前回、患者様よりワイヤー矯正かマウスピース矯正かどちらが自分に合っているのかと言う話をしました。今回はさらに患者様自身のパーソナルな都合ではなく医学的に見てドクターがどのようにそれを判断していくのかと言う点をさらにお話ししていきたいと思います。
実はその患者様のお口の中の状況において、明らかにこれはワイヤーでやるしかない、もしくは明らかにこれはマウスピース、インビザラインなどでやった方が良いと言う2つに分かれる場合があります。またどちらでもほぼ同じの同等の結果が得られるであろう、という場合もあります。もっと特殊な例としてはワイヤー矯正とマウスピース矯正のコンビネーションをやったほうがいいと言うような場合もあります。ただほとんど多くの場合はワイヤーでもマウスピースでもどちらでもいけると言う診断になる患者さんが圧倒的に多いです。
ですが専門家として歯並び、噛み合わせを見ていく上で、この場合はマウスピースの方が有利であろう、この場合はワイヤーの方が有利であろうと言うことがありますのでそれをお伝えしなければならないシーンもあるのです。ですからもしあなたがマウスピースを希望していたとしても、私が歯科矯正的にどちらのほうが有利であると言うことがある場合には、例えばやはりワイヤーにしたほうがいいと思いますよと、お伝えしてお勧めします。逆にそんなに多くは無いのですがこれはマウスピースでやったほうが有利ですよと言う場合もあります。それはどんな場合かと言うと顎の関節に負荷がかかりすぎていて、顎関節症になっていたりもしくは顎関節症になりそうであったりと言うような場合が考えられます。このような場合は顎の関節に負荷を与える事を考えマウスピースの厚みが約1ミリから2ミリほどあり顎関節のクッションとなるマウスピース矯正を進めていることがあります。
またかなり専門的な話になりますが歯を抜いての矯正の場合には針金の方がワイヤーの方が良い場合が多いです。ですがこのようにここには書いてますがそれでも歯を抜いているにもかかわらずマウスピース矯正でも十分に成果が出る場合もこれまたなんとあるのです。ですのでせっかくやるなら目立たないマウスピースが良いと思っている人でもワイヤーではなくてマウスピースでも充分同等の結果が得られると言う場合もありますのでこれ本当に非常に微妙な話なのです。ですからいろいろなところであなたはどういう方法が良いかと言う情報を得ているのではないかと思いますが、一人一人ケースバイケースだと思ってください。またその矯正の先生がどちらが得意なのかと言うことにも影響がある場合があります。
すなわち例えば、インビザラインなどのマウスピース矯正が得意な人の場合はまず目もっててマウスピース矯正を全面的に進めてくる可能性が高いですし、マウスピース矯正しかやっていないと言う矯正歯科もある位ですから、そうなるとどちらが良いと言うよりはマウスピース矯正で何とかならないかと言うところからどのように歯を動かすべきかと言う治療計画になっていくわけです。一方で矯正の専門医でワイヤーを中心に行っている人たちはあまりインビザラインなどのマウスピース矯正をやろうとはしません。それは1つには大学病院などの矯正歯科ではマウスピース矯正は一般的に行われていなく針金を使ったワイヤー矯正が中心ですのでそのテクニックを駆使したやり方をすることになると言うことなのです。このようなことから非常に患者様にとっては紛らわしい情報が起きているということなのです。
ここから私の個人的な意見を言います。マウスピース矯正、ワイヤー矯正それぞれに得意な動かし方があると言うことがわかっています。ですのでどちらがより有利であるかと言う事は50/50で検討すべきです。その中で明らかにワイヤーの方が有利であるとか、明らかにマウスピースの方が有利であると言うことであればそちらの道に進んだほうがいいです。また4対6くらいの差であれば自分の好みの方を選ぶのも手だと思います。
このようなことからよく相談して話し合って、どの方法で行くのかを決めると言うことをしっかりやるべきです。自分がどのように思っているのか、自分がどのように考えているのかと言うことも重要なのですが、どちらが有利な動かし方となるのかということも検討する必要があるわけです。
そして私は患者さんの希望をよく聞いた上でその希望に沿ってやった方が良い場合はそれを後押しますし、希望に沿わない方法になる場合にはどのような違いがあるのかと言うことを今一度説明しますし、さらに明らかに希望と違う方法に行くしかないと言う状況であれば、もうこちらでやるしかないですよと言うことをきっぱりと伝えています。
そしてさらにこのように散々最初に治療計画を立てても実際には人間の体ですから思ったように全てが動くわけでもないです、そして途中で治療計画を変えてワイヤーからマウスピースに変わったりマウスピースからワイヤーに変わったりと言う患者さんも実際に何人も私も経験しています。
そういう意味において自分の意見を言う事、そしてドクターの意見を受け入れると言うこと、そして予定通りに必ずしも進行するわけでもなくそこから治療計画が大きく変わることもあり得ること、それを受け入れていくと言うことが自分の体にとって最善となると言うことなので、理解してください。