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little girl at a Children's dentistry for healthy teeth and beautiful smile

矯正治療と歯並びの原因について

2023年8月20日

歯並びが悪いことを専門用語では不正咬合といいます。不正咬合に関して様々な研究がありますが、5歳から17歳を対象に調査した場合に88%が不正咬合であると言う結果があります。すなわち10人中9人は不正咬合、歯並びが悪いと言うことです。皆さんこれをどう思いますか?一方でアフリカなどで未開拓地の住民を調査したデータなどを見ると不正咬合の人はかなり少ないと言う結果が出ています。ここから読み取れる事は何かといいますと、文明生活が不正咬合を生み出しているのではないかと言うことです。

文化人類学的にもこのような調査は世界的に行われていますが、先進国にこそ不正咬合が多いと言うことがわかっています。前回にもお伝えしましたが、われわれは現在生活の中でとても柔らかい食事をしています。その結果、顎の筋肉や骨が十分に成長せず歯はうまく並ばないのです。
このような顎の筋肉や骨が十分に成長していないことを、専門的な言葉で、筋機能障害といいます。筋機能障害と言うとかなりなんだか難しい言葉に聞こえてきますよね。筋肉を機能として十分に使っていないと言うことです。すなわち昔はもっと硬いものを一生懸命必死に何回も何回も噛んで食べていたんだけども、最近では柔らかくてしかも飲んだりすれば十分に栄養がしっかり取れたりする、そんな便利な生活を送っているために必死のトレーニングを放棄してしまっているわけです。

そのために筋機能療法を行う必要があると言われています。筋機能療法とは、筋機能のエクセサイズを行い強化することです。ごく簡単に言ってしまえばしっかり噛むと言うことです。しかし歯科医療で歯並びを治すと言う意味においてはそのような簡単なことでは治りません、と言うのは筋肉と言うのは噛むための筋肉だけではなく他にもいろんな筋肉があるのです。それは例えば唇の中にも筋肉はあります。例えば舌も筋肉です。舌をどのように使っているかとても重要な関係があります。歯並びと舌って関係あるのか?と思われる方もいるかもしれませんが、とんでもありません。かなり関係があります。

さて当院ではこの筋機能療法である口の周りの筋肉や呼吸等を正常な状態にするためのエクセサイズを矯正する場合には必ずセットで指導しています。これには重要な根拠があります、それはある論文によると矯正治療を行った際に、矯正器具のみをつけていた治療では84%に何らかの後戻りが起こると言う報告があるのです。一方で矯正装置とこのエクセサイズを両方行った場合には、36%の後戻りがあると書かれています。

ここからわかることは装置をつけて歯を動かす事は確かに重要なのですが、それ以上に顔の周りの筋肉のエクセサイズをしっかりとマスターしていくということがかなり重要だと言うことです。むしろそれを全くやらないとなるととても心配な状況になっていますよと言うことです。
これはちょっと違う例で表現しますと、このようなことになるかと思います。野球のクラブチームに入って上手くなりたいからと言うことでとても性能の良いバットとグローブを手に入れていつも練習していること。ところが性能の良いバットとグローブを手に入れただけで、それを試合ごとに使うだけで果たして良い成績で活躍できるでしょうか?そうでは無いですよね。確かに良い性能のバットやグローブがあった方が良いのですが、当然それを用いてしっかりとした練習や筋トレなどや走り込みなどをしていない選手が良い成績が残せるわけがありません。

さてまとめに入りますが今回お伝えしたいこととしましては、歯並びが悪くなる原因は現代生活にあり、それは小児期にあり、現代の生活を送っているからと言うことです。そして具体的には顎の筋肉などが十分に発達していないと言うことです。そして親がいびきをかいて寝ていれば子供もそれを真似して間違った生活習慣をしてしまう可能性があると言うことです。そしてそのような悪い歯並びを改善していくためには、単に装置を入れれば良いと言うことではなく、正しい体の使い方、筋肉のトレーニングをエクセサイズをもう一度学び直す必要があります。それこそが最も矯正治療の重要なポイントであると言うことです。

よく患者様はどのような装置で治療するのか、その装置が痛いのか痛くないのかと言うことを一生懸命聞かれますが、それで良し悪しを判断するというのはとてもバランスが危ないです。

This cute girl is getting ready for her regular dental appointment at the dentist's office checkup.pediatric medical care concept.

子供の矯正治療と費用

2023年7月23日

先日患者様から矯正の費用に関しての質問がありました。

子供の矯正費用に関して小学校1年生から3年生位の2年間で行う筋肉のトレーニングを用いたマイオブレース矯正、筋機能療法、シリコンのゴムのようなものを用いて筋肉の姿勢のバランスを直す方法のことです。この矯正方法は器具を使ってぐいぐいと歯を押すというよりは、自らの本来の持っている筋肉の動き、舌の筋肉の動きなどを正常化させて正しい生理的な自然な本来DNAの設計図通りの位置に歯が生え上がっていき動くようにとする、とても画期的な治療法で、小学校低学年のある一時期の成長期を利用すると成功すると言われているものです。

当院でもしこの治療を2年間行うと約400,000円弱の費用がかかります。このマイオブレースと言う筋機能療法は東京などの関東では特によく行われている治療法ですが、この正確な治療プログラムに基づいた指導療法を行っている医院はまだ少ないです。またこの治療を行うと費用としては当院よりも多少安いとこもあるかもしれませんが大抵の場合はこれよりもより総額的には高い場合が多いかと思われます。

ところがこの患者さんはこのマイオブレース・アクティビティーズの装置だけが売っている医院を近くで見つけそれが80,000円で売っているそうなのですが、それを買うそうなのです。子供のために。トレーニング法をこちらではかなり包み隠さず聞かれたら教えたりしているのでそれを子供に伝えて自分が指導すればうまくいくのではないかと言うことなのです。ちなみにこの方はご自身が針金を使って矯正をしていますが、当院では針金やインビザラインなどのマウスピース矯正を受けたとしてもすべての患者さんに治療終了後にいかに長持ちするかと言う重要な観点の上から筋機能療法、マイオブレース矯正の指導トレーニングをかなりの部分、サービスとして教えています。

先程の約2年間で行われる小学校低学年の矯正治療は約400,000円ほどと言いましたが相場でも大体それぐらいに近い額で、その治療費のほとんどはトレーニングの2年間のプログラムの費用と言っても過言ではなく、装置の費用と言うよりは指導料の部分です。ちなみに例えば塾で言えば塾の教科書代、テキスト代等が仮に2万円だとすると実際の塾に1年間行けば600,000円かかるとしまして、そのような費用負担になるのではないかと思いますが、テキストだけを買って母親が教えるから残りの600,000円を払わないでも成果が出るのではないだろうかと言う話になるかと思います。残念ながらこれは難しいと思います。というのも他院で治療している矯正中の患者さんがよく途中から医院を変わりたいと相談に来ることがあるのです。

そうすると、残念ながら装置を買っていくら、指導料は別途1回5000円と10,000円とかと言う請求を受けているようなのですが1回や2回位指導を受けたから、成果が出ると言うようなものではないのです。やはり成長期2年間と言う期間を経過を見ながらやっていくことがプログラム全体としてもう仕組みとなっているので、その部分だけを買ったりしてなんとかすると言う事は不可能なわけです。ですが入り口部分としての安さに魅力を感じてしまい、そのような行動をとっている保護者の方がたまに見受けられるようです。非常に残念でなりません。そして結局当院に再度受診をすることになるわけですが、そうするとやはりどうしてもプログラムとしての費用なので全体の費用がかかってしまいます。

よくよく考えて欲しいのですが、もし保護者の方が子供を塾に通わせる場合あるいはスポーツを本格的にやらせようと思っている場合、より安い塾に入れるでしょうか?それよりもその子に成果の出るところを選んだ方が良いのではないでしょうか。高ければ良いと言うわけでは無いですが、安いと言う事はかなり私は危険ではないかと思っています。なぜなら安いと言う事はそのもの自体をその金額で渡すことができるのですが、それ以上のサービス内容、使い方、今後やらなければいけないこと、困ったときにどうしたらいいかなどフォローは何もないと言うことです。これが日本の矯正と、世界の医療における差としての非常に重篤な問題点です。

診断や情報、指導にこそとても価値があり、かつそのことをするために実は下準備や研究教育などにとても費用がそもそもかかっているわけです。そういった形にはなっていない部分に対しての費用を払おうとしない文化が日本にはあるかと思います。一方矯正の先進国アメリカなどではむしろ診断であるとかアドバイスに対してとても高い費用がかかり、全体の総費用の分配の中でそちらに当てられています。スポーツで言えばコーチをしてアドバイスする人間に高いチャージを支払っている有名選手はいっぱいいます。

診査、診断、アドバイスにこそ、価値があります。

Beautiful smile and white teeth of a young woman.

矯正治療とマウスピース矯正

2023年6月29日

先日親子で矯正治療を受けたいと相談された方がいました。

娘さんはワイヤーをつけるのはどうしても嫌で自分は絶対にマウスピースがいいとおっしゃられていました。一方お母さんのほうは食事の準備などいろいろあるし取り外しよりも針金をつけていたほうが楽だと思うから私はそっちがいいと。

インビザライン矯正(マウスピース矯正)とは

インビザライン矯正と言うものがあります、あなたは聞いたことがあるでしょうか?

マウスピース矯正の1種で半透明色のマウスピースをはめて歯を動かしていく方法です。マウスピース矯正は様々なタイプがあり、そのうちの1つがインビザラインと言う名前です。

この矯正方法は今までの針金を用いる矯正方法と違い、基本的にはお口の中に針金をつけたりをしないで歯を移動させていきます。そうなると今まで針金をつけることがとても嫌だなぁと思ったり、針金が付いていて歯磨きがとても難しいと感じたり、あるいは歯磨きが不十分で金具や矯正器具のキワか何かが虫歯になってしまったり、歯周病になったりなど、そのような点を考えると、有利かもしれません。

そして何よりこのマウスピース矯正を選ばれる方の最大のポイントは半透明色でそれをはめてみても一見他人から見てあまり目立たない、すなわち見た目です。中学生など針金をつけていることを他人に見られたくない、自分はそんなにを気にしていないがもしかしたら人から見てどう思われるのかとても不安である、どうしても気になってしまう、など様々な心理的な理由で針金をつけずにできればマウスピースでできるならそうしたいと言う人が結構いたりするものです。

インビザライン矯正(マウスピース矯正)のデメリット

このマウスピース矯正の最大の特徴の1つは目立たないと言う事なのですが、もちろん弱点もあります。少しそれに触れたいと思います。

今から言う事はとても当たり前のことなのですが、その当たり前のことが実際想像がつかない方が結構いたりするので、よくそれを充分理解した上でマウスピース矯正を選ぶべきです。

毎日20時間以上、装着しなければならない

マウスピース矯正はマウスピースをはめていなければ歯は動きません。マウスピースは1日24時間のうち20時間以上は必ずはめている事ではじめて歯が動くとされるという矯正方法です。1日のうちほとんどでマウスピースをはめていると言うことです。仕事があれば会社に行ってもはめている、学校に行くのであれば学校でもずっとはめている。

逆にどんな時に外して良いのか、それは歯磨きをする時とご飯を食べる時です。そうすると1日のうちに歯磨きの時間とご飯の時間がどれぐらいあるかと言うことになりますが多分通常の生活を送っているのであればそれはせいぜい2時間の範囲内ではないでしょうか。そうすると24時間のうち22時間はマウスピースをはめていられるはずです。

そう考えると必ず20時間以上はめている事はできそうなのですが、それでも人間ですので、なんとなく外していたとか、油断してはめるのを忘れていたとかいろんなことが起きるわけです。そうすると歯は予定通りには動かなくてイマイチの結果になってしまいます。

細長い小さいスティックを1日5分程度噛む必要がある

マウスピースを馴染ませるために細長い小さいスティックを噛む、時間にして1日5分程度なのですが、毎日繰り返すと言う時間があります。これは夜とかに家で5分ほどそのスティックを噛んでもらいマウスピースを十分に馴染ませることを繰り返し行っていきます。

もしこれをやっていないとマウスピースのはまりがいまいちで、なんとなくずれていき、1ヵ月2ヶ月と経てばやがて大きなズレになっていくわけです。そうすると予定通りには動かず残念な結果になってしまいます。

このスティックを噛むと言う作業はそんなに難しいことでは無いのですが、逆に簡単だからこそサボってしまってはとても残念な結果になるのです。毎日5分、これを仮にまとめて1ヵ月分をまとめてある日24時間ずっと噛んでたよという日が1日あったとしても、それでは全く意味がありません。毎日コツコツと続ける事が大事なんです。

繰り返しいます、とても簡単なことです、誰でもできるでしょう。やれと言われれば、ほとんど誰でもできるのですが、簡単だからこそついつい「まぁいいか」と思って明日にまた伸ばし明日に伸ばし、そしてついに1週間やっていなかった、1週間も経つと0.2ミリほどマウスピースの入りが悪くなっていてちょっとずれているかもしれない、どうしようということがやがては大きな誤算になっていきます。

まとめ

このマウスピース矯正は大人の方が自分でお金を払って受ける場合には割合真面目に入れていることが多いですが、子供の場合は親にやれと言われてやっている子もいるので、そうなると成果がいまいちな場合もあったりもします。また少数ですが大人でも真面目に入れてなくてなんとなくで終わってしまったと言う人もいます。

矯正治療はアメリカやヨーロッパなどの製品や技術を利用していることが多く、とてもそもそもが高額なシステムです。ですので必ず自分のためにしっかりやるんだと言うことを充分決意の上受けることをお勧めします。

Little kid boy holding professional orthodontic denture with metal braces and removable invisible aligner. Comparation of two dental straighten treatments

矯正治療とお口の周りの筋肉

2023年6月25日

先日、小学校2年生のお母さんと矯正治療に関してお話をしていました。

よく口を開けているから口を閉じて鼻で息をするようにと言うことをお母さんと本人によく注意を促しました。そうするとお母さんは、「そうですよねいつも口開けてるからよく注意してるんですけどやっぱりそれって良くないですよね。」とおっしゃっていました。

なぜ矯正治療をするのか

矯正治療と言うと一般的には歯並びをきれいにしたい。と言うことがまずよく挙げられるのではないでしょうか?あるいは子供の場合で言えば保護者自身が子供の頃矯正をしなくて自分は歯並びが悪かったので、せめて子供はきれいにしてあげたい、などとよく聞きます。またさらに歯並びが悪いと健康には良くないんじゃないかとよく勉強されている保護者の方は言われます。

そうですね、まさに健康とは大きな関係があります。さらにはスポーツで差が出るんじゃないか、将来就職したりする時、社会に出るときに良くないんじゃないか、などと言う意見も聞いたりします。

今世界的に矯正の学会では歯並びをきれいにするると言う価値観から、お口の歯及びまわりの筋肉のバランス、機能を良くすると言う価値観、考え方にシフトしつつあります。こう言うとなんだか難しく聞こえてきますよね。

もうちょっと噛み砕いて言うとですね、確かに歯並びはきれいに越した事はないです。歯そのものがきれいなバランスのほうがいいと思いますよね。医学的にやっていることなので、ただ単に綺麗であればあるほど良いとか、流行の美しさであれば良いと言うような簡単な問題なわけでもなく、健康のために何が本当に必要かと言うことも当然あるわけです。

そうすると実は先に述べた、口ではなく鼻で呼吸しているかと言うことがとても重要であると言うことがわかってきています。そのことにもっとフォーカスして歯科矯正治療が行われるべきであるということが言われているのです。

最近のトレンドでは歯の位置を完璧にすることがゴールではない

すなわち歯の位置の完璧さをどこまでもゴールとして求めてはいかないと言うのが、最近のトレンドなのです。もし歯の位置をいつまでもキープしたいと言うことだけに着目した矯正治療になった場合には一生涯においてその良い場所を維持するための固定用の装置としてマウスピースを常にはめる、もしくは裏側に1部針金等を貼り付けたボンディングタイプの固定装置が必要となるでしょう。このような器具に頼っていつまでもずれて行かないように強固に固定していこうと言う補助器具が必要となります。

ですがこの固定器具がどうして必要なのか、もしくはどういう場合に必要ではないのか、と言うことになってきます。

それは口の周りの筋肉のバランスが良ければ必ずしも固定は必要がないと言うことなのです。矯正治療の動的期間すなわち歯を動かしたり顎が成長して大きくなったりあるいは曲がった顎を治したりなど、そのような動的な期間を経て矯正の動きがほぼこれで良いであろうと終わったときに、次にそれをずっと安定して長くキープするためには今までは保定装置を必ず入れると言う考え方でした。

確かにこの固定装置はとても良い役割を果たすのですが、それ以上に口の周りの筋肉の力が実は大きな影響緑地があると言うことがわかってきています。口を開けて鼻で息をしていなければ固定装置を使っていても歯並び噛み合わせはずれていくということがわかってきたのです。ですから1番にやらなければいけないのは口の周りの正しい筋肉のバランスを確保することなのです。

具体的に述べると、普段唇は閉じていて鼻で呼吸をしている、このような状態がほとんどの時間を占めている。舌の位置が正しい位置にあるか、舌の位置は実は上顎の裏側、口蓋に持ち上がってくっついているというのが正しい位置です、かつそれは生理的に安定した体の自然な位置です。

次に唾を飲み込んだりするような事は1日に何回も起きるのですが、その時に顔の周りの筋肉が余計に動いていない、正確にはもうほぼ動いていないそのような正しい筋肉バランスになっているか、です。

どうでしょうか?そんなこと言われると、えー、自分ではできてるわけないと思うかもしれませんよね。はいそうなんです、今言ったようなことをむしろしっかりとトレーニング指導することが矯正治療なのです。

最初の件に話したお母さんとの会話、口を閉じて鼻で息をしなさい、それを医学的に行ってフォローしていけるかどうかが矯正治療の本質です。

Little girl brushing her teeth with electric toothbrush in bathr

学校検診と歯並びについて

2023年6月18日

こんにちは、私は時々小学校へ学校検診に行っています。

学校検診について

学校検診は、子供たちがお口の中に虫歯ができていないかと言うことを見たりしているわけです。保健室で1クラスずつ大勢の子供を順番に見ていきます。

最近では虫歯が多発してるような子は少ないです。予防がかなり普及してきているからだと思いますし、また多くの子供たちが虫歯のあるないにかかわらず、定期的な予防処置を歯科医院にて受けて、フッ素を塗ったりなどの安全処置を行っているからであると思われます。

一方で歯並び噛み合わせに関してはかなり問題があるなぁといつも感じています。歯並び噛み合わせが悪いことを不正咬合などと専門用語では言います。不正咬合は治療が必要でありそれは具体的には矯正治療をすると言うことです。

学校検診では歯並びが曲がっていたりするとそれをチェックしたりしていますが、人それぞれ程度の差があり、また虫歯とは違い必ず治療しなければいけないと言う診断をしているわけではありません。

検診は医療の診断ではない

すなわち、検診と言うのは医療の診断をしているわけではないのです。スクリーニングです。可能性のある子供をもしかしたら悪いかもしれませんよと言うことを伝えると言う役割です。

そして病院に行った方が良いかもしれませんねと言う旨の紙を学校から保護者の方へ渡していくわけです。ですが多くの保護者の方は、学校でこの検診の上でチェックの入った紙をもらうとなぜか必ず治療しなければいけないのではないかと思っている方もいるのです。

そうではなく学校で検診を受けた結果にかかわらず、普段歯科医院に行っている際に治療を受けた方が良いと言われた場合には治療すべきだと思ってほしいです。かかりつけ医が見ている方がより個別に状況を見ているのです。学校検診は集団検診ですので正確な情報が必ずしも把握はできるわけではないです、難しいです。ですが1つの医院でその患者さんを見ているのは子供の場合はそのパーソナリティーなどを含めたどうすることが良いのかと言うことを総合的に見ていますからそこでのアドバイスを重要視してください。

親御さんはぜひとも自分でかかりつけ医に子供を連れて行ってほしい

これは日本の慣習的な感覚なのかもしれませんが、学校など公で言われた事は一生懸命従う、そして学校から言われたからとりあえず何とか対応しておかないと自分の子供の評価が下がるのではないか?と言う勘違いをしている可能性があります。学校はこの検診を行っているのはそれは文科省からルールとして決められているからやっていると言うことがもうそもそもあるのです。当然健康のために子供たちを安全に見守ると言う意味ではあるのですが、学校は一人ひとりの健康をそこまで責任もって見る事は難しいのです。

ですから親御さんはぜひとも自分でかかりつけ医に子供を連れて行きそこで経過をしっかり見てもらうと言うことを意識してほしいです。

私自身自分の医院で保護者の方から学校で紙をもらった、この紙には虫歯があると書いてあるから治療してくれと言ってきます、そのような場合レーザーを用いて虫歯の深さが本当に深くて治療する必要があるのか、単に表面がちょっと黒っぽくなっているだけで溝が深いだけで削る必要がないのかを判断する場合があります、そうすると溝が深いような子の場合はどうしても集団検診では虫歯かもしれないと言うことでチェックが入ってしまうのです。

ですがこの永久歯を早い段階で削ってしまうのはもったいないのです。むしろそのまま黒い溝を残しておいて予防し続けていく方がよっぽど歯が長持ちする、このようなケースはとても多いです。そしてこれは学校検診をした歯科医師が間違っているわけでもなく、スクリーニングと言うシステム上をこのような事はどうしても起きてしまうのです。

ですからこの辺の解釈をしっかりとしてほしいです。学校の保険の先生などもあくまでもこれは検診ですからと言うことを一生懸命伝えているようですが、どうしても医者が見たと言うことでそれが医療行為そのものであるかのように誤解されて、どうしても伝わってしまっているようです。