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歯のかぶせ物の精密度と歯型取り

2024年1月25日

あなたは歯の治療を受けたことがありますか?そして歯に何か金属やセラミックなどのかぶせ物をくっつけたことがあるでしょうか?

歯のかぶせ物を作る場合には、歯の型をとっています。この型を取るのは精度というものがあります。簡単に言うと粘土のようなものでお口の中に材料を入れて型取りをします。そしてそれを石膏で模型にして形を再現するわけです。その再現してできた石膏模型で歯科技工士が歯の形を作っていきます。

この型を取る際に材料があるのですが、ベタベタしたものの事ですね。実はいくつか種類があります。この型を取る材料は寒天などを用いた材料で取る場合、これは主に保険診療で使われています。

そしてもう一つはシリコンで取る場合、これは主に自費診療で使われています。ここには大きな差があります。これを少しばかり深掘りしていきたいと思います。シリコンは何が良いか?シリコンは変形精度が少ないということです。

ちなみにどれぐらいの変形精度かと言うと、± 10ミクロンです。そして先に言った保険で使われている材料の場合は、多くの場合100ミクロンは変形があると言われています。ここで10倍の差がありますね。じゃあ10倍の差があるから、やはりシリコンがいいんだと言うふうにそういう単純な話ではありません。

このシリコンの良さは他にもあって、この変形精度がどれぐらいの時間長持ちしているかということなのです。なんだかわかりにくい話なのですが、こういうところに意外に重要なことがあります。先ほど石膏を使って石膏模型を作ると言う話をしました。シリコンの場合、型をとって1時間後に石膏模型にした場合と24時間後に石膏模型を作った場合でほとんどその精度は変わらないです。10ミクロンの誤差のままなのです。

一方で、寒天などの材料でいわゆる保険の材料のことですね、これで1時間後に石膏模型を作った場合と24時間後に石膏模型を作った場合では、もうこれは恐ろしいことが起きています。24時間後に石膏模型を作った場合は、もうそんなのは全く使い物にならないのです。誤差だらけです。歯科技工士から言わせれば不可能です。やり直しです。このような時間軸の問題があると言うことです。

実際の治療において時間の問題はあって、歯型を取った。すぐその横で、歯科技工士が石膏模型を作っているわけではなくタイムラグがあるわけです。院内において歯科衛生士、スタッフが石膏模型を作っている場合においても、多少のタイムラグはあります。まぁ一般的には1時間とか2時間とかその程度かもしれませんが、やはりけど時間が経つにつれて変形していく保険の材料はとても心配であると言うことです。このような点からシリコンを使うことが良いのです。

ですが、もっと別の角度からお伝えしたいことがあります。これはかなり専門的な話で一般の方にはわからない、そしてドクターであれば多少はわかるかなと言うような話ですが、大事なことなのでお伝えします。それは普段シリコンに使い慣れてない人がたまにその材料を使って型をとってもきれいに型を取る事は難しいということです。すなわちシリコンは使いこなすのがとても難しい材料ですので、その材料の特性をよく理解してやる必要があると言うことです。

ちょっと極端な例を話しますが、F1の車で走るのと軽自動車で走るのとどっちが早いでしょうか?もちろんF1カーのほうが早いですよね。ですが、F1カー1度も乗ったことがない人がその車、運転できますでしょうか?うまく運転できるとは思えないし、まっすぐ走れないかもしれないですよね。そうなると軽自動車の方が結果的には早くゴールするかもしれません。

ということは、自費診療でシリコンで治療する事は大事なんだけれども、自費の治療にいつも慣れていない、例えば1週間に1回しかその材料を使っていない人がシリコンで型をとってもうまくいかないということです。

ちょっと難しい話になってしまいましたが、お伝えしました。
長持ちを考えたとき、そもそもその被せ物の精度はかなり重要で、命です。保険は精度が比較的低いです。200ミクロンくらいの誤差が起きます、最終的に。
ではまた、改めてお伝えしますね。

磁石応用入れ歯とMRIの関係について

2023年11月30日

こんにちは、先日は磁石応用入れ歯がとても良いものであると言うことをお伝えしました。ですが、よく色々と勉強されたり、ネットを見ておられる方ですと、MRIの撮影の時に大丈夫ですか?ということを目にしたことがあるかもしれません。

病院等でより詳しい体の検査をする際にMRIの検査をすることがあります。このMRIの検査をする際には、体の中にアクセサリーや時計などをつけていれば、当然外さなければいけません。もしそのようなものをつけていれば、ものすごい磁場の力で、それが引っ張られて、体に大きな傷を負うことになるかもしれない、とても危険なことが起きるからです。そうすると磁石応用入れ歯はどうなのかということなのですが、これにはいろいろな考え方があります。

まず入れ歯の中に入っている磁石ですが、これは特に問題は起きません。というのもこの検査をする際には部分入れ歯などはお口の外に外してから検査をすると言うことが徹底されているからです。MRI検査に影響を与える磁石をお口の外に外して検査を受けますので、この検査がうまくいかない、体に害を与える、などと言う事はありません。

ですが、1つ問題がありまして、それは先日話したお口の中には、磁石にくっつくための金属の板が埋め込まれていると言うことを書きました。この金属の板は、実はかなり特殊な金属を使っています。例えば、歯を治療する際に金属を使ってかぶせ物をしていることがあります。このような金属は特にMRI検査をしても一切問題はありません。ですが、この磁石にくっつくための特殊な金属は、MRIと実はあまり相性が良くないのです。このMRI検査をする際にこの金属があるために引っ張られるとかと言うような事はありません。ですが、このMRI検査が終わった後の画像診断の時に影響が出ることがあると言われています。

この影響とはどのようなものか、画像診断をする際に、この金属の板が、その金属の板よりもやや大きく画像を乱すような大きさになって映り込んでくるのです。ゴルフボール大位と言われています。そうなると正確にこの画像を見て綿密に調べていきたいにもかかわらず、画像がはっきりと読みにくいところが、お口のそばにゴルフボール位の大きさで影響を与えているということです、そうなるとどうでしょうか?

このMRI検査がどこの場所を正確に診断したいかということと関わってきます。もしその検査が頭の脳などを調べたい。これが実は1番多いですが、そのような場合は顎の位置であれば特に問題が起きる事は無いです。しかし鼻や顎のそば位だともしかしたら、先程のゴルフボールほどの乱れが影響してくることもあります。

この影響が心配される場合、MRI検査の前に金属の板を外すことも考えられます。その際は歯科医院にて、外す処置をします。あまり起きることではありませんが。

総合的に判断して、金属の板を外すことになる頻度はかなり低いので、外すリスクより、磁石応用入れ歯の利便性のほうがベネフィットが高いです。日々の快適な生活を優先して、この磁石応用入れ歯を選択していきます。

どうして磁石を用いた入れ歯が良いのか?

2023年11月26日

先日、私は磁石のタイプの入れ歯をやることはできますかと言う質問が患者様からありました。
磁石を応用した磁石式入れ歯というものがあります。これはどのようなものでしょうか?一般的に入れ歯というものは自分の残っている歯に対して、針金の金具をかけて引っ掛けている場合が多いです。この引っ掛けた金具が入れ歯を安定させるために様々な役目を担っているわけです。

一方、このような金具のひっかけ部分をあまり多用せず、この役割の代わりを磁石にやってもらうと言うタイプのものがあるのです。磁石を使っていると言うことは、くっつくということです。入れ歯とお互いにくっつく構造があるわけです。具体的には入れ歯の方には磁石が入っています。入れ歯の中の内側に磁石が埋め込まれているということです。そしてお口の中には、その磁石にくっつくための金属の板の部分があります。この板の部分は、自分の歯の根等に埋め込んであるわけです。歯の根の上に板状の金属がセメントなどでくっつけてあります。そうすると、磁石と板がくっつくということが起きて、結果、入れ歯はお口の中で安定すると言うタイプのものなのです。

このような入れ歯を磁石タイプの入れ歯を作るにはいくつか条件があります。
その条件とはいろいろあるのですが、大きな要素としてはお口の中に歯の根が残っていて、その根に金属の板のものをくっつけることができるかです。ですので、歯の根がもし1本もなければこのような方法は簡単にはできないかもしれません。またこの磁石にしたほうが良いような歯の根が残っているかということです。もし金属の板にせず、普通に歯をかぶせたほうが良い場合であれば、無理にこのような事はしません。あるいは全く削っていないような歯を無理矢理削って、金属の板に置き換えると言うようなこともあまりしません。と言うことから、お口の中の状況によってこの磁石を用いることが適しているのか、適していないのかということがあるのです。人によって違うということです

ですが、現在の高齢化社会を考えるにこの磁石を用いた入れ歯を使うことができるタイプの人の場合は、磁石を応用した入れ歯にする事はとても有意義な意味があります。
以下にそのことを書いていきたいと思います。よく磁石を使う入れ歯の話をすると、先進的だから良いのではないかと言うことを患者さんから聞いたり、あるいは金具ではなくて磁石なので、入れ歯の中に埋め込まれていて目立たないから審美的に良いのではないかと言うことを言われる方がいます。確かにそうなのですが、もっと他にとても良いことがあります。

それは磁石を用いた入れ歯の脱着はとても楽なのです。入れ歯を口の中に入れて、なんとなく磁石が板の近くにそばに寄っていくとカチッと入れ歯がここだなと言うとこで、最後安定してつけられるわけです。外すときにはやや力を入れて引っ張るのですが、ある一定以上の力をかけてやればスコーンと簡単に外れます。そしてこの取り外しには上下のまっすぐな動きではなく、できるのです。

ですので、もし多少手が器用でなかったり、あるいはだんだんと手の動きが不自由になってきているような高齢者だとしても、やや斜めから大体の位置で入れても、磁石が入れ歯を誘導してくれるので、取り外しがとても楽になることがあります。これはとても大きなメリットです。本来、部分入れ歯と言うものはある一定の方向からすっと入れることが非常に精度的には良いので、そうすると残っている歯も無理な力をかけず、歯を安全に長持ちさせるということができたのです。ですが、これはあくまでもまっすぐに上下に入れ歯を上手に入れられると言う前提の話であり、それは手がうまく動くと言うことが必要ですし。

もし介護のような状態で第三者がその入れ歯を、入れたり外したりするとしましょう。その時に本人が入れ歯を入れるのと、他人が入れ歯を入れるのではだいぶ意味が違ってくるのです。本人の場合は自分の体で、なんとなく手の感覚で、こんな感じ入れると入るというのが染み付いているわけです。そして今ぐらいで入れたら大体痛くなくすっと入るなど本人はわかっています。ところが他人が入れるときにはこれだけぐっと入れると痛いとか押しすぎだとか、あんまりいまいち入っていないとかわかりにくいのです。でも、その時もしそれが磁石式の部分入れ歯であれば、磁石がある一定のところに来るとくっついていきますので、カチっと一定の位置でくっつこうとして誘導されます。そしてピタッと止まるので、他人でも上手く手伝えます。これはとても便利です。他人が口の中に入れようとしたときには非常にその人は助かります。これで確かに入ったなというのが第三者でも実感できるのです。

磁石入れ歯はまだまだ普及はしていないです。ですが、これからの超高齢化社会において、健康長寿に寄与すると思われます。

入れ歯の針金によって歯は締め付けられるのか?

2023年11月19日

先日入れ歯に関しての患者様から質問がありました。それについてとても重要なことなので、皆さんと共有したいと思います。その患者さんは、ノンクラスプタイプの入れ歯を作りたいと言うことを申し出ているのです。

まずそもそものノンクラスプの入れ歯とは何でしょうか?それを少しだけ先にお話ししたいと思います。ノンクラスプとは。入れ歯はその患者様の残っている歯のどこかに針金をかけて、引っかかりを作っています。この引っかかりの歯が、いればを安定させるために必要なわけです。ところが、この針金の引っかかり、前歯のあたりに針金が引っかかっていると見えてしまい、嫌だと言う人がいます。針金が見えてしまうと、いかにも私入れ歯入れてるんですと強調しているようなので、針金が金属ではなくピンク色のプラスチックで作られているものがあるのです。このピンク色のプラスチック部分は入れ歯と一体となってできて歯茎のそばにあるため入れ歯を入れているということが人から見たときにややわかりにくいです。少なくとも針金を入れて見えている場合のことを考えると、わかりにくいために好まれる患者様が多いのです。すなわち見た目の問題ということです。

そしてその患者様に、どうしてノンクラスプタイプにしたいのかと言うことをよく聞いてみますと、その理由は実は見た目と言うよりも針金を使うことが嫌だと言うことなのです。何故、針金を使うのが嫌かと聞くと、見た目を気にしているのかなとか、もしくはアレルギーになる金属アレルギーのことを気にしているのかな、ということが一般的には考えられます。しかしそうではなかったのです。それは針金を引っ掛けると自分の歯がだんだん弱っていって自分の歯が抜けてしまうのではないかということを心配されていたのです。一方のノンクラスプはピンク色のプラスチックなので、そっちの方が歯に強く押していないから、自分の歯が悪くなりにくいんじゃないかと思ったそうです。

さて皆さんどう思いますか?

自分の残っている歯のどこかに安定させるために何らかの方法で引っ掛ける必要があるわけですが、それが針金のほうがいいのかプラスチックのほうがいいのか?

これは実は答えは、精度の高い金属の針金を使うということです。
どのような針金をかけているのか、これは実はかなり複雑な話です。歯科技工士でなければわからないような話です。しかも入れ歯専門の人でなければわからないです。まず金属にはワイヤータイプと鋳造タイプというものに分かれます。この針金の作る作業の中において、強く閉めればしめるほどがっちりとつくような感じがしますよね。しかし強く締めれば当然歯が常に栓抜きのように引っ張られてだんだん弱くなってしまうと思いますよね。そうなんです。強すぎるのはダメなんです。でも弱すぎてもだめですよね。意味がなくなってしまうのです。

ですので、ちょうどいい頃合いと言うのを力学的に計算して作られています、これが非常に精度の高い微妙な話で、それなりの腕のある技術があり、理解力、知識もある歯科技工士が作らなければそのようなものはできないですし、また材料としても良い材料を使わなければそのような事は実現できません。もっと細かく言うと、その金属を鋳造するのですが、その製造過程において、それなりに高度な製造器具を持っている歯科技工所でなければ実現はしないのです。

先ほどワイヤータイプと鋳造タイプと言うことを言いましたが、精度が高いのは当然鋳造タイプです。ワイヤータイプでうまくいくと言うのは、もうまさに職人技で、正確には設計が測れないところをその人の腕1本でちょうどいい塩梅に作れるかどうかと言う事だけです。では、なぜワイヤータイプがあるのか、それはどうしても鋳造タイプだとうまくいかないようなことがあるのです。それは歯の形が、もともと湾曲が強かったりとか、様々なお口の中の諸事情があり、鋳造タイプではうまく作れないという判断がある場合です。

そうなると当然第一選択は鋳造タイプです。ほとんどの場合、これでいけます。しかし一部にワイヤータイプを併用しなければならない場合が存在しているのです。

何度ももう一度強調しますが、この鋳造タイプで精度の高い針金のひっかけを作ることなのです。これにはそれなりに費用がかかり、結果、入れ歯の金額も高くなります。
このお話しで言える事は、どうしてノンクラスプを選びたいのかという理由が、よくドクター側と患者様側でコミュニケーションが取れているかと言うことになっているのです。

ドクターからしてみれば一般的に知識はありますので、鋳造タイプが1番良いであろうとなんとなくは思っているわけです。そもそも。ところが患者様がノンクラスプがいいかなぁと言うような傾向を示されると、つい見た目を気にしているのかなというふうに思ってしまうわけです。しかし、見た目とは別にイメージで、針金は歯が抜けそうで、怖いと錯覚していたということです。

これかなり大変な錯覚なんです。確かに患者さんからしてみれば金具だから大丈夫かなぁと栓抜きのようなもので、毎日何度も何度も出し入れしていてとなるはずです。
ところが、ドクター側から見ればより精度の高い特殊な機械で良い金具を作ることが、最も歯に力を無駄にかけないで安定すると言うことを知っていますので、それを選んであげたいわけです。
入れ歯は奥が深いのです。

ブリッジにしたほうがいいのか?インプラント、入れ歯の方がいいのか?

2023年11月16日

先日ある患者様から相談を受けました。その患者様は自分はブリッジで治しほうがいいのか、インプラントで治したほうがいいのか、どちらがいいですかと言う質問でした。年齢が75歳とやや高齢者のグループに入っています。

そのため、本人は過去にインプラントをやったことがあるのだけれども、このような年齢でもまだインプラントは大丈夫でしょうか?ということも言われていました。この患者様の左下には3本つながったブリッジ、左上には4本つながったブリッジが入っていました。

まず左下のブリッジですが、3本つながっているという事は、その真ん中の1本だけが歯がないわけです。歯が1本なくて、両隣の2本の歯で橋渡しをして支えるような状態で、最終的な構造として3本分の大きさのブリッジとなっています。このような状態であれば、選択肢としてはブリッジを行う、真ん中の1本だけをインプラントにする、真ん中の1本は部分入れ歯とするというような3種類の選択肢が考えられます。

一般的には第一選択はインプラントになります。そして第二選択としてブリッジと言うふうになると思います。そして最後の3番目の部分入れ歯なのですが、これはその場所だけがどうなっているかではなく全体がどうなっているかによって部分入れ歯にしたほうがいいのか、そうではないのかが決まってくるので単純には言えません。今回の場合は部分入れ歯よりもインプラントかブリッジのどちらかが選択肢としては優れていると考えられました。この左下に関してはどちらでも対応が可能であるので、そして第一選択のインプラントと第二選択のブリッジに関してものすごく大きな差が出るわけではありません。というのも、すでに以前からブリッジが入っていて、両隣の歯は一旦削られているので、もう一度ブリッジを作り直すというのがさほどダメージを与えるわけではないということが言えるからなのです。もしこれが両隣、1度も削ったことがない歯と言うことになれば、かなり事情が違ってきて、第一選択のインプラントと第二選択のブリッジには大きな隔たりがあります。圧倒的にインプラントにしたほうがいいという状況になるのです。

次に左上の4本ブリッジに関してですが、この場所は両隣1本ずつ合計2本の歯が橋渡しの柱の役割をしています。そして真ん中2本分の歯がないという状態です。そうすると2本の歯で4本分の歯の構造を作っているということで、4本分を2本で支えていますから、これは設計としてはやや問題があります。ブリッジは作ろうと思えば、どれだけでも長いものを作ることが可能は可能なのですが、それが果たして長持ちするものなのか強度的にどうなのか、長くすればするほど精度は落ちてくるので、本当にそれで良いのか様々なことを考慮する必要があります。

一方で、どうしてもブリッジにしたいと言う場合もあり、特にこれは患者さんの希望なのですが、どうしてもインプラントは怖いから嫌だ、入れ歯にするのはどうしても嫌だなど、様々な人それぞれの事情と言うものがあります。そういう中においては、やはりよく相談しながら決めていくということが重要になってきます。何が最も優れているかということも確かに大事なのですが、人間の体を治療すると言うことなので、本人的にどう感じているかという気持ちの問題があります。

一方で、歯科医師側からしてみればこうすることがこの人にとっては最も理想的であろうと言う最良の医療があるわけです。これらをよく相談しながらベストではないにしろ、よりベターな選択ができれば及第であると考えます。そういう意味において今回この4本のブリッジに関しては、年齢等考慮すると4本ブリッジでもう一度作り治すというのも選択肢ですし、真ん中2本ないところに2本だけインプラントを入れて治療を進めていくというのも良い選択肢です。

この患者さんに関しては、健康状態は極めて良好で、内科には一応通院されていますが、特に全身疾患があるわけではなく、定期的な通院ですので、年齢が高いからといってインプラントをためらうというような状況ではありませんでした。そして総合的に本人の希望を踏まえて、最終的には左上は日本インプラントを入れて治療を進めていく。左下はブリッジをやり治してみる。ということになりました。

また、附属の話になりますが、これらのことから、実はどのような方向性で治療していくかと言うのは以外に選択肢や考慮しなければいけないことがいろいろあるのです。そうなると、実は、様々なカウンセリングをしたり、他の内科等の病院との連携をしたり、状況を確認したりとやる事は実はたくさんあります。特にカウンセリングなど話に時間をかける事はとても必須で大事です。ですが、多くの患者さんは残念ながらまだそのカウンセリングの重要性に気づいてないことも多いかなと感じることがあります。今現在の歯科の保険診療では、様々な管理、指導料が算定されていきます。悪いからいきなり行ってなんとかしようと言うわけでもなく、定期的にしっかり通って、その中で管理メンテナンス指導を受けながら出来る限り長持ちさせると言う医療の体系になっているわけです。

このことから、保険で管理指導料等が様々な保険点数としてとられていきます。それは3割負担の人で言えば2 、3000円位かかることもあります。そうなると、説明しただけなのに、そんなに費用がかかるんですか?という質問があったり、そのようなイメージを受けられる方もいます。ですが、処置も確かに大切なのですが、その前にある説明や、事前に内科に問い合わせの手紙をしたり、患者さんと相談すると言うところにこそ、重点を置くこともとても意味があるのです。そしてそこに費用がかかるということをよく理解された方が良いと思います。どうしても日本文化の中で、物にはお金をかけるが、形のないものにはお金がかからないと言う勘違いが多いです。しかし、今の時代は、情報や考え方、相談、にこそ価値があると思います。

例えば、テレビのコマーシャルなどでよく出てくる、保険の窓口、と言うものがあると思います。これはいくつもの保険会社を比較検討して、その情報を得た上でどれにするかを選ぶと言うスタイルのお店です。ネットで最も安いものを自分で選ぶことも可能なのですが、実際、統計上は多くの人はこのような、保険の窓口、などのようなサービス店舗に行き、店員と相談してもらい、そして、あーやっぱりこれが自分には合っているのかな、と安心してから生命保険に入ろうとしています。情報や相談、にこそ価値があると言うことです。

dentist implantologist showing dental bridge implant technology on human tooth jaw model

歯のかぶせ物の長持ち度について

2023年11月12日

歯のかぶせ物には様々な材料が使われています。従来から多く使われているのは金属です。最近多いのはセラミックの材料です。金属は大変優れた材料ですが、若干問題があるのでそれについてお伝えしたいと思います。

ブリッジのかぶせ物についてです。ブリッジとはそもそもどういう状態のこと言うのかわかるでしょうか?例えば歯が1本ない人がいたとして、その両隣の歯を利用して、3本分のかぶせ物を最初から連続して作ります。そうするとないところの1本をうまくカバーできるわけです。そのようにして1本ない程度であれば、ブリッジと言う治療を選択するわけです。橋のような状態の治療法です。

ちなみにこのブリッジと言う治療法を選択しなかった場合には、どのような治療法があるのかと言うことを少しだけ先に説明しておきます。それは1本だけの部分入れ歯を入れる方法、それともう一つは1本のインプラントを入れると言う方法になります。

そうなると、ある意味ブリッジと言うのは簡便的であり、昔はよく選択肢として使われた方法です。ただし、ブリッジができない場合もあり、そのような場合には部分入れ歯などが使われることが多かったです。最近では第一選択にインプラントが使われることも多々ありますので、ブリッジの出番がそんなに多いわけではありません。が、保険による治療であるので、まだまだ使われている治療法です。

さて、話をもとに戻しますが、ブリッジの治療法は、金属で行った場合、もしくは中の構造だけが金属と言う場合もありまして、表面には一部プラスチックなどを貼り付けているのだが、中は金属の構造で強く補強すると言う作り方もあるからです。この金属は長い時間の間に、実は変形することが多いです。特に保険の金属の場合、金属の種類に制約があるので、その金属が変形せずに長くもつと言うのはなかなか難しいです。ですので、このブリッジを奥歯などにやった場合、5年10年すると、そのブリッジがたわんで曲がっている患者さんをしばしば見受けます。これは大変ですので注意が必要です。

ではこのブリッジの治療をする場合に、このような、たわんでしまうと何が問題かについて考えましょう。まず簡単に想像できることですが、たわんでしまい壊れてきて外れるということです。

ただそれだけではありません。そのたわんでいる時点でそのブリッジを作った両隣の歯のかける部分の支台となっている歯は、大抵の場合、中が悪くなっています。それはどうして悪くなるかというと、少しずつたわんで変形している間、細菌がその中に入り込んでいるからです。また変形している場合には、その相手となっている歯が、噛み合わせがずれている場合が多いです。たわんでしまう結果、相手の歯の位置が微妙にずれていくのです。そして、全体的な噛み合わせがほんの少しずつずれていきます。

ちょっとわかりにくい話なのですが、歯がどれだけ長持ちするか、安定しているか、快適であるかということを考える上で、噛み合わせがどのような状態で全体でどのようなバランスをとっていて、より良い状態であるかという事は極めて重要です。何も絶対に矯正治療をしなければいけないと言うことではありません。全体がなんとなくでもいいので、大体バランスが取れている人は非常に長持ちしますが、逆に奥歯の一部だけがないとか、前歯の噛み合わせが浅いとか、どこかがちょこっとでもバランスが崩れていて、それが使えば使うほどだんだんずれていくような状況の人がいます。このような場合は、経年的に使えば使うほど壊れていくという、どうしてもその道筋なのです。

そして、ブリッジを選択した場合、長持ちさせるには、現状、ジルコニアと言うタイプのセラミックを使うのが良い場合が多いです。どうしてか?

それはジルコニアと言うセラミックはとても強度が強く、ほぼ変形する事はありえない位だからです。そのジルコニアでできたブリッジを、もし踏んづけたとしても、100㌔の力がかかっても、全く変形する事はありません。そのような材料をフレーム構造に使うわけです。

たまに固すぎるのではないかと言うことを言われる患者様がいます。そのような患者様の意見が出てくる背景には、もともと歯に1番良い材料は金であると言うことを聞いたことがあると。確かに金もとても良い材料ですが、今回の話はブリッジですので、3本程度以上の大きさの歯を作った場合に、それが一体となって連続していますので、中の最も力のかかる構造部分は出来る限り変形しないものが良いわけです。

金の良さと言うのは、多少のことであれば伸びたりするという延性と言われるものです。この能力は、歯の噛む表面の一部だけであれば非常に意味がありますが、多くの深い補強構造の土台部分にはあまり意味をなさないですし、3本つながっている途中の部分では、むしろ弱点となる可能性が出てくるわけです。また、実はわかりにくいかもしれませんが、昔のブリッジと言うものは金色をしているようで、実はその中に白金加金などプラチナ等のような材料を使っていたり、強度を増すためにコバルトクロムなど、他の材料を一部混ぜて合金として使っていることが多いです。

以上のようなことから、現状ではブリッジを使う第一選択としては、材料としてジルコニアをフレームとしたタイプを選ぶのが良いでしょう。また、ジルコニアタイプであれば、色も自然な白であり、細菌を寄せ付けない能力があるので、歯周病にも安全です。これは見た目だけにこだわっていると言うことではなく、お口の中で余計な細菌が繁殖しないと言う長期的な長持ち度にも関係があることです。無論、精度も重要ですから、長持ちさせるためには、それがどのレベルの精度でできているかと言うことも重要ですから、それもクリアしています。

最後になりますが、今回お伝えしたい事は、セラミックのジルコニアタイプが優れていると言うことも知っておいて欲しいのですが、何よりブリッジを作る場合には、金属を使うとなると変形するかもしれないということを充分考慮して選択してほしいということです。力が十分にかかることが予想される場合は、いずれそれが悪くなる、変形してくる。そして変形するためにその支台となっている歯が、いつの間にか自分が気づかないうちに悪くなっているかもしれない、そして、噛み合わせ全体が少しずつ変わっているために、様々なズレが所々起きている可能性があり、悪くなる原因となるということです。

小児矯正と装置の装着時間

2023年11月2日

小児矯正において、様々な装置がありますが、今回はマイオブレースという装置に関してどれくらい入れているべきなのかと言う話をしたいと思います。そもそも小児矯正の装置でも取り外し方であるにもかかわらず、24時間ほぼ入れていた方が良いという装置は結構あります。

例えば、上顎や下顎を単独で横方向にカーブを広げるような装置の場合は、24時間入れて1週間にいっぺんなどネジをまわして拡大していくという使い方が一般的です。この装置の使い方の問題点としては、小学校に行っても常につけていなければならない、そしてその管理を子供が十分に果たして行えるか、と言うことです。しかし取り外し型ですので、逆に口の外に出した状態で、親がそれを掃除したりちゃんと入っているかを確認したりなどもできると言う意味では利点ですし、また何かあった際に痛いからとりあえず外そうということもできるわけです。

さて今回私が特に医院で使っているお勧めの装置はマイオブレースです。この装置の装着時間は子供が学校から帰ってきてから寝るまでの間に1時間入れるのが基本です。そして夜間寝ているときに入れているという使い方なのです。すなわち学校へは入れないで行くのです。そう言うと、保護者の方の中には昼間ほとんど入れてないのに大丈夫なんですか?と聞いてくる方もいます、そうなんです。学校には入れて行かないのです。それはそれなりに意味があってそうなっています。

このマイオブレースは歯や口の周りの骨を直接的に動かすために作用しているわけではなく、口の周りの筋肉や筋肉の動き、特に舌の動きなど、そういった環境を形作っている要素を正しい位置に覚え込ませるための装置です、のでずっと入れていたのでは逆に意味がないのです。まず学校から帰ってからの1時間、これは本人が意識してきちっと入れて口も閉じます。鼻で息もします。そうすると自分でこうしなければいけないんだということを感じながら使うわけです。まさに自分で感じながら筋肉トレーニングしています。

次に夜寝るときに入れるのは、最初寝る前はちゃんと口を閉じなきゃいけないとか、舌の位置は上顎につけておくべきであるとかを意識していますが、だんだん眠っている間は無意識の状態になるわけで、その無意識の時に、正しい筋肉の使い方ができるかどうかの練習をしているわけです。

無意識の状態でも、正しい筋肉の動きが習慣化するかどうかのトレーニングを約8時間から10時間位の睡眠中に行うわけです。そして学校に行くときには外していますから、装置を入れない状態でも口を閉じる、鼻で息をする、舌は上顎につけるという正しい筋肉の動きができるのか、このような3つのパターンの繰り返すことによって、最終的には無意識の中で正しい筋肉の動きができるようにということを覚えて、体に覚え込ませるわけです。

ですから入れる、入れないというこの繰り返しには深い意味があります。意識しながら入れる、意識しないまま入れる、この起きている時と寝ている時、この2種類の使い分けも意味があります。単にぐいぐいと押して何とか歯を並べようというそういうような考え方では無いのです。

ですので、マイオブレースを患者さんに入れてもらうわけですが、毎日起きている時間、学校から帰ってきてから寝るまでの間1時間この装置をしっかり使うことが大事です。装置をしっかり使うことが大事でかつ、口を閉じる、鼻で息をする、など。

また、小学校1、2年生位であれば1時間で良いでしょう。しかし、状況に応じては4年生5年生6年生でもこの装置を使う場合があります。このような場合は2時間入れておく必要がある場合もあります。特にスタート時期が遅かった場合、成長の余地が減っていますので、起きている時間に多めに使っていただくということになる場合があるのです。これはどのような時期にどのような程度かによってだいぶこちらのアドバイスも変わってきます。患者さん一人ひとりによって違いますが、1つの目安としてご理解ください。

また何ヶ月もやっていまいち成果が出ない人もいます。これは研究の上ではっきりわかっていることなのですが、しっかりとやっていない、ただしく使っていない、ということです。よって結果が出ないという事はないです。何らかの変化が起きます。全く変化がないとなると、こちらのいった正しいやり方をしていない、もっと言えば、子供がサボって真面目に取り組んでいないと言うことです。

このような場合は別の装置を新たに用意して、別途費用がかかり、さらに治療を進めていくような場合もあります。

ですが、別の装置ではなく、まずは第一せんたくのマイオブレースをおすすめします。健康な体を作るためにもなるからです。

顎の位置と筋肉の調和

2023年10月29日

あなたは顎が小さいとか、顎が大きいなんてことを聞いたことがあるのではないでしょうか?あるいは前歯が出ている、上顎が大きくて出っ歯に見える。またその逆で下顎が出ていてかっこ悪いとか。

顎の位置とか大きさと言うのは生まれつき遺伝で大きかったり小さかったりするのでしょうか?実は遺伝の要素は昔は3分の1、30%ほどの影響があるのではないかと言われていましたが、現在では研究がさらに進み遺伝の要素が少なくて、むしろ生活習慣から、その顎が大きかったり、小さかったり様々なことが起きているのではないかと言われています。

さらに、顎の大きさや位置に関して、もう少し厳密に言うと、大きい小さいと言うのは、本当に大きい場合もあるかもしれませんが、むしろ相対的に大きく見えてしまう、相対的に小さく見えてしまうという位置の関係性が、実は要素としては大半を占めているかもしれません。すなわち例えば、下顎が別にそんなに大きいわけでは無いのだけれども、若干前のほうに出ていれば、下の顎が大きいと言う話にもなるでしょうし、逆に下顎が小さくて後ろに下がっているような位置にあれば、上顎が大きい出っ歯だと言われるかもしれません。ですので、単に大きい小さいとかと言うだけの問題で考えると、ちょっと話がおかしくなり、全体のバランスの位置関係で本当にそれが大きいのか小さいのかはたまた適正なのか位置がずれていないのかなどを総合的に見定めていく必要があるのです。

顎の位置といっても皆さんにはわかりにくいかもしれませんが、我々専門家からすると多くの場合、下顎が後ろに下がっている人がほとんどです。顎が前に出ている人もいると言う人もいるかもしれませんが、それは顎が前に出ていると言うよりは顎の骨の一部が前に突出しているだけで、顎の中心的な部分である歯の並んでいる部分は、極端に前に出ているというような人はかなり少ないです。1%もいないです。

話を元に戻しますが、大抵の場合は下顎が後ろに下がっていて、顎が小さいということがほとんどです。東洋人の場合は、この傾向がとても強いということがわかっています。

顎の位置のことを顎位と言いますが、この顎位がどのようにして決まっていくかの1つの大きな要素は、顎の周りの筋肉です、口の周りの筋肉です。このようなものを口腔周囲筋といいます。この筋肉の調和が取れていない人がとても多いです。この筋肉の調和を取るため、様々なことをわれわれはアドバイスしています。

例えば、タオル噛み、これは筋肉を鍛えるためです。現代人は噛むための筋肉が弱い人が多いのです。舌を上に挙げる運動、舌は筋肉でできていますので、動かして鍛えればよくなります。普段無意識のうちに、舌が上顎についていてほしいです。

これができれば、これをしっかりマスターしていただき、これが自然とできるようになれば、かなり幸せな人生であり、かなり健康度の高い安定した人生であると考えています。

マウスピースの素材は何か?歯科治療と素材

2023年10月26日

治療の成果結果を出すためには、その歯科治療が、どのような素材で治療をしているのかと言うことがとても重要です。

素材と言うのはもう少し違う言葉で言えば材料です。

例えば矯正治療をする上でマウスピース矯正と言うものがありますが、マウスピース矯正とは透明なプラスチックのものを歯にはめ込んでは動かしていくタイプの装置です。このマウスピースは、今、現在の時点では、海外で作られているものが最も素材としては優れていると思われます。一方で、日本国内なんかでこれに似たようなものが作られています。素材は違います。良い素材を使えば0.1ミリ単位で歯を動かす計画を立てられますが、現状日本で作られているものでは0.25ミリ位が限界で、この技術力は3年はまだ差は埋まらないといわれています。

もし皆さんがそねマウスピースを見た際、ほぼ同じものに見えると思います。
もっと言えば、我々歯科医師がそれを見てもはっきりと判別がつかないほどわかりにくいです。
その素材が何で作られているのかを歯科技工所の方より情報を入手しなければわからないでしょう

今これはとても重要なことを言っています。歯を正確に動かす、それは歯科医師の診断も大切です、歯科医師の手がどのようにうまく上手に動くかなどの技術力も大切です、そしてもちろんその時に使っている素材が何か?その素材は、どのようにして工場で加工されているのか?このようなことが総合的に関係しています。

ですが、今回は特にその素材についてだけ深掘りしていきたいのです。それは先にも述べましたように素材を見ただけで、皆さんはもちろん、その違いは全くわからないですし、私たち歯科医師、専門家が見てもよくわかりにくいのですですから、信用のおける取引先である歯科技工所等と確実に確認ができるかと言うことになるわけです。私は矯正治療において、本格的に歯を動かす場合は、費用が高くても海外のマウスピースを使います。それはやはりそれが現状最も優れた材料であり、それが2番手、3番手の材料ではまだ不十分であると感じるからです。もっと言えば明らかに差があると言うことです。多分、けどこれ患者さんにはわからないです。

この原材料問題や加工問題ですが、特許の関係もあり、特許が切れると、日本や韓国、中国など様々な国でもそれを利用したものが出てくると思われます。そうすると同程度の成果のあるものが多少安く手に入ることも考えられます。

このような事はよく私はその業者に何度となく質問しています。どうしてこちらの方が高いのか、その技術的な差は一体何なのか、材料にはどのような差があるのか、どのような工程で加工をしているのか、そういうことをとことん聞くと、自信のあるメーカーはやはり何がどのように違うかと言うことを正確に答えてきます。そして2番手以降の業者もよくよく聞いてみると、どこに多少誤差があると言うことを正直に言ってきます。そしてそれが実際に臨床的に問題になるのか、治療の結果に差になるのかを、歯科医師は十分に吟味するわけです、そして、そこに患者様の臨床的成果に置いて差があると判断した場合は、どちらを選択すべきかを冷静に決めていくわけです。すなわち、費用で決めているわけではないと言うことです。もちろん、安価でも成果が出るのであれば、それを選択するのはアリだと思います。

別の例でいいますと、ジェネリックの薬がありますが特許が切れて後から作られる薬品が安いのであれば、同じものであれば、それでも同程度の効果が得られると言うことであれば良いかと思います。しかし、一部の医師によれば、ジェネリックではなく、本家本元を使わないと差があるということを言われる方も何人か出会いました。ほんの少しの工程作業の違いそれでも臨床的には差があるから信用しないと言うことでした。それもその先生、その先生のこだわりだと思います。

歯並び、開口について

2023年10月22日

歯並びで、開口と言う状態はどのような状態でしょうか?

それは簡単に言うと本人は口を閉じているつもりなんだけれども、上下の歯があまり当たらず、前歯のところに隙間があると言うような状態です。前歯のところに空間があります。うどんやそばを前歯でかみ切ろうとしてもちょっと難しいです。

このような状態の患者様を治療をする際に、歯並びをきれいに揃えるのは、実は難しいと言うふうに矯正学的には言われていることがあります。

この状態を治すには何が大事か?それは、単に歯の位置の問題だけではなく、舌の位置、動きや、口の周りの筋肉が関係しています。

もし、あなたが毎日ずっと舌を前歯の間に挟んでいたとします。そうするといくら矯正で針金や様々な装置を使って歯を動かそうとしても、常に舌がそこにあるためにうまく歯は動きませんよね。舌の位置がおかしい限り、歯並びはきれいにならないのです。あるいは舌をいつも癖で常に間に挟んだりする動きをしていればうまくいきません。

ではその動きとはどんな時か?それは実は飲み込む時です。嚥下といいます。人はご飯を食べたり、水を飲んだりするときに飲み込みをしています。嚥下運動をしていると言うことです。ですが、それ以外にも1日に2000回唾を飲み込んでいると言われています。この無意識のうちに何度も飲んでいる唾の飲み込み運動、この運動では舌の動きは欠かせません。舌が上顎について陰圧になって、ご飯を飲み込んだり、お水を飲み込んだり、唾を飲み込んだりしているのです。無意識のうちに1日2000回も舌が、前歯と前歯の間に挟まれていたらどうでしょうか?2000回も突き上げを食っているんです。そうしたら端の位置はおかしい位置になるし、隙間もできてしまいますよね。そして一生懸命直そうとしても、なかなか針金の力に逆らってベロが押してしまうために良い位置にいまいち揃わないわけです。正しい嚥下運動を行っている場合、舌は前歯と前歯の間には入っていません。ですが、間違った嚥下運動をしている人は、前歯と前歯の間や奥歯の間に舌が入り込んでいています。

ですので、矯正治療を行う上で、舌の運動や舌の位置のトレーニング指導をしっかりやっていくことが重要であり不可欠なのです。

特に子供の場合、マイオブレースのようなマウスピースをしっかりやることです。すなわちお口の周りの口腔周囲筋のトレーニングです。6歳くらいから2年しっかり指導を受ければ、針金などしないで終わっている子もたくさんいます。

ちなみにですが、その結果をだすためにはオトナはそれを相当やる必要があります。しっかりとです。相当やる必要があります。

患者さんやその保護者の方はよく歯医者に行けば歯が良くなるのではないか、矯正治療を受けているのだから、金具をつけているのだから、装置をつけているのだから良くなるのであろうと思っている人もいますが、例えば塾に入れば必ず成績が上がるのか、習い事をすれば必ず身に付くのか。どうでしょうかそうではなくてそこにいて、かつコーチ何かのアドバイス、先生のアドバイスをしっかり聞いた上で当然、普段からの努力があり、そして成果がでると言うことだと思います。

大人の場合は、マイオブレースの治療だけでは、必ずしもそんなに良くはならないです。やはりどうしても針金やマウスピース等の歯を直接動かす器具を装着してやっていく必要があり、なおかつ、舌や口の周りの筋肉の運動のトレーニングをしていくと言うことなのです。

このように開口の場合は、単に装置が治していると言うよりも、トレーニングをしっかり本当に理解して、その必要性を感じてもらい、行動したかどうかが最終的な結果に大きく影響与えているため、歯科医師の単なる技術だけで治っているわけではないと言うことなのです。ですから難しいのです。