こんにちは。先日左下奥の歯の根の治療している患者さんを拝見しました。この患者さんの治療する際にCT写真を撮りました。CT写真とは何でしょうか?これはレントゲンの写真の1種なのですが、単にレントゲンを撮るだけでは、2次元的な平面的な状況しかわかりません。一方、CT撮影をすることによって、3次元的に立体的な構造が分かります。特に歯の根の中は複雑な形をしています。歯の根の中の複雑な形を、CT写真を撮ることにより、その3次元構造を調べているのです。
歯の根の中は実際に目で完全に見る事はとても難しいです。もし見えるとしたら、それはそこまで歯を削ってしまっている、歯が割れているなどの表面が見えるような状態になっているわけで、そうなるとその歯はもうほぼ残す事は難しく、抜くしかないような状況となっていると考えられます。
ですが、歯の根の治療すると言う事は、根をしっかり守ることによって、さらに歯を長く温存させようと言う治療計画があるから、それをやっているわけです。実際に目で見ることができない手の感覚などでどのような形になっているか探りながら、根の奥の方を触っているわけです。いわば地図を見ないでなんとなく歩いていると言うような状態です。一方、Google マップなどのスマホで見ながらもし歩いた場合、自分が常に右や左、北や南どちらへ動いているのかよくわかると思います。そのように正確な地図と言うものは何かをする際にとても役に立つと思います。CTのデータもそのような役割があります。事前に全く見えないところを3次元的にありとあらゆる角度からどのようになっているかを把握するわけです。
特に奥歯の歯の治療をしている場合には、CT撮影はぜひともすべきだと私は考えます。と言うのも歯の根の本数は人によって違うのです。奥歯の根は通常の場合2本から3本位です。人によっては4本という人もいます。またその2本3本なりが連続してつながっているような形になっていると言う特殊な方もいます。これは実は東洋人の奥歯には多いと言われています。このような状態の時に事前にこの根は3本の構造になっている。この根は2本の構造になっているなどとわかっていれば、治療はとてもスムーズであり、正確になっていくわけです。また根は大抵の場合は曲がっています。その曲がっている曲がり方の程度も事前にわかるわけです。割合まっすぐなのか、右に大きく曲がっているのか、あるいはS字のように複雑にうねっているのかなど、またさらに言うとその2本3本ある根が最後に先の方でくっついていると言うようなこともあるのです。これはもうCTで見る以外に正確にはわかるということは、よほどベテランの先生でなければ分かりません。
今回の患者さんも一見入り口から見るに3本のようにも見えるが、実際に探索してみると2本になっているのではないかと思い、CTをとってみるとわかったこととしては、入り口付近は1対2のようにやや分かれているが、それがどんどん先に行くと1対1の状態になっている。そしてなおかつその先の根は合流しているということがわかりました。
そのような事前データがありましたので、治療する際にとても安心して治療することができました。