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不正咬合、歯並びの悪いことと上顎の発育不足

2024年5月26日

先日小学校1年生で矯正治療をしている本人とお母さんと話をしました。

お母さん曰く、この子は鼻が詰まりやすく、耳鼻科に行っています。時々薬をもらっています。鼻がどうしても詰まるので口呼吸になってしまいますとの事でした。

私からの説明としては、必ず鼻呼吸の練習をし口をいつも閉じていましょうと言うことを伝えています。すなわち鼻で呼吸をする、口を閉じるということが極めて重要であり、それをひたすらしっかりやっていけば、やがて鼻呼吸はできるようになる。しかし薬を飲んで鼻を通すと言うのは対処療法であり、根本的に体の機能や筋肉を使っていないので、一生その薬を飲み続けなければいけないということで、何ら解決にはなっていないということです。

ですが、今、この小児の時期にこの呼吸の訓練をしっかりすれば、生涯にわたってその無駄になるであろう薬を飲み続ける行為が終わるわけですし、歯並びもきれいになっていくのです。

そもそも、不正咬合、歯並びが悪くなる原因の1番としては、上顎の骨の発育不足が挙げられています。これはもうすでに論文でわかっていることです。しかし、多くの保護者の方は歯が前に出ているとか、曲がっていると言う一見の見た目の問題に、どうしても目が行き、気になってしまうと思います。ですが、これは正確に歯科医師として専門家として判断すると、上顎の形が上顎の土台の部分である骨の形が良くないのです。上顎の骨の発育不足なのです。これがきれいな丸の形に近づいて成長していれば問題ないのですが、ほとんどの子がこの成長が足りないです。ほとんどの子と言うのはほぼ95%位です。この上顎の骨が小さいためにお口の中の容積は狭いです。この容積が狭いと舌がいるべき場所が足りなくなるわけで、舌のスペースが足りないと言う現象が起きていて、舌は本来正しい位置は上顎のほうに上がっているのですが、ほとんどの子は下に下がっています。あるいは歯と歯の間に挟まっていたりとか。舌の位置が正しくないために気道は塞がれ口呼吸をせざるを得ない子が多いのです。口呼吸をしているために上顎はさらに成長が不足し、歯並びもどんどんずれていきます。舌は筋肉でできていますので、間違った場所にあれば、様々な方向へ歯が乱れていく。毎日少しずつ少しずつ弱い力で押していると言うことです。この弱い力は実は毎日押し続けると歯をずらしていきます。

今回特にお伝えしたい事は根本的な原因は何かと言うことです。そしてその原因を出来る限り除去できるのであれば、まずそれが最大の課題となるのです。原因が除去できれば問題は根本的に解決できます。しかし、原因を除去せず、目の前に見えている歯が曲がっているとかそのようなことだけにとらわれて物事を評価していくと、本質は見えてこないです。

ですので、歯科医師の専門家としてのアドバイスをよくその意味を考えて聞いてほしいです。口を閉じて鼻で息をする、舌は上顎についている、この基本ができるだけでも、ずいぶんと人生の豊かさに差があります。

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