言うことになります。特にこれは大人にあまり必要な術式ではなく子供に必要なんです。すなわち大人と子供では口の中の細菌の活動状態が違うからです。子供の場合は、そのごく小さな溝に虫歯の菌が一旦繁殖すると、奥へと一気に広がるわけです。ですから、この溝をしっかり埋めておくと言うことにはうまくいけばの話ですが、とても意味があるのです。

そして今現在そのうまくいけばうまくいくであろう材料が十分に研究開発され使えるようになったので、それをやっていこうということです。

そしてその対象者は主には中学生以下だと思ってください。中学生以下の奥歯、歯の溝にフッ素含有のシーラントをごく微量シーリングするわけです。

また日本の保険のルールでは、中学生以下にはこの処置が対象となっています。高校生以上の年齢になるとこの処置は保険外となりますので、お気をつけください。

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