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東海市 歯医者 小島歯科室 インプラント

当院ならではのインプラントの特徴、採血によるフィブリンを用いた自家骨移植  

2023年4月9日

こんにちは。最近患者様から質問されたことがあります。それはその患者様は他院でインプラントの説明を受けたのですが、自分のお子さんが2人当院で矯正治療を受けていて長い付き合いをしていて、今回お父様が、自分の歯が悪くなり、自分の近所でかかっている歯医者でその歯を抜いてインプラントすると言う説明を受けたのだが、当院で説明をもう一度聞いてみたい、検査を受けてみたいと言うことになったのです。

本当にこの歯抜かなければいけないのか?そしてもし抜いた場合にインプラント治療はどのような治療方法になるのか念のためもう一度説明を受けてみたいとの事でした。そして本人曰くたくさんのネットでいろんなことを調べて読んだけれどもあまりにも情報が多くてよくわからなかった、との事でした。

そうですね、皆様がネットで調べた場合になかなかたくさんの情報がヒットしてしまい何を信じていいのかわからないと言うことが起きていると思いますし、実際問題多くの患者様からいろんな質問を私自身受けています。そしてその時に私はよく答えている事は、あなたの場合にそれが当てはまるかどうかを判断するのは確かに難しいです。参考にまでに留めて、やはり医院で直接自分の場合はどうなのかと言うことを質問してみることだと言うことを伝えています。

ネットの情報と言うものは様々なキーワードで皆さんが検索するために、全体的な流れの中で必要なことを伝えると言うことが残念ながら難しい場合が多いかと思います。ある1部の切り取られただけの情報が包括されてあなたへ伝わっていくわけです。そうすると実際にはその前の話とその後の話というのがないままインプラントについて語られてしまい、そのインプラントの一部の情報だけで、その物事が正しい、間違っている、良い悪い、と言う判断になってしまうので、いまいちピントがボケたような話に陥ってしまうことがあるのです。となるとさらにさらにいろいろなことを調べていくと言うことをしなければならないと言うことになります。

ですから実は患者様にとってネットで何かを調べると言うのは大変様々な情報提供があり良いことである一方で、深みにはまってしまい、いまいちわからなかったと言うことも起きるし、知らない間に間違った解釈をして正しい答えではない方向へ連れ込まれている可能性も残念ながらあるわけです。

今回相談された方の場合は、前歯に関してのインプラントなのですが、そこに悪い根があり残念ながら骨が腐ってしまい、その骨やまわりの形を回復させることができるのか、その骨がだいぶなくなってしまったところにインプラントを入れて長持ちするのか、インプラント入れた後にまた悪くなるようなリスクはあるのか、など様々な質問がありました。そしてインプラントをやる医院であればどこでも同じようにある一定以上の技術で治療が行われるのでしょうか?と言う質問がありました。もう少し突っ込んで言うと医院によって技術の差はどのようになっているのかと言うことです。

インプラント治療を受ける人は、よくあることなのですが顎の中の骨がいろいろな形で減っていることがあります。そうするとその減っている部分に何らかの形で骨を増やしてやってインプラントを入れると言うことが想定されるわけです。この骨を増やすと言う技術は、どの医院でも等しく同じように大体行われるのかというとそうでもありません。またそれぞれの医院によってそのテクニックは若干異なるかと思われます。

どのような状況で骨を増やすべきなのかと言うことによって使うテクニックもさらに色々と違ってきますが、今回の上顎の前歯の歯の根の辺りが減っていると言う状況の中でどのようにするのかと言う点に関してお伝えしていきます

一般的には、骨が減っている場合、人工骨を足して骨を増やすというのが多いと思われます。とても良い方法です。ですが当院ではこの方法は第一選択ではありません。どうしてかと言うと、人工骨は非常に高価だからです。例えばの例ですが3 CCほどの人工骨を使えばおそらく100,000円位の費用が少なくともかかると思われます。でこれもし10 CC使ったとなると300,000円位インプラントの費用がさらに増えていくということが起きる可能性があるわけです。

では当院ではどうしているかといいますと、ほとんどの患者さんは実際に骨を増やす場合には3 CCほどの量で充分な場合が多いです、それはインプラント入れるときに骨を多少削るのですがその削った骨をうまく回収してやればそれで3 CCほどの骨が集まるわけです、その集めた骨を使って人工骨を使わないで済ませることが多いです。また3 CCでは足りなくてやっぱり4 CCぐらい欲しいとかそういうこともあるわけですね。そのような場合はどこが良いや骨が多くあるところから少しばかり削り取って持ってくると言うことが可能なのです。

そのようなことを言うと、いやそこを削ったところ足りなくなってしまうのではないか?と思われるかもしれませんが、削り取ってもまた元に戻るような場所というのがありましてそういうところからうまく取るような方法もあるわけです。

そしてここからが重要なのですが、当院では採血をして自らの血液の中から成長因子を取り出してその成長因子を先程の自分の骨と混ぜてゲル状にすると言う方法がよく行う方法なのです。海外ではよく行われている方法です、しかもかなり前からです。

減った血液中の成長因子を使うのは自らの骨と凹んで少なくなっているところをうまく増やすのにとても便利な方法で私はこの方法が最も好きな方法です。この方法の利点はいくつかありますが、1つは先に述べた人工骨ではないので費用が大きくは増えないと言うことです。また自己血のフィブリンを作る費用もそんなに高くはないと言うことです。そして何より自分の体の中のものを自分の体の中のために使うのでとても安全だと言うことです。

例えば病気で大きな手術を行う場合に輸血を行うことがあるのですが、そのような場合少量であれば術前に自分の血液を献血のようにとってストックしておくわけですね、そして手術当日足りない分を自分の血液で補う、これはとても安全ですね。ですが他人の血液を入れるとなると本当にそれが自分と馴染むのか、問題ないのか様々な病気などで制限を受けたりする人もいるわけです。このような話とちょっと若干似てるんじゃないかなと思っています。

この自家血のフィブリンを使う技術は、インプラント手術当日に患者様から採血を行います、量にして約17 CCほどです。これは採血にしてはかなり少ない量と考えてください。そしてこの自家血を採血してすぐさま専用の機械にかけてフィブリンの作成に入ります。それと同時に手術は進んでいきます。そしてインプラント手術途中でインプラントの本体を骨の中に入れたり足りないところに造骨するときにちょうどそのフィブリンが完成してきてフィブリンと自家骨を混ぜてさらに造成するべき元をその場で作っているわけです。これが当院のやり方としての1つの特徴です。

ある意味やや複雑ではありますが、それはすなわち人工骨を使うと言うことであれば人工骨をパックから開けてただ出すだけなのである意味シンプルなんです。ですがこれは患者さんが大変と言うよりは歯科医師がやや大変なだけでそれに慣れてしまい、その技術を研鑽すればかなり成績の良い手術ができるので私はこの方法を採用しています。オペのアシスタントをするスタッフもこのやり方に慣れています。毎回私がそのような指示を出しているので、もうこのようなやり方をするのが当然だと思って準備にかかります

このフィブリンを用いたテクニックは必ずしも日本ではさほど有名ではありません。一部のこだわった先生がどうもやっているように私は思います。ですので学会等では、このような方法がメインで論文発表される事は日本では少ないです。ですが投稿雑誌等ではよく見受けます。それはやはり投稿される方は結構こだわりのつよい人が多いので出てくるのだと思っています。

また世界的な流れとしてはこのフィブリンの方法はスタンダードとだと思われるのですが、日本ではある程度この技術、器具に関して厚労省等の規制レベルが高いのでなかなか導入を踏み切ってる医院が少ないのではないかと私は想像しています。実際問題大学病院でもすべての大学病院で使われていないと言う現状からも、どうしても日本ではまだまだスタンダードにならないんだろうなぁと思っています。ですがこの方法は親知らずの抜歯であるとか上顎の骨に穴が空いた場合など一般の治療でも使い道があるので私はこの方法がどんどん流行っていくといいなと思っています。

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インプラントオーバーデンチャートとロケーターアタッチメント  

2023年4月6日

前回はインプラントと磁石の話をしました。

例えば総義歯の患者さんの場合、総義歯からインプラントを用いて入れ歯を安定しようと思った場合に、インプラントは何本入れれば良いでしょうか、それはおそらく2本から4本位でしょう、と言うことを書きました、その2本から4本のインプラントの上に磁石とくっつく金属部分があり、入れ歯の方には磁石が埋め込まれていて、磁石でかちっと、くっつくと言うことです。

この磁石応用入れ歯は良い点は、とても簡単にカチっと手が多少震えながら入れたとしてもその位置に誘導できる点です。また外す時も割合ある程度の力を入れれば簡単にぽろっと、とれて来ると言うことです。また高齢者で介護などを受けている場合にもその入れ歯の取り外しや掃除手入れなどを介護者が簡単に行えると言う意味においてはとても楽な方法です。

ですがもしあなたがまだ介護ほどではないと言う元気な状態であれば、磁石ではなく、ロケータアタッチメントを選ぶのも良い方法なのです。

ロケーターアタッチメントと磁石の違い

ロケーターアタッチメントと磁石の違いについてお話をします。この2つはどちらもインプラントを用いて入れ歯をいかに安定させるかと言う技術です。ですのでインプラントの利用する本数は2本から4本と言う本数で大きくは変わらないです。

では磁石ではなくロケータシステムにすると何が違ってくるのか。それはロケーターの方が入れ歯の安定維持力がとても強いと言うことです。ロケーターを用いた入れ歯の場合はちょっとやそっとでは外れません。ですのでかなり強いと感じます。もちろん自分の歯よりも強いと言う事は無いですし、普通にインプラントを治療して歯を補っている場合より強いと言うこともありませんが、程度で言うと自分の歯と磁石応用入れ歯の間位だと思ってください。ですのでまだまだ若くして大きな入れ歯を入れる、あるいは総入れ歯を入れるような状況になった人のような場合は、ロケータシステムを使うのが1つのオススメとなります。

ロケータシステムではちょっとやそっとではその総入れ歯が外れて来ませんので、もし外食中に万が一入れ歯が外れてしまったらどうしよう?などと言う心配は入りません。あるいはプールで泳いでいて思わず入れ歯が外れてしまう、そんなこともありません。他人に入れ歯が外れてしまうと言うことを見られてしまうと言う事は、まずないです。そういう意味では非常に安心感を持って普段の生活をエンジョイすることができます。

この棲み分けをよく理解してください。もうほぼ高齢者で介護施設に入っているようなもし状況であるとすれば、磁石応用入れ歯を用いたインプラントの方が有利でしょう。ロケータシステムでは取り外しが介護施設の人では難しい場合も考えられます。しかし実際のところ当院の患者さんでは何人も、若くして大きな入れ歯、もしくは総入れ歯を作り、その時はロケーターでスタートしています、そして10年以上経ちだんだんと施設に通いやがて施設に入所するような状態になっている方もいますが、ロケーターのままで過ごしてもらっている人もいます。

それはどうしてかと言うとロケーターの内面にアタッチメントがあるのですが、簡単に言えばそれは洋服のボタンのようなものでパチンとつけるとボタンがつくわけですが、そのアタッチメントの部分は種類がいくつもあり強さが1から8位まであるのです。ですので若いうちは強い8などを使っていてもいいと思いますが、段々と年齢がいけばそこまで強さを必要としないとなれば3、2とだんだん段階を落としていけばいいわけです。

ですがもっと安心して簡単に取り外しがしたいとなればロケーターのアタッチメントのボタン部分だけを外してしまい磁石タイプのアタッチメントに変えてしまうことです。入れ歯を作り直す必要はあります、入れ歯の中に磁石をうめ込む必要があるからです。

このようにインプラントと言うのは先の先まで様々な計画を立てて利用することができるものなのです。ですから若いうちに歯を失ってインプラントをして、そのインプラントを大切にずっと使い続けることです。様々な理由によりあなたがもし総入れ歯など大きな入れ歯を入れなければいけないような状況になったとしても、もしインプラントが数本お口の中に残っていれば、そのインプラントを用いてロケータアタッチメントもしくは磁石のアタッチメントを用いて入れ歯を安定させることができると言うことなのです。

ライフステージに合わせて治療を進めることが大切

このようにその人のライフステージに応じてどのような治療がより望ましいのかと言うのは様々なことが考えられますから、医院においてよく相談することが大事です。また以前から何度も書いていますが、このような長期的なスパンの治療計画を考えたときには普通に虫歯やブリッチの治療を行うと言うことも大事なのですが、入れ歯の評価が果たしてその医院でしっかりできるかどうか、そこが重要になってきます。

なぜ私がそれを特に強く強調して言いたいかと言うと、私は東京医科歯科大学などで研修医の指導にあたることがありますが、若い先生は昔の先生と比べ入れ歯の治療をする機会が激減しているのです。研修医の先生を他の大学でも見たりしますが、そうすると入れ歯をほとんど触ったことがないと言う方も中にはいます。そうなるとインプラントと言う技術はマスターできたとしても、入れ歯はやはり様々な状況で様々な形のものがあるのでどうしてもたくさんの患者さんを見ているかどうかと言うことが重要で差になってきます。ですので入れ歯の評価ができる先生がインプラントをするべきであると私は考えています。

これはかなり個人的な意見になりますが、インプラントを市民病院や口腔外科などで受ける方もいますが、私は必ずしも賛成しません。その理由は最終的なかぶせものを作るときには補綴と言う作業があり、これは口腔外科の専門分野ではなくて、一般歯科の分野であり、特に入れ歯や噛み合わせに精通した歯科医師が治療計画を立ててやるべき分野だからです。特にインプラントの噛み合わせに関しては、様々なことが言われていますが、通常の噛み合わせの調整方とは若干異なると言うことがわかっています。ですのでインプラントの専門医、口腔外科であると言うことよりも補綴に関してどれだけ対応ができるかと言う事を気をつけていくことが大事だと思っています。

先の東京医科歯科大学でインプラントのカンファレンスにたまに参加することがありますが、このディスカッションを聞いていると、若い先生の診断とある程度経験の深い先生ではやはり観点が違います。その大きな観点の違いはインプラントの治療計画を考える上で、噛み合わせ、咬合と言うものをかなり重要視していると言うことです。噛み合わせがどう安定するかと言うことからインプラントの治療を考えると言う順番です。もっと言うと、どうしてその人は歯を失ったのかと言うヒストリーを考えています。そのヒストリーを考えるにはその患者さんがどのように咬合が変化して歯を失っていくに至ったか、そしてこの先どのようなインプラントを用いて補綴をすることによって長期的な安定感を回復することができるかと言う観点で見ています。その途中には入れ歯を活用することも1つの選択としてあるわけです。一方若い先生がカンファレンスで発表するとやはり、咬合の事は一般的なことを話しますが、全身疾患であるとかが中心になってきます。このような発表を聞いているとやはり今の歯科医学教育と言うのは全身疾患などこれからの時代に則した全体的な医療から部分へと攻めていっていると言う部分が感じられます。

確かにとても大切なことなのですが、1人の患者さんをより良い状態にしようと考えたときには、やはり学問も大事ですが技術がどれだけ優れているかと言うことも大事です。そうなると経験と言うものが非常にものを言うと思います。その経験と言うのはやはりたくさんの入れ歯と言うものを見てきて、どのようなことが患者さんで起きてきたのかと言うヒストリーが予想できるか、想像できるかと言うことです。

話は少しそれましたが、大学などでインプラントを教える場合に実は大学の流派と言うものもありロケーターを教えているが磁石を教えていない、もしくは逆に磁石を中心に教えるがロケーターの話は一切出てこないなどと言う事は実はあったりします。それはどうしてもその大学の教室が何を研究しているかと言うテーマがありますので、どうしてもそのテーマに偏った教育になったりするわけです。

ですので先にも述べましたように患者さんの年齢などを考慮したライフステージを考えてどのような選択をしていくと良いのか、途中でどのような変更していくと良いのか、そういうことを長期的に考えた治療計画を踏まえたインプラント治療が良いと考えています。

まとめ

まとめになりますが、ロケータシステムのインプラントは力がとても強く、いわば若さを感じるものです。歳をとっても、もう一度若くありたいと言う気持ち。より若々しく見せたい、そんな気持ちで毎日を生きたい、そのような方には非常に大きな貢献をできる仕組みだと考えています。

あなたのもう一度青春を応援したいです。私もいつまでも年齢に抗い若々しくありたいと思います、そんな現代人ならではの気持ちを一緒に共有し、がんばりましょう。

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インプラントと磁石

2023年4月2日

磁石を使った治療を知っていますか?

歯科の治療において磁石が使われていることがあります。あなたは磁石を使った治療と言うのを聞いたことがあるでしょうか?

磁石を用いた治療は実はかなり昔からあります。50年ほどの歴史があるのではないでしょうか。お口の中に弱った歯が残っている場合、その歯をうまく利用としようとしても、歯の根が弱っているためにかぶせたりすると歯が力に耐えられず抜けてきたりするわけです。そこでどうするかといいますと、その歯を全体的にかぶせる事はせず、歯の背丈を低くして歯の根っこだけを半分の大きさで残していくのです。その際、半分に残った部分には磁石にくっつく特殊な金属を使って小さな蓋のかぶせものをするわけです。

一方でその上には入れ歯がかぶさってきます。入れ歯の中には磁石が入ってるわけです。そうするとこの磁石と下の根っこの金属がくっつくので入れ歯がより安定するわけです。これはとても面白いアイディアで歯の根が弱くてもその歯の根を残して利用するわけですね。以前であればそのような歯の根っこは抜いてたわけです。あまり役に立っていなかったものをそこに磁石を使うテクニックを用いて弱いなりの根っこを無理な力は かからないように大きさを半分にして重心を下げてやり、まだまだ長持ちして使えるような状況にしているわけです。

そしてまた入れ歯と言うのは、どこかで歯が残っていればそこにひっかけたりして金具などで、そうすることによって入れ歯が安定するのですがらこれといった強い歯がしっかり残っていない場合、代わりにこの磁石を用いれば踏ん張る場所を新たに加えることができるのです。そしてこの磁石の優れている点は磁石と言うのは吸引力を用いて一旦くっついてしまえばそこで固定されるのですが、多少ずれたり力がかかってずれる時にでもその遊びをほんの少しアクションすることができるのです。だからダイレクトに力がかからない。少しずれながら力がかかっていくために歯の根っこを弱らせることが少ないわけです。そしてある一定以上のつよい力すなわち歯を壊しかねないような力がかかった場合には、磁石の力は限界を超えてぱっと外れてしまうわけです?残念ながら入れ歯は外れるのですがそのかわりそのような強い力がかかったときには歯の根っこも壊れるようなことがなく入れ歯が外れることによって力を逃しているので、じわりじわりと歯が悪くなると言うような疲労をためないでいけると言うことです。

磁石をインプラント治療に用いるには

さて今はここまでは磁石に付ついて、入れ歯で自分の歯の根を場合を説明しましたが、これをインプラントを用いて活用する方法が実はあるのです。すなわち、もしあなたが全く歯がなかった場合、例えば下顎に二本インプラントを入れて、その場所に磁石を用いた入れ歯を作るのです。そうするとさっきの例に挙げたように歯の根っこが2本残っている人と似たような状況が起きるわけです。この2カ所に磁石があれば入れ歯は、全く歯がない時に比べより安定するのです。これが磁石を用いたインプラント磁石応用入れ歯です。

では上下左右全く歯がない場合、総入れ歯の人の場合です。そこに何本インプラントを入れるべきなのでしょうか?まずはこの場合、上顎の場合、この場合は2から4本と一般的には言われています。2から4本のインプラントを用いてそこに約2から4箇所の磁石を用いて入れ歯を安定させるのです。では下の総入れ歯は何本でしょうか。下顎の場合やはり4本入れれば、かなり安心ですが、場合によっては2本でも、そしてさらに1本でも大丈夫だと言う論文も出ているのです。どうして2本ではなく1本なのかといいますと、これはどうしても骨がだいぶ減っていて2本入れるだけの骨がない、そのために1本しか入れられないのです。

本数をたくさん入れれば入れるほど入れ歯は間違いなく安定します。しかし加齢とともにあるいは様々な病気の等原因で骨が減っている場合、複数のインプラントが入れられず仕方なく1本ないし2本で何とかしのごうと言うような治療計画を立てざるを得ないことがあるのです。その究極の本数は当然1本と言うことになります。それで1本で本当にうまくいくのかと言うことが研究されたのです。で、今わかっていることとしては下の総入れ歯であれば1本でもそれなりに役に立って成果が出ると言うことなのです。ここで誤解を招かないように伝えておかなきゃいけないことがありましてそれはやはり本数が多ければ多いほど安定するのだけれども、どうしても骨がないために1本でやろうと言うことなのです。あともう一つ考えなきゃいけないことがありまして、それは本数が多ければ多いほど費用はたくさんかかり本数が減れば費用は少しずつ抑えられていくわけです。ですから予算的な問題として費用を抑えるために本数を少なくして、けどまぁそこそこ何とか安定して噛めて不自由ない健康的な生活を送りたいと言うことがあるので、抑えつつもう何本まで減らしていいのかと言うことになってくるわけです。

それで私のオススメとしては下顎に関してはどうしても費用を抑えたいと言うのであれば1本でやることを考えるのも1つの道です。そして1本でやはりどうしてもいまいちだなと思った時に2本目を足しても良いのではないでしょうか。もちろん骨が少ないためにどうしても1本しかできないと言う人はもうこれは1本でやるしかありません。ですが、今まで多くの方をインプラント治療してきて感じていることとしては、確かに費用もある程度を抑えたいのですが、いかに快適な生活を得られるか、健康的な日々生活色習慣が獲得できるかと言う意味においてはやはり2本から4本を考えることが非常に良い方法だと思っています。そこには圧倒的な快適さの差があるからです。その辺はよく慎重に相談して決めることをおすすめします。

最後に

まとめになりますが、総入れ歯や部分入れ歯などで残っている歯が1本ないし2本などのような状況の場合、そして骨がだいぶ減っている人のような場合は、磁石を用いたインプラントオーバーデンチャーを使うということが1つの良い方法です。その際に入れるインプラントの本数は2本から4本位の可能性が高いです。

ただこれは皆さんが私は次は何本が良いと言うような選べるようなものではなく、本当にそれがあなたに適している方法なのかどうかをよく担当医と相談して治療計画を立てなければ全く意味のないものになってしまいます。これから超高齢化社会を迎えていくわけですが、歯全部ないからといって全部インプラントを入れる必要は無いわけです。じゃぁ歯が上顎14本ないからといって14本入れるのではなく12本でいいのかと言うとそういうわけでもなくてもっと少なく6本であるとか4本と言うような選択肢があると言うことです。もっと少なく考えると2ぐらいまで下げることも可能ではないか。そして下顎の場合は究極1本でもいけると言うこともあると言うことです。

そしてこのような本数の少ない場合に具体的には2本から4本と1本の事ですが、この時にかぶせ物や入れ歯とジョイントする中間部分には磁石を使うと言うことです。どうして磁石なのかと言うと磁石が強い力かかったときに磁石が外れるために無理な応力がかからず壊れないと言うことです壊れにくいと言うことです。そして高齢者の場合に磁石でかちっとくっつくために割合と取り外しが楽だと言うことあります。この取り外しが楽であると言う事はとても良い点がありまして、手がやや不自由である場合に正確に手が動かないと入れ歯が入れられないと言う事はなくて大体8割位正しい位置に行けば後は磁石がカチっとくっついてくれると言う便利なことがあるわけです。

またもっと手が動かないよー不自由だよと言う場合に施設などで介助者が入れ歯の出し入れをしていることがあります。このような場合に磁石でかちっとくっついてくれると専門家ではない介助者が入れ歯を入れる際にとても楽に入れられてしかもカチったらくっついてくれるのでここでちゃんと入ってるなと言うことが確認できるわけです。ですのでそういう意味でも快適な生活の確保にとても役に立っています。

今回は磁石を用いたインプラントオーバーデンジャーの話をしていますが実は磁石以外にも他にも方法がありますのでそれに関してはまた次回お伝えしたいと思います。

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インプラント治療と造骨

2023年3月30日

インプラント治療を行っている上でよく相談されることがあります。

様々な相談を受けますが、特に当院に来院される方で他院で断られてきている方も結構見受けるのです。それはどのような場合かと言うとあなたの場合は骨が少ないから難しいです、無理ですと言われている場合です。このような場合には骨を増やしてインプラントを安定させると言う方法がありますのでその点に関してお話をしたいと思います。

人は加齢とともに骨が減っていく

さて、人は加齢とともに骨が減っていきます。生理現象としてある程度減っていくわけです。それが自然な生理現象の範囲であれば特には問題ないと思われます。具体的には骨や歯茎は20歳を過ぎてから0.1ミリずつ減っていくと言うことが論文で示されています。そうすると仮に20歳から30年経ったとして50歳になった時、3ミリほど骨や歯茎が減っていると言うことになります。

あなたはこの数字を聞いてどう思いますか?とても多い数字だなぁ、大変なことになるなぁ、と感じますか?あるいは3ミリ位ならまぁ普通、少しずつ歯茎も減ってくしそんなもんかなぁ、と感じた人もいるのではないでしょうか。人は多くの場合どうも体重や脂肪はどんどん増えていき残念なのですが、歯の本数が減ったり、歯茎が歯茎の周りの中の骨が減っていったり、すなわち歯周病が進むと言うことです。

このような場合は寂しいですね。特に髪の毛が減っていくなど気分がちょっと滅入りますね。ここで皆さんに考えてきていただきたいことの基本的な事の1つとして20歳を過ぎて全くエイジングしていかないと言う事はありえないと言うことです。エイジングとは老化です。20歳を過ぎてもう老化?と思われる方もいるかもしれませんが、現代は人生100年時代と言われとても昔では考えられないような人間は長生きの人生になっています。これも様々な医療や科学が進化し進歩し私たちはもっともっと元気で長生きできる時代に突入しているわけで、本来原始時代、人間は20歳まで生き延びると言うことさえとても大変だった時代を何十万年とやってきたわけです、過去に。ですのでこの何十万年と言う長い長い歴史を考えると、今、驚異的な勢いで健康寿命も伸びていますが、元来、ですから骨や歯茎が20歳を過ぎて減っていくと言うのは何ら不思議なことでもないし、むしろ健康的な状態と考えても良いはずです。

しかしながらやはり私たちはできればいつまでも若く生き生きと元気でありたいと願っているものです。ですから1年に0.1ミリと言われてもそれがもし0.05ミリで済むならそのほうがいいと思いませんか。さすがにゼロと言うわけにはいきませんが、出来る限り少なく現状を維持したいわけです。そのようなことをアンチエイジングといいます。エイジングを止めると言うことです。エイジングに対して抗うと言うことです。できるだけ骨や歯茎が減らずいつまでも健康的で美しい口元、美味しくご飯が食べれる楽しい日常生活が送れると言う事ですね。

インプラントは無駄なのか?

さてインプラントの話に戻しますが人間は必ずエイジングしていくのですがじゃぁインプラントしても無駄なのかと言うと決してそんな事は無いのです。むしろまさにインプラントこそアンチエイジングの効果を最大限に発揮できる方法なのです。インプラントを足して歯の足場をしっかりと作った場合、残っている他の歯茎、骨などに負担が軽減されるので、先に述べた0.1ミリずつ減っていくと言うのを抑制できるわけです。もし何も抵抗しなければ0.1ミリどころか0.5ミリ1.0ミリとどんどん減っていくわけです。ここに歯止めをかけなければいけません。歯止めをかけるためには、インプラントを増やししっかりとした足場を用いてアンチエイジングするのです。

ですがもうすでにだいぶ骨が減ってしまったよ、歯茎もかなり減ったよな、と言う患者様も多く見られるわけです。そのような方に何とかして骨を増やしインプラントを入れてあげたいわけです。骨は際限なく増やせるかというとそのような事は決してありません。多少なら増やすことが可能です。そして若ければ若いほどそれは非常に効果を発揮しやすいし安定性も高いです。一方残念ながら年齢が行けば行くほど骨を増やす事はとてもに難しい技術となっていきます。

骨を増やす方法

骨を増やすと言いますが具体的には様々なやり方があります、

1.自家骨移植

この方法は自分の体のどこかから自分の骨を少しだけ採取してその骨を足りない所へ移動させてくっつけてやると言う技術です。体のどこからなんだ?と言われても、例えば足の骨か何かを移植するようなことも昔は行われていましたが現在ではほとんどそのような遠く離れた場所から自分の骨を移植するような事はありません。自分のお口の中のどこかもう少しここだったら骨を多少使っても問題ないよねと言う安全な場所から骨をとって、ないところに移動させるのです。

へぇーなんかこのような話を聞くととても大変なことのように思われるかもしれませんが、実際にはその移植する量は極めて少ない量です。例えばの大きさで言いますが、ビー玉一個位。どうですか?これぐらいの大きさだったらそんなに怖くないと思いませんか?いやとても怖いと思いますか。人それぞれ感じ方は千差万別です。今、私は具体的な例としてビー玉一個位と言う量をお伝えしましたが、これは実際にはどの程度の骨が減っていて、どの程度の手術部位をやるのかによって随分と違ってきますもし、歯が全くなくてとても広い範囲にわたってやるのであればやはりそれは一個では済まず、5個位なのかもしれません。ですが逆にとてもそんなにたくさんは必要ないよと言うことも結構多々ありまして、ビー玉一個どころか米粒5粒位で済むこともかなりあるのです。

そしてさらにこれをもう少し詳しく説明すると、ビー玉5個分位の大量の量をもし移植が必要だとするとそれは自家骨だけでそれだけの量をどこかから賄ってくると言うのはやめたほうがいいかもしれません。逆に少量の米粒程度で済むのであればそれは自分の自家骨を利用するのはとても良い方法であると考えられます。しかもその自家骨は、実際にインプラントを入れるために小さな穴を削ったりするのですが、その際に削り取られた骨を確実にしっかりと回収しそれを生理食塩水などで洗ったり処理をしてそのまま大事に足りないところに移動させると言うテクニックがあります。このようなことをすれば大きくどこかを切って集めると言うこともなく非常に小さい範囲で手術が行えるので削った骨で済むのであればこれをまず第一に選択するのが良いでしょう。

2.人工骨及び他家骨

人工骨はその字のごとく人工的にできた骨に代替する材料のことをいいます。日本ではいくつかの製品が厚労省より認可を降りており様々な場面でインプラント治療だけでなく医科の治療でも使われているタイプのものもあります。他家骨とは何でしょうか?これは一般の方にはとてもなじみのない言葉かもしれません、これはちょっと簡単に説明してしまいますが例えば他の動物などの骨をうまく活用しその中の成分だけをうまく科学的に処理して骨として利用できるような加工技術がありまして、人間の骨ととても類似しているので骨の結晶構造だけとしてはとても利用がしやすいと言うことで海外ではとても使われている材料です。日本では必ずしも第一選択ではありませんが、患者様の了承を得て使っている場合など様々な諸事情によりこれを導入していることもあります。

人工骨の良い点は体のどこかからそれを持ってくるのではなくもともとその製品が用意されていてそれを足りない分だけ補ってやれば良いと言う点です。先ほども言いましたようにビー玉5個分であれば5個分の人工骨の体積を用意すれば済むことで、さぁどっから持ってこよう、こっちから?と悩む必要もないわけです。ですがこれはとても高価な医療材料なのでそこがネックになることをもあるかもしれません。

3.自家血よるフィブリンを用いる手法

あなたは病院で採血をしたことがあるでしょうか?血液検査などで採血をすると言う事はありますね。あるいは手術の前に自分の血液をある程度ストックしておいてもし輸血が必要になった場合に自分の血液を使うと言う、そういうことも経験したことがあるかもしれませんね。今から紹介する手法は手術当日その場でまず採決を行います。

採血といっても10 CCほどなのでとても少ない量です。この血液を特殊な機械にかけてそこから血液中にある成長因子だけを取り出すと言うことができるのです。この成長因子のことをフィブリンなどと専門用語では言っています。このフィブリンを人工骨の代わりに活用すると言うものです。正確にはフィブリンの中に自分の削った骨を一緒に混ぜてコンデンスしていきます。この混ぜたものが足りない部分の足場となり、骨を作ることができるわけです。この方法の良い点は人工骨を使わないと言うことです、大量に。人工骨はとても高価な材料ですのでそれを大量に使うとなると結構な手術費用がかかっていきます。

しかし自分の削った骨では、もともと自分のものですから、それで済むのであれば非常に良い方法なわけです。そして人工物を外から持ってくるわけではなく、そもそも自分の体にの中にあったものを自分の体の中に入れているだけなのでとても安全ですね。フィブリンを使って造骨を図ると言うのは実は昔から行われていました。昔と言うのは海外ではもう20年ほど前から色々と試行錯誤して行われていました。日本では10年ほど前から行われていると思いますが、まだまだそれほど普及しているとも思えません。

医院長の考え

以上を踏まえ、私の個人的な手術におけるオススメはやはりフィブリンを使う方法です。実際にオペをした際に、様々なことが起きます。充分に骨があるだろうと思っていても小さなスポット状の穴が空いていたり、思った以上に骨が弱かった、もろかった、その他周りの粘膜に影響を与えそうである、そのようなことをリカバリーするためにはフィブリンがあるととても安全に手術ができます。またどのような条件下においても削った骨は出来る限り回収しておいて、いざと言う時に使うことを考えています。そうするとやはりフィブリンを用いてより良い形を作り直す。すなわち造骨する必要があるないにかかわらず多少の凹凸や骨の減り具合はあるので、そこに常にフィブリンを入れていき成長因子を入れることによってより確実にインプラントがくっつく、より確実に歯茎が治る、より良い条件の形に治っていく、治癒していくと言うことを目指しています。

この造骨と言う課題に関しては今大枠を話しましたがさらに上顎なのか、下顎なのか、前歯なのか、場所によってもまただいぶ話が込み入ってきますので、また後日お伝えしていきたいと思います。

多くの患者様が様々なネットなどでインプラントの情報を検索したりして比較検討していると思います、ただこのフィブリンの話に関してはかなり高度でわかりにくい話でかつどれだけ一生懸命その文章や写真等を見ても、そのイメージがつきにくいと思います。骨を削る、骨を増やす、インプラントを入れるなどと言う言葉はとてもわかりやすいのですが、フィブリンと言う話になってしまうと一体何を言っているのやらと言うことになると思います、これはもう医学的な専門的な理解のレベルになってしまうので、ただ現時点では皆さんにはフィブリンと言う成長因子を用いた技術が実は様々なところでインプラント以外にもかかわらず現在活用されつつあると言うことを知っていただければと思います。

東海市 歯医者 小島歯科室 インプラント

インプラント治療と麻酔

2023年3月26日

あなたはインプラント治療を受ける際に、手術って怖いなぁ、どんな麻酔するのかなあ、全然痛くなくできるかなぁ?などいろんな想像をするかと思います。今回はインプラント治療をする際における麻酔についてお話をしたいと思います。

麻酔について

多くの方が麻酔注射を歯科医院などで打ったことがあるのではないでしょうか。

麻酔注射は歯茎のあたりなどに細い針で注射を打つものです。その注射を打つことによってしびれてきて治療をしても痛くないと言う状況になるわけです。また中には最近では美容外科などがとても世の中では流行っていますので、笑気麻酔と言うものを聞いたことがあるのではないでしょうか。笑気麻酔と言うものは随分と昔から歯科医院では一般的に使われていたものです、例えば子供の治療の際にどうしても怖い、暴れてしまうって言うような場合に子供を落ち着かせるために笑気麻酔を使ったりします。あるいは大人でも、どうしても治療が怖いからと言うことで軽度の鎮静作用があり、怖さを取り除くために笑気麻酔をすることがあります。またイギリスなど海外では産婦人科で出産の際に痛みを和らげるために笑気麻酔を使っていると言うような国もあります。

ほかにも、静脈内鎮静法と言う麻酔方法があり、これは手に点滴をしてほとんど気を失うような状態で本人はほとんど何も覚えていない、しかし全身麻酔のように全く麻酔がかかって何も身動きも取れないと言う状況でもないものもあります。我々術者が患者様本人に話しかけると一応簡単な返事はしてきますですので、意識はあるのです。例えば痛くないですか?などと聞いたり、お口開けてください、などと言うと患者さんは、それに対して頷いたり返事をしたりしてゆっくりとその動作をするのです。この静脈内鎮静法が終わった後にどのようなことを受け答えをしていて、とか怖かったとかと言う、その一時的な時間の記憶ははっきりしていません。そういう意味ではあまり何も覚えていないと言うことです。

さらに全身麻酔と言う言葉を聞いたことあると思うのですがそのような本格的な麻酔と言う方法も一応考えられます。ですが歯科医院で全身麻酔をすると言うのはあまり一般的では無いですし、ほとんどそのようなことが行われる事はありません。

インプラント治療で用いられる麻酔

ではもう少し細かくインプラント治療に実際に行う際の、麻酔のレベルを軽度から高度なものまで細かく見ていきたいと思います。

1.麻酔注射

まずこれはそのインプラントをする場所の周りに局所麻酔注射をします。この局所麻酔注射は必ずするものです。仮に本人が全身麻酔をしていたとして全く痛くないと言う状態だったとしてもこの局所麻酔はします。と言うのはもしこの局所麻酔をしていないと患者さん本人は痛いと飛び上がるような事は無いのですが、脳や体は実際には痛みを感じるので、その痛みのダメージが後々残ってしまうので必ずするものなのです。そしてこの麻酔注射は皆さん多くの方が普通の歯科診療で実際に受けたことがあるものです。ちょっと、ちくっとするあれですね。そしてこのちくっとさえも痛くなくするための工夫が表面麻酔です。表面麻酔とはこれから麻酔注射をして針を刺すところを一旦表面麻酔用の塗り薬で消毒をします。この塗り薬で消毒をすることによって人によってはかなり痛みを感じないで針を刺すことができるようになります。

ただ針自体の痛みはなくても、実際には麻酔薬が体の中に入っていきますので、その時に本人は圧力を感じたりして、びくっとすることもあるのです。ですので表面麻酔を使って完全に針の刺さる感じや、麻酔注射の圧力を防ぐと言う事は難しいです。しかしより痛くなく麻酔注射をできると言うことです。またこの麻酔注射をより痛くなく打つためには患者さん本人がリラックスしていて、かつこの注射をゆっくり打つと言うことも1つのポイントとなってきます。

2.笑気麻酔

私はインプラント治療を行う際にほぼ全員の患者さんにこの笑気麻酔をすることをお勧めしています。それはこの後説明する静脈内鎮静法などよりも、かなり安全でかつ患者さんにとっては体に全くストレスがない方法だからです。笑気麻酔をするとどのようになるか、笑気麻酔は鼻から酸素を吸っているような状態です。正確には酸素と笑気と呼ばれる2種類のガスを混合したものを鼻から吸っています。この笑気麻酔を鼻から吸うことによって、だんだん体が昼寝のようにポカポカあったかくなって、指先など少しとろんとリラックスした感じになります。完全に気を失うような事はありません。インプラントの治療中は明らかに会話はできるのですが、私の経験上2人に1人ぐらいは、知らない間に昼寝をしています。そして患者さんはあれちょっと寝てしまいましたねとら後から終わった頃にいってきます。軽い昼寝をしているのですが患者さんに、大丈夫ですか、としっかり肩を叩いたりして喋りかければ、すぐふと我に帰って反応して、かなり明確な会話は可能です。自分の意思もはっきりと伝えられます。そしてこの鼻から吸うだけと言うことが非常に簡便なのです。特に何か針を刺したりとか、ずっと点滴をしていると言うようなこともなく、ただ旦か鼻から酸素混合ガスを吸うだけなので、非常に患者さんにとっては楽なストレスのない方法だと考えられます。

そして何より酸素を出し続けているということがとても安全な方法です。インプラントオペ中にはSPO2と言われる酸素飽和濃度を測っています。これは最近コロナなどで散々騒がれたので知っている方も多いかもしれませんが、その人の体が今どれぐらい酸素が十分に安全に供給されているか血液が循環しているかなどと言うことを測ってコロナの程度を評価するというものが全国のいろんなところで行われていました。このSPO2と言う機械もちなみにただ指にはめるだけのものなので非常に簡単で誰にでも一般の方にでもその器具を持っていればすぐ自分の体の安全度を測ることができるようなものです。常に酸素を吸いながら治療を受ける事はとても大事ですがその酸素を体の中に入れながら笑気麻酔をすると言う状況であるので手術中は確実に身体の安全が保たれていると言うことになるわけです。

3.静脈内鎮静法

これはさっきの笑気麻酔よりもよりレベルを高くして本人の意識がかなりない状態になります。腕に点滴を打って手術中はそこから薬を入れて半分眠っている意識のないような状態になります。

先程にも少し述べましたがこれは全身麻酔ではないので完全に意識がなくなってるわけではないです。そして患者さんはただ自分がその時に行われた治療による刺激や痛み、怖さなどそういったことを、はっきりとは覚えていません。ただ実際には患者さんは我々術者から見て、体が急に動いたり、痛いのかなと思われるような首を動かしたりなどの、反応は普通の患者さんと同じように起きます。ですが本人は全く覚えていません。そして私たちが患者さんに喋りかけるとゆっくりと少し反応してくれます。違う言い方をすれば全く反応しないほど深く静脈内鎮静をするのは沈静度が高すぎてかけすぎで良くないと言うことです。

この方法は患者さんにとっては一見とても良い方法にも思えます。特にとても怖がりの人の場合にはこの方法は確かに向いています。しかしより程度の高い麻酔をかけているので様々な問題もあります。まず身体の健康状態に基本的な問題がないかその時点でできるできないなど。また当日歯科医院に自分で車で来た場合、帰るときに車を置いて行かなければいけないと言うことも考えられます。麻酔が本当に十分に切れて安全な体の状態になってから車に乗って帰る必要があるので、場合によっては行きも帰りもタクシーで移動した方が良いかもしれません。あるいは家族の方に送り迎えをしてもらうなど。

4.全身麻酔

インプラント治療を行う際に全身麻酔をするということがあるかと言うと、一般的にはほとんどないです。ただ大学病院で様々な諸事情により全身疾患等があり患者さんの健康などを踏まえ、そのような完全に患者さんが動かないような状態でコントロールして治療しなければいけない場合もあるので、ごく稀ですがそのような方法で対応することもあります。ですが一般の方がこのような全身麻酔を希望してもそれを受け入れてやると言う事は通常考えられませんので、これは候補としてはないと思ってください。

まとめ

以上を踏まえ、私の個人的な意見を最後にもう少し述べたいと思います。インプラントの手術を受ける際には笑気麻酔が私は良いと考えています。まずそもそもその担当医の先生と安心してリラックスして治療が受けられるかなどのコミニュケーションレベルなどがまず必要ではある事はもう言うまでもありません。笑気麻酔はもしあなたがやったことがないのであれば一度やってみてください。お願いするのも1つの方法だと思います。

一般の治療でも歯科医院では笑気麻酔を怖い人には使っていたりしますので。今インプラントの治療技術は大変進歩を遂げているのであまりそもそも痛くなく治療ができる可能性が高いので、静脈内鎮静法までやる必要もないことが実は多いと思われます。ですので体に負担がやや大きい静脈内鎮静法を避けて笑気麻酔の軽度な体にほぼ負担のない方法を選択するのが良いのではないかと考えています。以前でも述べたようにサージカルガイドなどを使ったインプラント治療を行いますので手術部位も狭い範囲で済みますので短い時間で笑気麻酔でインプラント治療を受けるというのが今の現状には合っているのではないかと考えています。安心してください。

インプラント 笑顔の女性

インプラント治療における痛みを出来る限りなくすには。

2023年3月23日

インプラント治療を説明している際患者さんからよく質問を受けることで、痛いですか?という話があります。あるいは1週間ぐらい腫れますか?などです。

歯科治療における痛みについて

あなたは歯科治療を受けてとても痛かった、あるいはとても腫れた、などの経験があるでしょうか。歯科治療は一般的に患者様たちは痛かった腫れたなどのマイナスのイメージが強いかと思いますが、実はそうでもないんです。

なぜなら痛くなく麻酔をして安全に治療する方法もあるし、笑気麻酔等を使って治療を受ける、など様々な対策もあるからです。ですが、インプラントとなるといよいよ手術ですので、ものすごく痛いのではないかとっても腫れるんじゃないかなどと想像が大きくなっていくわけです。

しかしながら、我々専門家からすればそれはとても間逆の話です。

例えば「腫れる」ということに関して言うと、どうして腫れるのか、それは実は親知らずがパンパンに腫れていて痛みも強い時に抜けば、それは間違いなく腫れるんです。炎症が大きいところを突っ込んで触れば、余計さらに炎症が拡大する、当たり前の話なのですね。

しかし日々出くわす臨床は、腫れているからどうしても我慢できないから、もうどうしても痛いし抜いてほしいということがあって親知らずを抜いたりして、とりあえずほっとしたのもつかの間、やっぱりそこ触ったので腫れてくるのです。

インプラント治療をしたら腫れる?

インプラント治療はパンパンに顔が腫れている日にやるでしょうか?いやそんな事はありませんよね。インプラント治療をするには、治療予定の部分の歯茎が充分炎症が治まっていて安定している状況を確認して、治療計画を立てています。また埋め込むインプラント自体は滅菌された綺麗なものですから、それを骨や歯茎の中に入れたからといって炎症して腫れる原因にはならないのです。

どうして腫れるのかといいますと、いろいろなことが考えられますが、よくあるのは歯周病の程度が進んでいる人です。そもそも口の中の衛生管理がイマイチで歯周病菌などがお口の中にいるので、インプラント手術をした際にどうしても観血処置ですので歯茎を切ったりして血が出たりします。そのため、お口の中の細菌が回って炎症が波及することが考えられます。

他にはタバコとか。タバコを吸う方には非常に残念な話なのですが、ぜひともタバコを吸うのはやめた方が良いと思います。インプラントをしてタバコをいっぱい吸ってしまうと腫れるリスクもありますし、インプラントが骨にくっつかずなじまず取れてくるというリスクもあります。

そもそも自分の歯が悪くなるリスクも当然あります、全身の健康においても非常に心配なことですよね。他には糖尿病が重度であるとか。糖尿病の患者さんでもインプラント治療は可能なのですが炎症に対して耐性が弱い状態ですから抗生剤などの薬をしっかり飲んだりお口の中を清潔にしておくという基本的な衛生管理をしっかりとやって手術に臨むことになります。このような基本的な健康管理的な部分を甘くしていると腫れやすいです

痛みと腫れの関係性

さて次に痛みに関して話を進めていきますが、痛みと腫れというのは実はとても近い距離にいます。腫れなければ痛みもあまり出ません。そうなるといかに腫れないかということが1つのやはり大事な課題になってくるわけなのですが、腫れないためにどのように手術に工夫をしているかということなのです。

前回のコラムにも書いていますが、サージェリーガイドを使うことが1つは大事です。それは何故かというとサージェリーガイドを使えば歯茎を切る量が最小限で済む可能性が高いからです。切る範囲が広ければ広いほどやはりそれは腫れるリスクが増えていきます。逆に切る範囲がとても狭ければ腫れたとしても最小限の腫れや痛みで済むわけです。

過去に行ったインプラントの中でこのサージェリーガイドを使いオペをした人で、全く痛くなかった腫れも全くなかったという方も実はいます。このような方は様々な好条件が重なって行っている手術です。それはどのような条件かというと骨が十分にある。歯茎が安定していて歯茎の量も十分にある、そしてサージェリーガイドを使って歯茎を切ってめくるのではなく、歯茎に3ミリ程度の小さい穴だけを開けてその小さな穴から骨を削りインプラントを入れていくということが可能な場合です。この場合は糸で縫うこともないのでとても歯茎が腫れにくいのです。その結果痛みをほとんど感じることもありません。ですが実際問題このような好条件で手術が行える人は残念ながら少ないです。100人に1人位だと思ってください。

実際の場合は歯茎の厚みが不均一であったり、骨が凸凹していたり、硬いとこと柔らかいところの差があったり様々な複雑な状況が起きています。そもそも歯が抜けてなくなっているわけですから何か問題があって歯を抜いているわけです。そこには何らかの残骸のようなダメージが残っているわけです。そういった意味でどうしても多少は腫れる要素があるわけです。

次に晴れないために腫れを抑える飲み薬を飲んでもらいます。また晴れないためにその手術の場所に専用の注射を売ったりしています。これはステロイド系の薬なのですが、内科等で一般的に出されて飲んでいる方もいます。インプラントでこれらを使う場合にはかなりごく少量です。ですからステロイドによる様々な問題も起きる事はほぼないです。

最後に

このような様々な工夫をしてインプラント手術に臨みますがその結果、患者さんが次の日消毒に来た際に、思ったよりも痛くなかった思ったより腫れもないよと言ってもらったりして、私はとても嬉しい気持ちになります。頑張ってやってよかったなぁと幸せです。

インプラント

インプラントとガイドサージェリー

2023年3月19日

今回は前回に引き続きインプラント治療においてのガイドサージェリーについて話をしたいと思います。

さて前回インプラント治療をする上で、CT検査をすることの大切さ、重要性を話しています。そして3Dスキャナカメラを用いた口腔内検査も大切であるということをお伝えしました。そしてこれらのデータを専用のコンピューターソフトを用いて画像診断していくことが正確なインプラント手術を行うという話をしました。ここまでの話はいわば行って見れば、かなり正確な地図情報を持っているという話です。

そしてさらにこれらの3Dの特殊なデータを用いてすごいことができるのです。それがガイドサージェリーというものです。

ガイドサージェリーとは?

もしあなたが今から電動ノコギリで木を切ってください、そして長さ10ミリまで切って止めてくださいと言われたらどうでしょうか。おそらく鉛筆などでまず10ミリ書いてその作業をするのではないでしょうか。

逆にその鉛筆線を書かずに大体10ミリここまでだろうと思って勘で電動ノコギリで削るとそれはもしかしたら8ミリかもしれない13ミリまで削っているかもしれないですよね。インプラントの手術は骨の中に作業のバーを入れて削っていくわけですがこの正確な深さや角度等をガイドする道具を事前に作ることができるわけです。このガイドに合わせて手術部位を削るのでほぼぴったりの深さまで削ることが可能なのです。また角度も正確で右にも左にも曲がらず予定の方向へぴったりと進んでいくしかないです。

例えばあなたがカッターナイフで紙を切る際に定規などを当ててガイドしてまっすぐ切るということをしたことがあるのではないでしょうか。ただ定規にさえ寄せてカッターを動かしていけば確実にまっすぐな線が切れますよね。簡単に言うとこれと同じ原理です。

日本には職人技という言葉がありますが、確かに私たち医療従事者は常に自らの腕の研鑽を積み、より正確な手の動きを再現できるような手練となれば何もガイドなしでもそのように正確に動くのです。

しかしどんなに手練になったとしてもこのサージェリーガイドがあれば、かなり安心して正確な手術ができるのです。実際のオペ中には口の中の奥など非常に見にくかったり、あるいは手が入りにくかったりするような場所にも処置を行うわけです。その際にガイドがあることによって確実に正しい方向へ切削器具を移動させることができます。

またしっかりライトを当てているのですがやはり見えにくいところもあるわけです。ですので仮にライトがあまり当たらず暗かったとしてもガイドでどこまで進めば良いのかが手の感触ではっきりとわかるのでとても安全なのです。

そしてこのようなガイドを使うことによって、手術時間も短くなります。ガイドを作る前に先ほど話したCTデータや3Dスキャナ口腔内データをもとに治療計画をしっかりと立てていますのでその時点でどこにどの角度でどのようなものを入れるのかということを綿密に計画しています。そこには時間を十分に割いても患者さんの手術時間が長くなるわけではありません。患者さんが口を開けてずっと待っているわけではありません。手術前に十分に準備として時間をかけるわけです。

そして手術のときにはガイドではっきりと場所が分かっていますのでそこを一気に治療が進むことができるわけです。手術時間の短縮が、それは言って見れば出血している時間を短くすることができるということなのでもちろん安全です。そして痛みや腫れが少なくなるということなのです。

ガイドには弱点もある

今までガイドの利点をたくさん話していきましたが、もちろん弱点もあるわけです、それに関して少しばかりさらに追加してお話をしたいと思います。

どんな手術、医療技術も100%という事はありません。ガイドを使ってもそもそも誤差というものは必ず存在します。例えばほんの少しCT検査をする際に患者さんが動いてしまったなど。ちなみに3Dスキャナ検査は患者さんが多少動いても実はほぼ誤差は出ません。

このような事前審査で十分に安全で確実であると判断していても実際には手術をしてみたら骨の状態が思ったよりも悪かったとか、あるいは隣の歯自体がもうぐらぐらしていて安定感が悪く、ガイドに多少誤差が出てしまうなど、やはり人間なのでいろんなことが起きるわけです。

そういう意味でガイドを使うことによってかなり安全で確実で正確な手術ができる事は間違いないのですが、それでも念には念を入れて誤差がもしかしたら起きるかもしれないということを想定して行っています。具体的には深さ的な部分において2ミリの誤差を想定していますこの2ミリという数字はかなり安全域を取るための大きな数字です。一方左右差等の誤差に関してはやはり2ミリ程度を見ていますが実際にはそのような大きな誤差が出てしまっては全く話にならないという状況が起きるので、実際に起きる場合はおそらく0.2ミリ程度だと考えていますが、それらの誤差は手術で骨を埋めたり様々な技術によってリカバリーすることが可能である範囲です。

またこのような数字的な誤差でうまくいかないというよりは、患者様がタバコをたくさん吸ってしまったなど他の要因で、後々うまくいかなくなることがあったりします。

まとめ

このサージェリーガイドはほとんどの場合かなり正確な手術を可能にする道具です。しかし我々医療人はそれを100%過信することなく、十分に活用するということです。という事は万が一サージェリーガイドがうまく利用できなかったとしても自分の手練れ、テクニックでうまく手術ができるかどうかということも求められてくるわけです。私自身事実、サージェリーガイドを途中まで利用し、この先は誤差が考えられるので途中からは使わないというようなことも経験しています。

医療の技術、その手法、様々なことがどんどん進化を遂げていく中でその技術を十分に勉強し活用し、それを患者様に恩恵として提供できることを考えていく事はとても楽しく有意義なことです。そしてその中で常に様々な可能性を分析しながらやっていくことです。そしてやる側も人間ですし患者様も人間です。そういったことも踏まえてより良いインプラント手術を行いたいものです。

インプラント 歯科 3Dスキャナ

インプラントと3Dスキャナ

2023年3月16日

こんにちは、前回インプラントとCT検査に関してお話をしました。今回はそれに加えて3Dスキャナの検査についてもお話を加えていきたいと思います。

3Dスキャナとは?

お口の中を検査する道具なのですが、スティック状のカメラです。この特殊なカメラでお口の中を3分程度撮影します。カメラというのは2次元で取れるわけですが、この3Dスキャナのカメラを使うことによって3次元のデータ取りができます。

写真というものは2次元で見ています。お口の中を通常にカメラで写真をとれば2次元で見ることが可能なのですが、この3Dスキャンナーのカメラを使うと3次元のデータを取ることができるのでコンピューター上ではあなたのお口の中を3次元で再現、表現することができます。3次元の立体映像をパソコン上で出すことができ、この立体映像を好きな角度に自由に回転させた状態を見ることができるのです。

このデータ取りの検査を行うわけです。3Dデータと前回のCTデータ、この2つをコンピューター上で合体させることができます。そうするとCTのデータは主に骨や歯などの硬い組織に対して正確であり、一方3Dデータは歯茎などの軟組織と言われる柔らかい部分のデータを正確に再現しています。

そうするとなんとお口の中の硬い部分柔らかい部分の全てが合成されて状況を正確に分析できるわけです。しかもその歯茎の中まで骨の中まで歯の中までわかるんです。

これは実はかなり画期的なことです。今まではCTのデータを中心に歯、骨の硬い組織の位置関係が正確にはわかっていたのですが、その上に乗っかっている柔らかい組織の歯茎の厚みはおよそ2ミリから4ミリ位であろうという大体の値はわかっていたのですが、それも正確にわかるようになったのです。そうするとかなり厳密な治療計画が立てれるということになります。

一般的に、解剖学的な平均値で上顎の歯茎であれば厚みは4ミリ位、下顎の歯茎であれば厚みは2ミリ位というまず基準がありそこから、CTに薄く写っている歯茎の位置関係を見て、おおよその事はわかっていました。しかしあくまでおおよそなのです。このおおよそが正確にわかることによってとても重要な進化を遂げるのです。

インプラント治療における3Dスキャナの重要性

3Dスキャナを使うことでインプラント治療を行う際に何ミリの歯茎を貫通してその上にどれぐらいの大きさの歯を入れることになるのかという比率が正確に分かり、どこにどの程度の大きさのインプラントを入れるべきなのかということを大体ではなくより理想に近づけるということが可能となったのです。これは大きな前進なのです。正直患者さんにはそこを正確に見ることができないのでよくわかりにくい部分です。しかし私たち医療人にとっては治療する側としてより長持ちする設計を最初から考えることができるというのはとても嬉しいのです。よりインプラントが長持ちする、より歯茎が減っていかない、より歯の形が正確に再現できるなどとても魅力的なことなのです。

また、このような分析方法は実は以前にはややそれに近い方法がありました。それは歯の歯型をとって模型を作ることです。石膏模型を作ります。次にその石膏模型の中に3箇所程度ランドマークとなる鉛などの小さな鉄球を埋めます。そしてその模型をもう一度CT撮影するのです。そしてその2つのデータを見比べて歯茎の厚みがコンピューター上で計測することができたわけです。

ただしこれは模型を作ったり、様々な複雑な手順が多く、どうしても誤差が避けられません。そのため、あくまでも参考値という状況です。この複雑な作業を歯科医師および歯科技工士が打ち合わせをして行っていました。とても時間のかかる作業です。そのため費用もかなりかかっていました。このような作業を丁寧に行っていくために一般的には100,000円程度の費用がかかっていたと思います。3Dスキャナが使えるようになってこのかなり多くの手間が一気に減りました。ですので前回検査費用はCTだけであれば10,000円から30,000円位、3Dスキャナの検査も含めるとおそらく50,000円位の医院が多いのではないでしょうか。

そしてさらに話は複雑になっていきますがこのCT検査及び3Dスキャナ検査によってかなり詳しい状態が事前にわかるわけです。そしてそのデータをもとにインプラントを正確に一定の場所に埋め込むためのサージェリーガイドというものが作ることが可能となっています。このサージェリーガイドに関してはまた次回詳しく話したいと思いますが、医療は常に進化していきより良い方法がどんどん生まれていっています。

3Dスキャナでの検査は痛みを感じる?

3Dスキャナでお口の中を検査するのはほとんど痛い事はありません。先程、スティックカメラのようなものを口の中に入れて検査するということをお伝えしました、2.3分程度の時間がかかるということも伝えましたが、口が小さい人などは奥に器具が入っていくので少し気になるかもしれませんが、いわゆる胃カメラのような検査ではありませんのでそのようなことに比べると全く楽です。

また、今までの従来の歯の歯型を取るということもしなくて済みますので、歯型を取るのが苦手な人にとってはとてもラッキーな話だと思います。ベタベタすることもないのです。また環境的にも石膏模型を作ったりというプロセスがないので良いことであると考えています。苦しい思いをしないで検査できるのでこのような検査をぜひとも受けることをお勧めします。

最後に

私も医療人としてこのような技術の中で今医療を行うことができることを幸せに思っています。インプラント治療が日々とても楽しいです。インプラントの素晴らしさやインプラントの価値が少しでも皆さんに伝われば幸いです。

 

インプラント 歯科CT

インプラントとCT検査

2023年3月12日

CT検査をあなたは受けたことがありますか?CT検査とは、なんでしょうか?

内臓が悪い、頭の何か病気など様々な疾患で多くの場合、病院や外科などで受けていることがあるかもしれません。CT検査では体の中の内部の構造がわかったりするのです。ですので医科ではとてもよく使われている検査の1つです。事故や病気など様々な状況の中で体の中の細部に何か問題がないか、どのような状態になっているかを知りたいのです。

しかし、実際にその中を切って開いてみるわけにもいきませんしそのようなことをしてしまえば体にとても大きな重篤な被害を与える可能性があるわけです。ところがこのCT検査をするとパソコンコンピューターを使ってかなり細かいところまで中の断面図が分かります。そしてどのように治療すべきか、どのような薬を使うか、どのような手術をすべきかなど様々な治療計画、治療の経過を評価することができる優れた検査なのです。

さて歯科におけるインプラント治療においてもこのCT検査を大抵の場合は現在は行っています。歯科治療におけるインプラントではインプラントは顎の骨の中に入れるわけです。顎の骨の中が普通のレントゲン等ではある程度の事はわかります。しかし歯を削って治療するのとはちょっと違い、骨の中を触っていくので骨の中を削りながら状況を確認しながら治療するというわけにもいかない場合が多いのです。ですのでインプラントの治療をする事前に、骨の中がどのような構造になっているのか正確にわかると非常に助かるわけです。

具体的には例えば上顎の奥歯にインプラントを入れる場合、その骨の厚みが何ミリあるのか?厚みが2ミリなのか15ミリなのか?また骨の奥行きは5ミリ位なのか15ミリ位なのか?そういうことが歯茎の上からいくら見ていてもわからないのです。一般的な歯科用のレントゲンではある程度の予測がつきます。しかしこのCT検査をすることによって0.1ミリ単位で骨の量や骨の形が具体的により鮮明にわかるという大変ありがたい検査なのです。

私は現在、歯科医院の中で、CT検査を行い治療計画を立ててどのようなサイズのインプラントをどの場所に入れたら良いのかを判断しています。インプラントとひとくくりに言ってもインプラント自体のサイズもいろいろあるわけです。ですのでその骨や歯茎の状態、周りの残っている歯の状態などをよく鑑みてどのサイズ、例えば8ミリなのか、11.5ミリなのか径4ミリなのか径5ミリなのかなど様々なことを、より適したものを最初から計画で検討することができるわけです。

またこのCT検査には他にも様々な良いことがたくさんあります。下顎にインプラントを行う場合には、下顎にはある程度大きな神経や血管が入っています。その位置がわかるのです。インプラントを顎の中に入れる際その大きな神経や血管と直接ぶつかるようなところは出来る限り避けて治療計画を考えます。その位置が事前にわかっていれば、より安全が治療計画はどうしたら良いのかということを考慮できるわけです。

また、上顎の場合は上顎の骨の上から鼻のエリアの方へ向かうと、鼻の側に様々な炎症があったりする場合がありそのようなことが事前にわかるということも大変優位性があります。すなわち鼻炎があったり鼻閉があったりする場合には、上顎にインプラントをする場合、普段はどってことないんだけれども、治療したことによって炎症がより広がることがあるのです。それを事前にある程度予防的に予測して薬をたくさん飲んでもらったり、もしくは耳鼻科にもう一度行ってもらったりなどということも考えられるのです。

上顎の場合は骨が薄いことが多いので、骨を造骨しなければならない場合もあります。そのような場合にもどこにどの程度造骨すべきなのかが立体的に事前に予測しやすく、そのインプラント治療の侵襲度が最初からわかり、どのぐらい時間がかかるのか、どれぐらい腫れそうか、どれぐらい痛みが出そうかなどもある程度予測がつきます。

またこのCT検査で必須になってくるのがパソコンのスペックです。かなりたくさんのデータ量でこのデータを分析し、かつ円滑に動かしてパソコン上で調べるにはかなりハイスペックのパソコンでやらないとなかなか動きが遅く大変なことになってしまいます。

簡単な例を挙げると体の中の構造を0.1ミリの幅でスライスしながらそのすべての写真データを同時に見ながら立体の画像を作っていくわけです。これだけの3Dの作業をやるとなるとパソコンとしてはかなり負担がかかるので、それなりのパソコンが必要というわけです。医療はどんどん進化していき、検査の器具や機械その機能を使うパソコン、パソコンソフト様々なものが同時にどんどん進化していっています。常により良いものが生み出されていきます。これらの最新技術を駆使することによってより侵襲度の少ない治療が行え、かつインプラント治療が安全に行えるわけです。

出来る限り痛みも少なくできる限り腫れも少なくということも可能です。そして治療期間も短縮されることがあったりします。また骨がとても少ない人でも状況をよく分析することによって少ないなりにどうしたらできるのかという治療計画を考えることができるので、今までは難しいと思われていたようなインプラント手術も多くの方にその恩恵があるかと思われます。

今までのインプラント手術ではある程度の予測をもとに実際にオペの際にその歯茎の中の骨を見てもう一度そこで確認し、どうしたら良いかということをもう一度判断し、あるいは途中でもう一度計測したりレントゲンを撮ったりして何とかフォローしていたわけです。ですが今はCT検査があるために事前にかなり正確なことがわかっているためによりピンポイントで触るべき場所を決定することができているので、とても侵襲度の低い治療になっているはずです。より狭い範囲でそこだけを触れば良いということが事前に判断できているからです。

このようなことでCTの検査は最近では多く行われています。またCT検査の費用はCTの撮影だけであれば10,000円から20,000円程度の病院が多いと思われます。またその検査をもとに分析すると30,000円から50,000円ぐらいの費用がかかっていることが多いです。

もしあなたがインプラント治療を受けるのであれば、その歯科医院でCT検査を受けることを私はお勧めします。今、歯科医院でもCTを完備している医院はだんだん増えてきています。他の病院施設でCTだけを撮影してもらうことも可能なのですが各病院によってCTの種類も違いますし、それは医科用のCTですので、インプラントに特化したCTではないです。歯科に特化したCTではないです。ですので歯科専用のCTで撮ることがインプラントをやる上では有利であると私は考えています。

以前は医科用のCTの方が骨密度を図る上では正確であるということが言われていましたが、現在では歯科用のソフトがかなり発展してきているため、そこに差はあまりなくなっているので、やはり歯科用のCTを使って検査をすることが最も有利ではないかと考えています。

今回はCTの話をしましたが実は今現在、さらに進化していてCTと3Dスキャナを用いたよりレベルの高い検査が行われていますので、それはまた次回の機会にお話ししたいと思います。

私はあなたがより最新の医療技術の恩恵を受けてより快適な楽しい日常生活が送れることを応援しています。

インプラント

入れ歯の難しさとインプラント

2023年3月5日

先日愛知県の栄で東京医科歯科大学同窓の集まりがありました。この集まりは愛知県で仕事をしている東京医科歯科大学の歯科医師の集まりです。この時、東京から高齢者の入れ歯の専門の水口教授が来られました。そして講演を聞きました。

講演後、食事をしながらみんなでいろんな話に花が咲きました。この集まりはドクターはみんな歳がバラバラで高齢の方は90才近いかたもいました。若い先生はまだ30代です。このようなバラバラな年齢なのですが、大学の昔の時代を懐かしむ話も多少出たのですが、なんと一番この時盛り上がった話は、入れ歯の話でした。

さすがに「へぇー東京からわざわざ教授が参加されたので、そうなのかなぁ」という気もししないでもないですが、難しい入れ歯をどう攻略するかと言うことを延々とみんなで様々な意見が出て大変面白い会でした。特に愛知県からは愛知学院や名古屋大学の教授なども約4名参加されていて、それぞれ専門分野が若干異なるのですが、それぞれの立場から大変面白い意見が出ました。

結論的には、もしその患者様が数本でもいいからインプラントを入れることができるのであれば、それが最も安定する噛み合わせになり、かつ入れ歯を安定させることも容易である。すなわち例えば仮に2本歯が残っていた場合、それ以外の場所に4本ぐらいインプラントを足して、そのインプラントを足場として上に入れ歯を載せてその入れ歯が安定するようにするという方法です。

これは従来から長い間研究されている方法でどのように歯が残っているかにもよるのですが、その時にどの場所にインプラントを何本足すと良いのかと言うことがずっと学会でディスカッションされています。それに対して現場としては、上顎であれば4本、下顎であれば2本、もしかしたら条件が良ければ1本でもいけるのではないかということが発表されています。

一方で、もしインプラントを足さない場合どのような解決策が考えられるかということも深く話題となりました。その場合は残っている歯を背の丈を低くして高さの差を減らして入れ歯の中に隠してしまい利用するのが良いのではないかという意見がやはり出ました。

これは昔から使われている方法で、大きな入れ歯を使っている場合、中途半端に二本ほど歯が残っているとその歯が、かえって足を引っ張ってしまい入れ歯が安定しないということがあるのです。そのためはその歯を削ったり小さくかぶせたりして入れ歯の中に隠れるような形にして入れ歯と一体にしていくと言う手法です。

ここで名古屋大学の教授より大変面白い意見が出て、このような歯を残痕状態にして残す場合入れ歯の縁をどこに決めていくのが良いか、縁をあえて小さくした方が良いと言う意見が出ました。この教授はもともと部分入れ歯の専門家であり、このような方法をとることによって残っている残痕が歯周病になりにくくより長持ちするという自分なりの見解を述べられました。

実はこのような方法はあまり多くはとられていないです。これをやるにはかなり手先が器用なドクターではないとできないと思いますし、よほど戦略的に治療計画を立てないとなかなかうまくいく事はないと思われます。しかし、この教授の述べるようにこの方法をうまく活用できるのであればより長く持つ可能性も出てきて非常に面白い意見だなぁと思って聞きました。

また現在愛知学院で部分入れ歯の専門の教授から大変面白い意見も出ました。それは入れ歯がうまくいくいかないというのは、技術的な問題もあるが、その患者さん本人の気持ち気分の問題もある、だから技術一辺倒で行けるところというのは限られていて、患者さんをどうやって盛り上げていくかという部分も結構大事だよと。

本人が入れ歯ぴったりくっついていて絶対落ちないんだと思い込んでいると、実際には外れるわけだから落胆するわけで入れ歯とどうやって付き合っていくかと言うことをよくよくいろんな例を挙げて話していると言っていました。

訪問診療を専門にやっている元教授も残痕をどのように扱うかということに関して非常に様々な知見を述べられていました。実際患者様が高齢になって自宅療養していたり施設に入っていて歯科医院に通うことができないような場合、そのような残痕は出来る限り早く抜くべきである。特に身動きできなくなるような前にある程度健康な状態でまだ歯科医院に通っている状態、その時にもうこの先に残らないなという根が弱っている歯は抜いておかないといよいよ後で困ってしまう。これから100年時代なので、よくよく計画を考えてお口の中を整理していく先を見据えた治療計画が大事だねということをおっしゃっていました。

このような話の中でとても大切だなと思った事は、やはりドクターは入れ歯が十分に対応できないとインプラントをいくらできても意味がないということです。患者さんは最初からたくさんの歯がないわけではないので、もし歯を1本や2本を失ったときに使うインプラントは1、2本程度足せば良いと言うことになるでしょう。

そのため、この1、2本歯を失った患者さんの対応は確かに入れ歯の対応ができなくてもそこだけを治療すれば良いのでそれでとりあえずインプラントの治療は完成するわけです。しかしその先もっと歯を失うと言うことも想定されるわけです。そしてずっとずっと先には高齢になったときに残念ながら大きな入れ歯になっているということもあり得ます。

そのような状況になったときに、インプラントを何本足すのかあるいは入れ歯をどのようにフォローして使っていくのか、入れ歯の治療計画を十分に考えることが大切になってきます。前回のコラムにも書いていますが、入れ歯とインプラントを並行して付き合っていかなければならない治療期間が必ず存在するわけです。より安定させるためにインプラントを増やしていくわけですがその際にインプラントは治療を行ったその日に上に歯がすぐに入るわけではないですから、すなわちインプラントが安定するまでには何ヶ月も時間がかかるわけです。その間、入れ歯を使っていなければならないと言うことが十分に想定されるわけです。

そのため、やはりインプラントと入れ歯を総合的に活用した治療計画、治療技術が求められます。そうなるとやはり入れ歯というものに関してかなりこだわって治療技術を磨くことが改めて今回の東京医科歯科大学愛知県歯科同窓会の集まりの中での食事会のディスカッションでよくよく痛感したことです。

また、やはり、入れ歯というものはとても人の人生を考える上で面白いものだなぁと思いました。最初はすべて歯があるのですが、人間はやはり歳をとりどうしてもだんだん体は変化し弱くなっていくものです。その中でどうやってアンチエイジングしていくのか、どうやって少しずつ減っていく歯がなくなることをくい止める、もしくは何らかの形で補ってフォローしていくのかとても深い治療だと思いました。

あなたは今もうすでに歯をたくさん失い大きな入れ歯を入れているかもしれません。あるいはまだ2本程度は失っただけなのかもしれません。いずれにせよ、現代は予防の時代でありどんどんどんどん歯をしっかりと残していくということは可能ではあるのですが、人生100年時代において、1本も歯を失わないで走り続けるということはかなり難しい部分もあります。

そのため、もし歯を失った場合、そこをどう補うのか、それをよくよく全体のバランス、お口の中体の健康を総合的に考えて予防を踏まえた補綴治療を考えることが良いのではないかと思います。そういった治療計画において必要に応じて入れ歯を使い、理想的な治療としてインプラントを入れていくことを私はお勧めします。

インプラントができるとなると、歯を磨くなどのメンテナンスも非常に楽で、万が一寝たきりなどの介護状態になったとしても、周りの人がメンテナンスしやすいというメリットも大きいです。お口の中がどんどん汚れていった状態の寝たきりの方は大変危険な状態です。それはお口の中の細菌こそが全身状態を悪くするからです。単に病気、内臓の病気などが病状悪化させていくというよりは、お口の中の余計な細菌が体へどんどん広がっていき本来罹っている病気をより悪化していくということなのです。

つまり、どのようにお口の中を安全な状態を確保できるか、これがかなり重要です。