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dental anesthesia

インプラント治療と歯科麻酔の効きについて

2023年6月1日

先日患者様よりの質問で麻酔が効きにくいけど大丈夫か?と言う話がありました。この患者様は60代の男性で、いつも自分が歯科治療を受ける際に麻酔をしてもらうのだがどうもあまり効かないようで、痛かったりすることがあると言うのです。

あなたは麻酔が効きにくくて痛かったと言う経験をお持ちでしょうか?

まず麻酔についていくつか種類があるのですが、全身麻酔ではありません。歯科の治療を行う上で一般的には全身麻酔をする事はほぼあり得ません。また治療に不安を覚えるような人の場合は普通の注射の麻酔以外に笑気麻酔を行います。笑気麻酔に関しては前回以前にお話をしていますのでそれを参照にしてください。また静脈内鎮静法と言う麻酔方法があります。これも良く効く方法なのですが、ここからが大切な事なのですがどんな麻酔をするかもありますが、まずは普通の歯科用の歯茎に打つ麻酔が効くかどうかこれが重要なのです。

注射の麻酔と言うのは歯茎のあたりに打つ、一般的に皆さんが虫歯を治療したりするときに打たれたことがおそらくあるであろう麻酔注射のことです。この普通の麻酔注射がよく効いているかどうか、これは自分自身が痛いか痛くないかと言う事とも関係がありますが、実は脳神経などに悪い影響が出ていないか、周りの組織歯茎などにダメージを与えないだろうかと言う意味でもこの麻酔がまずしっかり効いていることが重要なのです。

実は全身麻酔などで完全に意識を失っていても先程の注射の麻酔が効いていない状態で歯を削ったり歯茎を切ったりすると患者さんは痛かったりはしませんが、血圧が上がったりとか体自体は反応するのです。ですので単に痛みを感じた感じないと言う以前に普通の麻酔の注射がまずちゃんと行われていて効いているのかということが安全に確実に治療する上では大切なのです。

普通の麻酔注射がよく効くかどうかと言うごく一般的な話になるわけです。これについてもう少し話していきたいと思います。色々と全身疾患や体のアレルギーの問題などがあり、通常の麻酔注射が効きにくいと言う方が稀ですがいます。これはもうかなり仕方ないことなのですが麻酔の量をたくさん使ったり充分聞くまで待つ、電動タイプで打つ、などが対応となると思います。また効きにくい人の他の特徴としては骨が硬い人です。骨の質が緻密骨で非常に硬い骨の場合、麻酔液がなかなか周りに浸透していかないのです。この麻酔液が浸透しないために、歯茎、唇のあたりはよく痺れてるんだけど実際に歯を削ったり骨を削ったりするととても痛かった、などと言う方もいます。

あとよく聞くのが自分は酒を飲むから麻酔が効かないと思うと言うことを言う方もいますが、これは必ずしもそのような事はありません。単に体の全身疾患の問題で効きにくいとかそういったことであり、お酒をたくさん普段飲んでいるからおかしくなっていると言う単純な話ではありません。

次に麻酔液で伝えなければいけない大切なポイントがあります。一般的に使われている麻酔の注射はキシロカインなどと言われるものであります。でこのキシロカイン麻酔は充分効くのですが歯科の場合、この麻酔のキシロカインの中にエピネフリンなどの成分を少し足しています。そのようにしてもともと薬が処方されて作られています。このエピネフリンと言う成分は何かといいますと麻酔薬がよくそこで浸透したり、そこに停滞すると言うサブの重要な役割を担っています。

ただしこのエピネフリンはそのような役割もあるのですが、逆に弱点も実はあります。それは血圧を上げてしまうなど全身の状態を変化させてしまうことです。あなたは注射を打った際に心臓がドキドキしてくると言うことがあったりしませんでしたか?これは麻酔の注射自体で緊張していると言うこともあるかもしれませんが実はその成分の中に血圧を上昇させる成分が入っているのです。

そうなると様々な全身疾患、代表的なもので言うと高血圧、糖尿病などですがそのような方にこのエピネフリンの濃度の高い麻酔薬をたくさん打つと言うのはやや問題があると言う見解があります。体の全身状態を大きく変化させてしまうからです。この麻酔のために命に関わるようなことを起きる事は無いのですが血圧がとても高くなると患者さん自身が苦しくなったりすることがあり、なかなか血圧が元に戻らないと言う患者さんも中には見えるのです。

そのためにこのエピネフリンと言う成分が入っていないタイプの麻酔薬も実は製造されています。ただしこの麻酔薬はやはり残念ながら弱点があります。体全身状態を変化させないと言う利点は大きいのですが麻酔の効きが弱いのです。簡単に言うと先程の麻酔薬のパワーの60%位の効きだと思ってください。そうすると人によってはなんとなく効いてるけどちょっと削られて痛いなぁとかなんかちょっとだんだん痛くなってきたような気がするなどと言うことが診療中に起きるわけです。

ではこのような状況の中でどのようにするかなのですが、私の個人的な見解としては歯科様の専用のキシロカインエピネフリン入りの麻酔薬を薄めると言う手法を使っています。エピネフリンの濃度を薄めることができるのです。これは実際に販売されている麻酔薬を別途調合し直すと言う手間がありめんどくさいのですが、その濃度を薄めることにより効果は十分にあるが血圧を上げにくいと言うことが可能となっています。これに関してはかなり昔から文献で発表されていることなのです。ですので一部の大学病院の口腔外科やインプラントのオペを行う際にはよく行われている事ですが世界的にはなぜかあまりこれを活用していることが普及はしていません。

以上からインプラントの治療をする際に麻酔を充分効かせるには痛みの軽減効果の強い通常の虫歯でも治療に使う麻酔薬をしっかりと活用することです。実際に1本のところを2本ぐらいを多めに使ったりすると言う基本的な手技となります。また患者様は自分が麻酔の効きが弱いであるとか、逆に麻酔が効きすぎるから心配だとか、血圧が高いとか、そのような事は事前に担当の先生とよく相談することをお勧めします。

Man holding a glass containing old dentures.

インプラントと入れ歯の手入れの違いについて

2023年5月28日

インプラントの治療を受けた場合、歯が最終的にお口の中に入ってその歯は自分の他の歯と同じように歯茎の上に自然とくっついたような状態になっているわけですね。一方入れ歯は取り外しがあるわけです。状況がかなり違うので手入れも違ってきます。この手入れの違いに関して1つぜひとも知っておいてほしいことがあるので皆さんこの記事を必ず読んで欲しいなと思っています。

インプラントの手入れ

さてインプラントの場合には自分の歯と同じように手入れをして歯磨きするわけです。そして多くの場合、歯間ブラシなども使う必要が起きることもあると思います。あるいは糸ようじのフロスなどです。大きく言えば歯磨き、歯ブラシを使うと言う事なのですが、歯磨きは、歯を虫歯にしないためにやる、歯周病にならないようにするためにある。確かにそれが大きな目的でしょう。お口の中に余計な細菌が残っているといろんな悪さをすると言うことです。

これは私が今まで何度も言ってることなのですが、インプラントやセラミックなどの人工物を治療で入れたのだからそこまで歯磨きしなくても虫歯や歯周病にならないだろうと油断している方がいます。それは必ずしもそのように思ってほしくないです。歯磨きをする行為はお口の中に歯ブラシを入れるわけで、その歯ブラシを入れて掃除をすることによって口の周りの筋肉もある程度活性化されますし、舌も筋肉でその舌も動いたりするわけです。アンチエイジングにもなっています。その時に唾液が出るということがとても意味があります。唾液が出ることによってお口の中の粘膜全てが消毒されたような状態になります。自浄作用が唾液にはあるのです。

入れ歯の手入れ

では入れ歯の場合はどうでしょうか?入れ歯の場合には自分の残っている歯を掃除することも当然大事です。また入れ歯が乗っかっている粘膜をある程度は清掃してやることが大事です。あまり強く粘膜をゴシゴシやってしまうと傷になるので軽くやる程度なのですが。

そして肝心なポイントとしては入れ歯自身を洗うことです。入れ歯はお口の外に出して専用のブラシを用いて洗うことをお勧めしています。入れ歯も自分の歯と一緒です。自分の歯と一緒なのでお口の外で歯磨きしててあげるわけです。この時に入れ歯の表側も裏側も細かい金具部分なんかも隅々まで掃除をしてあげることが良いことです。

そしてこの入れ歯の掃除に関してぜひとも知っておいてほしいことがあるのです。それは入れ歯はピンク色の部分なんかはプラスチックでできています。一方金属部分は当然金属ですし、人工歯の歯の部分は特殊なプラスチックでできている場合が多いです、もしくはプラスチックとセラミックのハイブリット型でできているものが最近では多いはずです。そのような材料が使われると思われます。それでこのピンク色の部分がとても問題なのです。ピンク色の部分はプラスチックですので、どうしても菌の繁殖の場となりやすいのです。ピンク色の部分は結構な体積を持っています。これだけの体積のものを口の中に入れて、このプラスチック部分が常に菌が繁殖するかもしれない場所です。プラスチックはどんどん水を吸っていき場合によっては水と菌がそこで腐ったように繁殖することもあるのです。これが入れ歯を使っている場合のとても心配な点です。入れ歯をあなたがどれだけきれいに掃除しているか、心配してます。

入れ歯の場合、市販の薬局などで売られている入れ歯洗浄剤を使われているかもしれませんね。確かに一定の効果はあります。しかし表面のプラスチック部分がだんだん吸水して腐り始めてくると市販の入れ歯洗浄剤の効果はさほど効いてはいません。そのような入れ歯を口の中に入れていると言う事は常に菌が繁殖しているものを口の中に入れていてその菌を肺のほうに飲み込んでいる可能性があるのです。そうすると体全身に菌が回り様々な全身疾患にかかる可能性が高いのです。とても心配しています。

そこで当院で勧めているのは、入れ歯の銀イオンコーティングです。これは医院で専用の機械を使ってコーティング作業を行います。時間にして5分程度の事なのですが、費用は3500円ほどです。この銀イオンコーティングをすると、約3ヶ月ほどほぼ菌は繁殖しません。一方で市販の入れ歯洗浄剤を入れてそのあとどれぐらいで菌が繁殖するかと言うと、入れ歯がもう吸水してしまい半分腐っているような状態では6時間程度ではかなり菌が増えています。すなわちコーティングする方法と洗浄剤では100倍以上効果のほどが違うのです。自分の命を守るためにもぜひとも安全のためにコーティングして欲しいなと思っています。

このようなことを様々な角度から考えると、もし治療法としてインプラントが選択できる場合はインプラントをした方が良いと私は考えています。それはやはりプラスチックの部分を口の中で対応しなくて済むからです。

Close-up of woman having her teeth examined

インプラントと全身状態の急激な変化

2023年5月25日

インプラント治療を受けてしばらくずっと大丈夫なんですが急に悪くなったりする方がいます。それは実際に私自身何度も見ていることなのですが、5年10年と全く問題なくずっと良好な経過をたどっていて、ある時突然急にインプラントがぐらぐらしたり全体的にどのはもどんどん悪くなっていく、そのような患者さんに遭遇することがあります。
この方はメンテナンスも普通に受けているわけです。

メンテナンスを受けていても急激に悪くなる方がおりますそれはどのような場合でしょうか?それは全身疾患に大きな変化があった場合が1番多いです。例えば悪性腫瘍の癌などがその典型的な例です。また血液の病気など、糖尿病が大きく悪化しているなど、実は骨粗しょう症が進んでいた、などが考えられます。私が今まで多くの方をメンテナンスで確認してきた際に、急激に悪くなってる方を見ることがありますが、その場合残念ながらもうインプラントがグラグラしていて、あるいは抜けていると言うの方も見てきました。

そのような場合は大抵の場合悪性腫瘍等でもう既に大きな病院で通院加療してるような状況が多いです。これは急激に体の様々な状態が変化しているために骨も一気に悪くなっていくため歯及びインプラントも周りの骨が踏ん張れずどんどん悪くなって抜けていくと言うことがあったりするからです。

ちなみにこのようなことが起きるから、じゃぁインプラントやらないほうがいいのかと言う質問を受けることがありますが、それは私はそのように考えていません。健康である今、できる限り良質な生活を送って楽しむと言うことです、そしていつかどんな人も何らかの病気にはなって体が悪くなったりする可能性があるわけですね。けどそれがいつ来るかはわからないんです。

よく、「もう自分は寿命が短いから」などと言ってインプラント治療はいいと言う方がいますが、それは長生きするからやったほうがいい、残りの人生はもう寿命が短いからやらないほうがいいと言う単純な話ではないと私は思っています。もし仮にあと何年生きるのかと言う事は誰にもわからないのですが、確定的にあと1年とかって言うことがわかっていれば確かにやらないと言う選択もあるかもしれません。しかしあと1年だからこそ少しでも快適な生活をしようと思ってやると言うのも選択でこれはよくよく考えてみないと何が正解なのかわからないと思います。

また治療と言うのは様々な選択があるわけでインフォームドチョイスと言う言葉があります。インプラントにする方もいるし、入れ歯にする方もいるし様々です。どれが正しいとか間違っているとかではなく、自分がどのように生きていきたいかと言うことだと思います。そして私たちはその人がどうしていきたいのかと言うことをよく聞いてアドバイスをしています。例えば80代の方がインプラントをしたいと希望してくる場合が、実は結構あります。このような場合その患者様は自分1人で普通に歩いて通院している場合はまずもってやった方が良いであろうと判断し全身の体の状態を充分確認した上で進めていく場合が多いです。

これから人生100年時代と言われますが、女性を見るに実に元気な方が多く確かに100年元気に楽しんで生きていくのではないかなぁと言う感じがします。一方男性はどうでしょうか?統計的には確かに男性の方が寿命はやや短めですよね。

ですので100年時代といっても女性よりは若干短いのかもしれません。また同じ80歳の女性と男性を連れてくると、女性の方が元気で男性の方がやや動きが緩慢であると言う事は確かにあるように思います。ですが80歳でも全然元気に動いている方も見えます。そのような方に普段どうしているかって言うことを聞くとやはり、ちょっとばかり仕事をしていたり、いつも外を出歩くようにしていたり、運動をするようにしていたりです。何より自分自身でボケないために外に出かけるようにしたり人と関わりを持つように積極的に出来る限り外に関わっていこうとしていると言うことを感じ取れます。ですので男性の方はぜひとも頑張って運動して外に出て欲しいなと思います。

歯科医学的に言えばやはり、噛み合わせをしっかり加工し、それがインプラントであれ入れ歯であれ、そして外でおいしいものをたまには食べに行ったりして楽しく生活することだと思います。やはりなかなか体が疲れてきてたくさん動くと大変なのかもしれません。

しかしちょっとお昼にどこかでご飯を食べに行くとか、夕方にちょっとだけ喫茶店に寄るとか、いろいろなことが考えられると思います。私の個人的な意見は病気になることに対する心配もある程度は必要かもしれませんが、多かれ少なかれ病気とは必ず付き合わなければなりません。ですので日々少しでも楽しく活動すると言うことをぜひ頑張っていただきたいなと思っています。おいしいものを食べて1日1日その時その時はぜひ遊んでほしいです。

Dentist hand with model of human teeth, dental implant crown, and advising on dental implant

インプラント治療とメンテナンスについて

2023年5月11日

インプラント治療を受けて歯が入ったが、その後どのようにメンテナンスを受ければ良いでしょうか?
インプラント治療を受けた後、メンテナンスを定期的に受けることがとても大切です。その人のお口の状態にもよりますが、もしかしたら毎月受けた方が良い方もいます。また安定しているような状態であれば4ヶ月に1度位でしょうか。もっと安定していると言う状態であれば半年に1度でも良いかと思います。

インプラントをしたからといってそれが半永久的にもつと言う事はありません。自分の歯と一緒だと思ってください。自分の歯をしっかり掃除しなければやがて悪くなるかもしれませんよね。それはどなたでもわかることだと思います。一方で、インプラントは人工物なので歯磨きしなくても悪くならないんじゃないか、まぁ普通に使ってればそんな簡単に悪くなるわけないでしょ、と言うようなことをもしかしたら思っている方もいるかもしれません。残念ながらそれはちょっと勘違いです。

例えば車を考えてみましょう。車は人工物ですが、しかもトヨタの車なんてかなりしっかり作られていてずいぶん長持ちしそうですよね。ですが毎日この車に乗っていたらどうでしょうか?だんだんどこか悪くなっていくかもしれませんよね。歯は毎日使っています。おそらく食事を3回朝昼晩とっているのではないでしょうか。それ以外にもしゃべったりお水飲んだり力を入れて食いしばったり、それ以外にも呼吸する際に顎がいろいろな動きをしたりと実は相当使っています。

車もとてもたくさん使う人もいるでしょう。歯も車以上に使っている可能性が高いです。車の場合、時々例えばブレーキパッドを交換したりとか何か部品を取り替えていきますよね。タイヤもたくさん乗っていればすり減っていきますから新しいタイヤに取り替える。オイルなんてだんだん減っていくので新しいオイルを追加するのではないでしょうか。そしてこの車をとても大事に使って乗っていたとしても、3年後にどうでしょう。たくさん乗れば乗るほどかなり痛んでくるのではないでしょうか。そしてさらに頑張って使って10年乗ったとしますね、そしたらどうですか?買い換える人の方が多くないでしょうか。

しかもその間に車検などなんどもチェックとメンテナンスを繰り返していると思います。そうなんです、人工物といえどもどんなに大切に使ってもだんだんと消耗していき、メンテナンスを常に続けていかなければあっという間に悪くなってしまうこともあるわけです。ですので歯の場合もメンテナンスが必要です、特にインプラントの場合せっかく頑張って歯を入れたのだからそのメンテナンスをぜひとも受けてほしいです。

このメンテナンスに関しては、歯の定期的なメンテナンスと一緒だと思ってください。インプラントは人工物ですがその周りには歯茎があります。その歯茎の状態が悪くなればインプラントも悪くなってしまうので定期的なメンテナンス、インプラント周りの歯茎を専門的な道具などで掃除したり消毒をしています。また人によっては必要に応じて噛み合わせのチェックをする必要がある場合もあります。

特にそのような場合は、噛み合わせが強く常に歯ぎしりをしている、無意識の時に強く噛む、かけてくる位だと言うような方もいます。このような場合インプラントの中ネジが壊れていたり、セラミックが多少かけたり、あるいは他の歯が悪くなっていると言うことも考えられます。

インプラントと言うものはそのやった場所だけ、例えば一本インプラントを入れたとしてその場所だけで成り立っているわけではありません。相手の歯がいるわけですし、そしてまた全体として噛み合わせと言うものは成立しています。

またさらに説明すると奥歯には奥歯の噛み合わせがあり、前歯には前歯の噛み合わせがあります。それぞれ噛み合わせといっても役割が違います。奥歯は垂直的な強い力を受け止める役割があります。一方前歯は斜めにぶつかってくる力を受け止める役割があります。歯といってもそれぞれ場所によって実は役割分担があるのです。

そのようなことを考えた場合、その入れた一本のインプラントだけが丈夫で長持ちしていれば大丈夫だと言うことではなく、お口の中その他の歯も全体的にバランスよく充分安全に保たれて守られているだろうかと言うことになるわけです。ですから定期的なクリーニング、全体的なメンテナンスと言う意味でインプラントを含め大切なのです。プロフェッショナルなクリーニングをするわけです。またレントゲンなんかは1年に一度ぐらいは取ったりすることがあります。これはインプラントの状態を確認すると言うこともありますが、全体的な歯の状態を確認していますし、顎の状態も確認します。総覧的に全体を見ていると言うことです。

ではみなさん、定期的なメンテナンスを気にしてみてください

東海市 歯医者 小島歯科室 インプラント

インプラント治療とモニタリング  

2023年4月30日

インプラント治療を行う際にモニタリングを行っていることが多いです。モニタリングとは何でしょうか?もしかしたらあなたはあの有名なテレビ番組のモニタリングを想像したかもしれません。残念ながらそのモニタリングではありません。インプラント治療におけるモニタリングとは血圧等を図りながらインプラント治療を安全に行うと言うことを指しています。

インプラント治療など外科処置を行う際に血圧を測りながら安全に治療をしようと言うことがあるのです。私がインプラントの治療を行う際にはモニタリングで行っている事は、血圧を定期的に測っている、酸素飽和濃度、SPO2を図っている、心拍数を測る、と言う点です。

あなたは朝、血圧を測ったりしていますか?あるいはスポーツジムなので血圧を測ったりしているでしょうか?インプラント治療の際にはまず最初に血圧計をつなぎ、血圧を測定します。そしてこのまましばらく測り続けて約5分間隔で常に測り続けます。

これは治療が始まる前に測るだけではなく、治療が始まった後も継続的に測っています。継続的に5分なり10分になり測れる専用の機械があるのです。すなわち患者様は腕に血圧を測るための装具を巻かれ、例えば5分おきに腕がしまってきて機械が自動的に血圧を測ってその血圧の数値をパソコンモニターに見せてくれるのです。そして私たち術者は時々そのモニターを見ているわけです。

5分おきに計るとなると腕が痛いかと言うと、そんな事はないです。腕が時々ちょっと締められるなぁと言う程度で気になる事はありません。また術者たちはモニターをずっとじーっと見ているわけではありません。当然インプラントの治療を行うわけですから、メインに見ているところはお口の中です。その治療の流れの合間合間にモニターをたまにチラッと見ていると言う程度です。

実はこれ、ずっとじーっと見てなくてもモニターの機械がピーピーピーと音を立てているのです。リズムよく音を立てています。小さな音です。ですので安全に血圧が測れていて問題がないと言うことがわかっているのです。もし急に脈拍数が上がったり血圧が上がったり、SPO2酸素飽和濃度が大きく変化して下がったりなど異常事態が起きた場合にはモニターが大きな音を立てるし、リズムが変わるのですぐにわかります。

また脈拍数が少しずつ上がることが患者さんには時折見られることです。これは麻酔の注射をしたりすると心臓がドキドキしてきたと言う経験がある方はいるのではないでしょうか。このドキドキと言うのは心拍数が上がっている、すなわち脈拍数が上がっていると言う事なのですがこの脈拍が上がっている状態をダイレクトに先程のピッピと言う音のリズムが速くなるので、あー今患者さんは麻酔注射をしてるときにドキドキし始めているなぁというのがわかるのです。

ですので術者はそのスピードがあまりにも上がるようであれば麻酔をするのを一旦やめますし、あるいはゆっくり打つ、もしくは患者さんに大丈夫ですよーお鼻でゆっくり息してください、などと声かけをしたりして対応しているわけです。手術と言うのは手も使い目も使い、耳も使っているわけです。このモニタリングをする専用のモニターで音が出ていることがとても便利なことです。ずっとモニターを見ている必要がなくて音で知らせてくれて必要な時だけそのモニターを見れば良いからです。しかも患者様の微妙な変化を音のスピードで表しているので微妙の変化も常に術者にはわかります。

また治療中に患者さんが、強い痛みを感じたり不快を感じた場合には、脈拍が上がったり血圧が上がったりとやはり変化が起きることがあります。このような場合は考えられる原因としては、いくつかありますが、麻酔の効きが弱いあるいは麻酔がだんだん切れてきて患者さんが痛みを感じている場合です。ですのでそのような場合には麻酔の注射を追加することがあります。

ですがこのような麻酔の注射の追加が必要な場合と言うのは実は長時間に及ぶ手術をしている場合くらいでそんなに多くはないです。むしろ痛みを感じる場合には、患者さんが過度に緊張しているような場合などです。ですのでこのような場合に最初に行う事はまず患者さんにゆっくり深呼吸してくださいなどと言う声かけになります。

また私の手術の場合ほぼすべての患者さんに鼻から酸素と笑気を吸っていただいています。笑気麻酔です。この笑気麻酔に関しては以前にもお話を書いていますが、酸素や笑気を吸っていることによって体に安全を確保しているわけです。そして緊張が強い、あるいは痛みを感じやすい人の場合は必要に応じて笑気の濃度を上げます。笑気の濃度を上げることによって恐怖感や痛みを感じにくくなる患者さんも多いからです。

このようにモニタリングをして治療するわけですが、病院で手術を受けたりあるいは入院した事ある方はこのモニタリングをおそらくしていると思います。自分ではあまり覚えていないかも知れませんね。また今後の歯科治療においては、50歳以上の年齢の方には治療時に常にモニタリングをすると言う医療のガイドラインの流れがだんだんできてきています。ですので皆さんおそらくモニタリングを受けることがもっと増えるんではないかと思っています。ただこの歯科治療の場合は、インプラントの手術とは違ってさほど大きな機械をつけるわけではなく手首に時計の大きいような形なものを巻く程度のものが想定されています。

single tooth implant

インプラントが悪くなる場合、噛み合わせの強さについて

2023年4月27日

インプラント治療をしてしばらくしてから、インプラントのかぶせものが壊れる、あるいはインプラント自体が骨の中で緩んでいるなど、そのようなことが起きていることがあります。すなわちインプラントが悪くなっている場合のトラブルがあります。このような事はどうして起こるのでしょうか?

インプラント治療をしている患者さんの約3割から6割位には歯ぎしりやブラキシズムがあるのではないかと言われています。歯ぎしりブラキシズムとは何でしょうか?それは夜間就寝時に寝ている際、無意識下で自分の意識とは関係なく歯ぎしりをしていたり、強くぐっと食いしばっていると言う状態です。もしこのような状態をビデオなどで撮影した場合には、とても大きな音が録音されています。この大きな音は歯ぎしりや食いしばりをするときに歯が擦れる音です。一般的にはそのようなものを皆さんが見る事はありませんが、学会ではそのような映像を供覧することがあります。

ちなみにこのような力は約200キロ位と言われています。もし昼間起きてる意識下であなたが思いっきり強く噛んでも、大体50キロ位の力が出ると言われています。一方就寝時など無意識下における歯ぎしりの食いしばりの時にかかる力はなんと200キロなのです。これはもうとても予想のつかない強い力なのです。しかも自分で全くコントロールできない状況で、その力が歯にかかってくるわけです。そうすると、セラミックのかぶせものが破れてくる、インプラントがだんだんヒビが入ってくる、インプラントの内部の中ネジがヒビが入って折れてしまう、骨とくっついているはずのインプラントの部分がだんだんくっつきが弱くなっていく、など様々な問題が起きるのです。

あなたが歯ぎしりしているかどうかは自分ではよくわからないことが多いです。まぁそれは当然なのですが寝ている時ですので、自分が寝ているときに何をどうしていたと言うことを正確に全て言えると言う人はいないと思います。そうすると寝ているときに一体どうなっているのかと言う事は、家族など誰かが、よく歯ぎしりしているよ、音がするよ、などと教えてくれる場合にはわかります。また最近では、寝ているときにどうなっているかを測るような装具、機械、検査があります。呼吸器内科や整形外科などで無呼吸症の症状を調べる検査がありますが、この簡易検査では機械をそのクリニックから借りて家に持ち帰り自分の体にそれをつけて1日寝て計測するわけです。

そうすると無呼吸の症状が出ている、呼吸が止まっている、など様々なことがわかります。それに似たような装置で歯科用のもので歯ぎしりしている、食いしばっているなどが計測されるような装置もあります。ただこれらの検査は簡易検査と言う、ある程度の目安として行われているもので、これで確定診断が必ずしも行われているわけではありません。

ですので私たち歯科医師はその人が歯ぎしりや食いしばりをしているかどうかを診断するにあたってはお口の中がどのようになっているのかと言うのを見ることが1番妥当であると考えています。すなわち、すでに多くの歯が削れているので、もしくはたくさんの歯が過去に壊れてきた、折れている、あるいは歯周病が本人が歯磨きを結構しっかりしているにもかかわらずどんどん進行していると思われるような状況の人、あとこれがとても役に立つのですがその方の上顎、下顎の骨の形を見ています。顎の骨に凸凹した隆起がある場合、まず間違いなくその人は夜間就寝時にブラキシズム歯ぎしり食いしばりをしています。

そしてこのような状況がある場合には、夜間寝るときにマウスピースを使ってもらうことをお勧めしています。マウスピースとは簡単に言えばボクシングのマウスピースに似ています。ボクシングのマウスピースは割合大きいですのでそれをもっと薄くしたようなものです。寝るときに無理の力かからないように座布団を1枚引いてクッションをつけているような状態です。

今回お伝えしたい事は、多くの方は歯磨きが不十分で歯が悪くなると考えている場合が多いのですが、実は噛み合わせの力に問題があり、自分の歯を壊している、インプラントをダメにしていると言う人も結構いると言うことです。

Model of white teeth and dental implant

インプラントと歯茎の関係

2023年4月23日

インプラントにかぶせものをくっつけ、長きに渡って、それを順調に使っていきたいものです。しかし残念ながら、それが途中で悪くなってしまう方もいるわけです。どのような場合に悪くなるのでしょうか。

今回はインプラント自体は悪くはならないがインプラントの周りかぶせ物の歯の周りの歯茎が弱いために悪くなる場合について話したいと思います。

一般的に、自分の歯が歯周病であれば悪くなります。それは歯自体が虫歯になったり、歯が折れたりしているわけでもないのにもかかわらず歯茎が弱っている、歯茎が痩せていくなどのために、結果的に歯を失うと言う状況が起きるのです。歯茎が弱るために歯を本来支えていなければいけない骨が減っていき、歯茎もどんどん一緒に痩せていき、結果、歯を支えることができない。決して虫歯になっているわけではありません。

上記のようなことがインプラントでも実は起こります。当たり前ですがインプラントといえども歯磨きを全くしなければどうでしょうか?それでも長持ちすると思いますか?もちろん長持ちは難しいです。このようなことを質問された方がいます、インプラントやセラミックって人工のものだから歯はもう磨かなくても虫歯にならないって言うことですか?はい確かにセラミック、インプラント等は虫歯になる事はありません。人工物ですのでそれが虫歯になると言うような状況にはならないです。

ですがインプラントの上に歯を入れ、せっかく噛めるように、きれいになったにもかかわらず、歯磨きを怠った、あるいは歯磨きを適当にガーっと雑にやっていた、このような状況の場合インプラントやそのセラミックのかぶせ物の周りの大事な歯茎が弱っていくのです。そして歯茎がどんどん痩せていき、あるいは歯茎が減っていき、その下にある骨も痩せていき減っていきます。結果インプラントが弱ってしまうと言うことがあるのです。

すなわちインプラント治療自体に問題はなくても、普段の手入れが甘ければインプラントはずっと長く持つと言う事は難しいです。自分の歯と同じように大切に歯磨きをしてください。

さらに実は歯磨きをするにしても、もともと歯茎の質の強い人と弱い人がいます。これはかなり専門的な話なので皆さんにはかなりわかりにくい話ですが、歯茎の質が強いあるいは歯茎の質が良い状態がたくさん残っている、このような状況でインプラントの治療をしていく場合には、先に述べたインプラントの周りの手入れが甘くても、歯茎が痩せていくと言う事はそんなには起こりにくいのです。逆に歯茎が弱い、少ない人の場合は弱りやすいです。

そのためにインプラントをする前に歯茎の強さや質の良い歯茎がどの程度残っているのかと言う事はお口の中で評価をしています。そしてその質の良い歯茎を出来る限りたくさん残すような形でインプラント手術の際の切開線を考えて切っているのです。この切開線の入れ方によって質の高い歯茎が1ミリ2ミリでも多く都合の良いところに残るように計画を考えています。また質の良い歯茎が少しでもたくさん残るようにどのように糸で結ぶのかも考えています。インプラントの手術の際には歯茎を多少なりとも切って、インプラントが入った後に糸で縫うのですが、その縫う方法や縫う時の糸の強さなどによっても歯茎の減り方が微妙に違ってきますので、そのようなことを考慮しているわけです。

インプラントをやった直後では、これはわかりにくい話なのですが、5年10年と安定して長持ちさせようと考えた場合にはインプラントをやる前からその人のその患者さんの歯茎の土手の形がどのようになっていて、歯茎の強さがどのようになっていて、質の良い歯茎がどのあたりにどれぐらい残っているのか、それを見て切開の入れ方を考えています。

またどうしても質の良い歯茎が少ない場合はお口の中の上顎の裏側にある硬い歯茎を多少切り取って移動させると言う手術方法があります。切り取るといっても大きさとしては長方形で5ミリ× 10ミリ位の大きさですその切り取った歯茎を足りない部分に足して縫い合わせると言う方法があります。私はこの方法はあまり活用していませんが、どうしてものときにはこの遊離歯肉色と言う手術を行います。この手術の利点は強い質の良い歯茎がない人にとっては5年10年とインプラントを長持ちさせるために有利に働くのです。

ですが私があまり選択しない理由としては、この遊離歯肉手術は患者さんが痛いと言うことが問題なのと、後それを移植してもなかなか5ミリ× 10ミリの全てがしっかりと生き残るわけではなく、せっかくうつしてもそれは半分以下位に吸収してしまうことが考えられたり、ほとんどなくなってしまうこともあり、何年かするとほぼ元に戻っていてなくなっていたと言うこともあるからです。確定的な十分な成果は必ずしも得られないと言うことです。そして患者様が十分にお口の中を管理し続けることができる人でないとやっても、もったいないことになってしまいます。例えばタバコを吸ってたりすれば、もうこれはやってもほとんど意味がないと言う結果になります。むしろ先程の歯茎の切り方をどうするか、糸でどのように縫うかと言う点においてこだわりを持って、そこでリカバリーすると言うそのような戦略を考えています。

以上のようにインプラントを長持ちさせるためには実はインプラントが直接くっついている骨だけに問題があるわけではなく周りの歯茎がどのような状況なのかと言うことも要素としては大きいです。

dental implant 3d rendering

インプラントとかぶせものをつなぐ中間のネジ

2023年4月20日

インプラントはいわば歯の根の代わりです。インプラントは骨、歯茎の中に入っていて実は本来であれば歯の根があったのにもかかわらず、今はない、そのなくなった根を代わりにインプラントと言う人工物で根の土台部分をしっかりとまず安定させるわけです。そしてその上にはセラミックの白い歯が入ってくるわけです。

ではそのインプラントと歯のセラミックはどのようにしてくっついているのでしょうか?

接着剤でくっついていると思う方もいるかもしれません。そうですね、確かにそのような方法でつけている場合もあります。ですが今最も主流なのはインプラントと歯のセラミックを中間でネジを用いてジョイントさせる方法が最も主流であります。

そうなると実は結構ややこしい話になってきて、インプラントとセラミックは単に接着剤でくっついているだけではなくて、その見えないわかりにくい部分の真ん中あたりに中間構造としてジョイントのネジが入っているのです、なんとインプラントの中にまたネジが入っていると言うことです。このようなタイプのインプラント治療は今最も多く、ほとんどがこのタイプになっています。

ちなみに以前はそのようなタイプでは無いもの、下の根の部分と歯の中間部分までが全て一体となっているようなタイプのものも結構の確率あったのですですが、そのようなものは今はかなり減ってきていています。どうしてそのようなことが起きているのか、1つはインプラントを入れて10年位でそれを終わると言うようなスパンで治療が考えられなくてもっと長い20年とかと言う単位でそのインプラントを利用すると言うことを想定して設計がされているからです。そのような長い治療期間を想定するとなると途中で、上のセラミックの歯を交換したり、いちど被せ物を外して歯茎の溝のメンテナンスしたり、様々な手を加えると言うことをがあるわけです。そのために一体型ではなくピースに分かれるような構造となっていて、そのピースに分けるために中間にネジがあるのです。

この中間のネジがあるおかげで以前にも少し話しましたが、ダイナミックな治療ができるわけです。それはすなわち、そこにインプラント入れたときには上にセラミックをかぶせてそのまま大事に使っていたんだけれども20年近く経ってその上の被せ物を外しそこに歯を入れるのではなくて磁石を入れて入れ歯を安定させようなど、長い長い人生の中で状況が大きく一変していてもそこを引き継ぎながらうまく活用できると言う、そのような設計が後々できると言うことを想定しているのです。

例えば20代に若くして歯を失って一本インプラント入れているなどと言うことがあるわけです、しかしそれから長い年月が経ち60代になったときに歯周病なのでたくさんの端を失っている時、その以前に20代の時に入れたインプラントと新たにもう1本インプラントを足してインプラントのブリッジを使って3本分歯を入れるなど、後から様々な複雑な設定に対応することができるようになっているわけです。ですのでこの中間部分のネジがあるおかげで後のちに噛み合わせの変更をするなど大きなダイナミックな治療計画の変更の際にとても役に立っていたりします。またもし万が一、介護等が必要になった場合にいったん上の被せ物だけを外してメンテナンスだけをするような状態にしてしまうなどと言うこともできるわけで、様々なシーンにおいて役立つことが想定されています。

ではこの中間部分のネジに関してこの構造に関しての弱点は何かあるのでしょうか?

これは実は多少ありまして、といってもそれを述べる前にここを十分強調しておきたいのですがそれにも増してこの中間部分の二重構造を使う事は現状では最大のメリットを生んでいるのでこの構造のタイプをほぼ間違いなく選択します。話を戻しますが中間タイプを使う場合にはセラミックの歯の表面の真ん中あたりに、小さなネジを通すための穴のような構造が存在することになります。ですので歯の表面をよく見ると、段差があることがわかることがあります。このネジの構造は前回の話ででてきましたハイブリットセラミックタイプで埋めて穴がほぼわからないようにしてしまうのですが、よくよく見ると若干ここに何か段差のようなものがあるかな?と言うふうに見えることもあるわけです。この見た目の欠点が起きることがあります。

またこれはかなり稀ではあるのですが、かなり力の強い人の場合、中間構造の中のネジなどにヒビが入ることがあります。しかしこれはこのタイプを使わなかった場合は他のところにヒビが入るので結局は同じことであると考えられます。

今回の話をまとめますと、インプラントのかぶせ物のセラミックの真ん中あたりには小さな中間ネジを通すための構造があり、その構造部分はハイブリットタイプのセラミックで埋められているが、人によってはよーくよーく見るとそこに何か割線のようなものが見えたり段差に見えたりすると言うことが起きてしまい、気になると言う人もいると言うことです。ですがそれはほとんど目立つこともなく機能に影響与えるわけでもなく、これが現在最も優れた方法の1つであると言うことになっています。またこのタイプは接着剤をあまり使わない付け方になるために、歯周病にも悪影響与えないということが良い点であるとされています。

Prosthodontics or Prosthetic

インプラント治療とあなたのかぶせ物はどうして割れるのか?

2023年4月16日

インプラントの治療をした際に、上にはかぶせものをつけるわけです。かぶせ物とは歯の形をしたもののことです。この歯の形の人工材料ですが、種類がいくつかあるのですが、大別していいますとゴールドなどの金属、セラミック、プラスチックなどが考えられます。

私のオススメはセラミックです。他の材料の問題点について少し触れていきたいと思います。かぶせものを金属で作る事は最近ではかなり減ってきています。海外ではほとんど少ないです。日本ではまだまだありますが、世界の潮流を考えるとかなり時代遅れともいえます。金属アレルギーの問題もありますし、かぶせ物ほどの大きさのものを金属で作るとなると、その金属の安定供給と言う問題において様々な課題があるのです。今現在金の価格は安定しているとは言えなく、いざ作るとなった場合にその作ると言い出した時点と最終的にできた時点で金属の金の価格が大きく変動していることがあるわけです。

こうなるとかなり安全圏を取った高い価格設定でなければ金などの材料を使ったかぶせ物を作るのは難しいと言うことになってしまい、医療には適していないと言うことも考えられるわけです。ですが最大の問題点はやはり金属アレルギーの点だと思われます。実際に大学等の研究でもデータを出す際には、セラミックでほとんどが行われており金属のかぶせ物を使っての臨床試験と言うのはほとんど論文発表されないような状況になっています。そうなると金属で最終的なかぶせものを作ると言う医療行為自体が評価がないためにどんどん減っていくと思われます。

金属自体が材料として決して悪いわけでは無いのですが、最新の現代の医療と言う観点からすると金属でかぶせると言う事はあまりお勧めできない状況にあると言うことです。また当院では、インプラントで治療した場合にはその上にかぶせ物を入れる場合には、現在でははほぼセラミックでかぶせています。

次にプラスチックタイプですが、このプラスチックタイプはなぜあるかと言うと、1つは安価であると言うことが考えられます。他の材料よりも。あと、調整する際に割合簡易的であると言う利便性の問題、さらにはもし万が一かけたりした時などにお口の中で簡単に修理することができる場合があるなどです。ですがやはりこれもあまりお勧めできません。プラスチックタイプの問題点として非常に心配な事は、プラスチックが吸水性があるためにどんどん水を吸っていき、色が変色したり、細菌がその中で進んでしまい繁殖すると言うことです。

お口の中で余計な細菌が増えていく原因となることが考えられるからです。また次に摩耗していくことです。摩耗する事はある意味、利点でもあるのですが、スピードがかなり速く、力の強い人などの場合には問題があると考えます。

このような点から現在ではセラミックが最も良いと考えています。実はインプラントの上のかぶせ物に限らずどのような治療でも、かぶせる場合にはセラミックを第一選択とするのが良いと思っています。

ではセラミックに問題は無いのかと言うことに関して少し深掘りしていきたいと思います。セラミックでよく以前から患者様に言われる事は、かけると言うことです。セラミックと言うものはいわば言ってみれば陶器、瀬戸物のようなものであるとも言えるわけです。皆さんが使っているお茶碗は陶器でできていると思いますが、これはそんな簡単に割れたりはしないのですが、長期的に使っていればいつか何かの拍子にぶつけてしまいかけたりなどあるわけですね。それで今現在はで使われているセラミックはそのようなことも考慮してかなり特殊なものが使われています。1つはほぼかけることのない材質でできているタイプ。とても強度にセラミックが固めてあると言うことです。この硬さは踏んづけても割れないと言う位硬いと言われています。実際は踏んづけると言う事は無いわけですが、私たちが噛んでいる力は大体普段は50キロ位と言われていますこのようなレベルの力で欠けるような事はほぼないと言うことです。

ちなみに普段起きているときに噛んでいる力は50キロですが、寝ているときには200キロ位の力が実は出ます。この200キロと言う力になると最新のセラミックでも人によっては欠ける人もいます。夜間寝ているときに歯ぎしりする、知らないうちに食いしばりしている、このような方は就寝時にマウスピースを使うことをおすすめします。これは何もセラミックを入れているからとか言うだけではなく、自分の歯自体が欠けたり、歯周病が進行したり、顎の関節に無理の力かかったりなど様々な症状が起こるからです。

話を戻してセラミックにはもう一つタイプがありそれは先程はとても硬く丈夫に作ってあると言うタイプのことを言いましたが、その逆に、セラミックとプラスチックを混ぜたハイブリットタイプと言うものがあります。これは硬い部分と逆に柔らかくてある程度柔軟性に富むと言う2つのものを利用することによっていいとこ取りをしようと言う材料です。私の個人的な見解としてはこのハイブリットタイプは必ずしもインプラントでは使わないです。このハイブリットタイプの材料はごく狭い小さい範囲であれば非常に強い効果を発揮すると思います。ですが歯全体をフレームワークとして作る場合は先程に述べた十分に硬いタイプのセラミックが良いと考え選択しています。

他にも様々なセラミックが実はあるのですが今言ったようなものを中心に考え適したものを選択しています。

以上をまとめますと、割れないためには最新のセラミックをうまく活用すると言うことです。そして歯ぎしりや食いしばりなどが考えられるので必要に応じてマウスピースを使うと言うことです。単にその1つの歯が欠けると言うことではなく全体のバランス噛み合わせを考慮して状況を判断していくことが大切です。

東海市 歯医者 小島歯科室 インプラント

インプラント手術、フラップレス手術とは?

2023年4月13日

インプラント手術の中にフラップレス手術と言うものがあります。今回はこの手術法についてお話をしたいと思います。

フラップレスとは?

フラップレスとは何でしょうか?フラップレスとは歯茎をほとんど切らないで手術ができる方法です。一般的にインプラントの治療をする際には、その場所の歯茎をメスで切っています。切ってインプラント入れた後に糸で縫いあわせるわけです。これがもし体の手術だった場合でも多くの場合は、メスで切っているわけです。

インプラントの話に戻りますがもし仮に1本だけインプラント入れる場合メスでどれぐらい切っているのでしょうか?少なく見積もって4センチほどは切っています。これは少なく切れば切るほど良いと言うわけでもないのですが、たくさん切って歯茎をたくさんめくって大きく広げるとよく状況が分かり、手術としてはやりやすいです。

一方で重大な問題があり大きく切れ場、切るほどそして大きく広げるほど、後で痛いのです。そして腫れやすいです。またさらに言うと全てでは無いのですが患者さんによっては骨や歯茎が減ったり、近くの歯がぐらついたり様々なことがあるのです。でもその中で1番は痛みが出ると言うことです。

そして逆に言うとほとんど切らなければ痛みをあまり感じないと言うことです。そうすると最小限で切れば最小限の痛みで済むと言うことになります。フラップス手術とは極めて小さく切って手術をやる方法なのです。直径3ミリ位の穴を開けて手術をします。これを実際に患者さんにやると大抵の場合、全く腫れなかったし全く痛くなかった、こんなに痛くなくてできるんですね、すごいです!と言われることがあります。メスで切る量もかなり少ないですし、歯茎をめくって広げると言う行為をしないので、ここがかなりポイントで痛みや腫れがほとんど出ないのです。

どの手術もフラップレス手術にすればいいのでは?

ではそんなに痛くないのであればほとんどどんな手術でもフラップスでやれば良いのではないか?切る量を最小限にすれば良いのではないか?と言う話にもなるのですが、実際にはそうも行きません。
フラップレス手術ができるのは一定の条件が十分に整っている場合のみで、そのような患者さんは実はかなり少ないです。ではそれはどのような条件かといいますと、まず骨が十分にある。そしてそれは骨の高さや幅といった3次元的に十分な骨の量が確保されていて、骨の密度も十分にある場合です。レントゲン、CT上で骨の3次元的な幅が充分確保されていたとしても骨の密度が弱ければちょっと難しいことになってしまうのです。

次に質の良い歯茎が十分にあること、これはちょっと一般の方に説明するのは非常に難しい話なのですが、歯茎が薄くてぶよぶよしている方では難しいと言うことなのです、逆に言うと歯茎がしっかりしていて硬い良い歯茎が十分にあればクリアと言うことになります。また骨が少なくて造骨の処置をしなければならないような状況の場合はこのフラップレスという方法はほぼ無理です。

このフラップレスと言う方法が適用となる場合は実はとても少なく、と言うのもインプラントをしなければならないような状況の患者さんと言うのは大抵の場合は、歯茎の状態も多少悪くなっていたり、骨も減っていたりと言う人がとても多いのです。

ですのでこの条件にかなう場合と言うのは割と年齢の若い方で男性などがっちりした骨の幅が充分確保されているような人です。そうなるとあまり適応する人は少ないですよね、なぜなら若いうちからそんなにたくさん歯を失う可能性は低いからです。ですがほとんど痛みをなく腫れもしないような手術が可能であればやっぱりそれでやりたいですよね。

ガイドサージェリーを用いたフラップレス手術がよいと考えています

またこのフラップレス手術がうまくいくためには、以前に述べたガイドサージェリーと言う枠を作ってのオペが良いと考えています。ガイドサージェリーと言うのは、インプラントを事前にどこにどの角度でどの深さまで埋めるのかと言うのを様々な検査を用いて決めておくやり方です。このガイドサージェリーがあればインプラントを入れていく際にとても正確にできるのです。

逆にこのガイドサージェリーをなしでインプラントを埋めるとなると、本当に正しい場所に入っているのか、深さは正しいのかなどが歯科医師側の技術にかなり頼ることとなります。その先生がかなり上手な技術を持っているのであれば大丈夫なのですが、そうでもない場合はちょっと心配ですね。また途中で何度もレントゲンなどを撮って確認も必要になってくるかもしれません。

さらに細かい話なのですが、このフラップレス手術では直径3ミリほどの穴を開けるとなるので、直径3ミリほどの穴の部分の歯茎は切り捨てることとなります。そうするとその分だけ歯茎を捨てているわけですね。それがもったいないと言う見方もあります。

その切り捨てる部分と言うのは、歯茎のとても条件の良い場所で切り捨てますので、本当にそのフラップレス術がその人にとってメリットが十分にあるのかどうかをよく考える必要が歯科医師側としてはあるわけです。すなわちいくら痛くなくできるからといっても、先に述べた十分に歯茎がある人であると言う条件を満たしていれば、直径3ミリの歯茎を捨ててももったいないことにはならないわけです。ですが、その3ミリを捨てることによって歯茎の条件が悪くなってしまうような場合であればやはりフラップレス手術はしないほうがいいと言うことになります。

この3ミリの件に関してはインプラントを入れた直後にはあまり問題は起きないです。ですが2ヶ月後とかに歯の被せ物をくっつけていけ際にはその3ミリの歯茎が残っていた方がやっぱり良かったと言うようなことが起きる患者さんも中にいるんです。

このことから、総合的な判断が求められることがわかります。たまにいろいろと調べたような患者さんから、出来る限り切らないで良い手術があるのでそのフラップレス手術とやらをやってほしいとリクエストされたことがあります。痛くない手術としてフラップレス手術を選びたいわけですよね、もちろんそれができるような状況であればそれでいきましょうと言うことになります。ですがこれは患者さんのあくまで希望を聞くだけであってできない場合、やめた方が良い場合は当然その方法は選びません。

まとめ

私の経験上フラップスの手術の方はやはり少ないです。当院では1年間に約150名ほどの方がインプラント手術を受けています。その中でフラップレス手術になっている方は10名ほどですすなわち1割もいないと言うことなのです。

私自身手術をやる側として、患者さんにいかに痛くないと言う感想を言ってもらえるか、と言うことにおいて頑張ってはいますが、無理をすることによってあまり良くない結果になると言う事はどうしても避けたいのです。

一方で痛くなかった、本当に良かったと言ってもらう患者さんも少数ですがいますのでフラップスで行ける時はそうしたいです。そして、さらに、たくさん切る一般的なオーソドックスな手術でもできる限り痛くなかったと言われるよう細心の注意を心がけて行っています。