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close up of woman wear brace and touch her face

矯正治療と遺伝について

2023年8月17日

歯並びなどは遺伝の要素が強いと思っていませんか?例えばお母さんが出っ歯だから娘も出っ歯になった。お父さんは下顎がとても出ているから、この子もしゃくれたような顎が出たような顔になった。このような話を時々患者さんから聞きます。そして多くの親が、特にお母さんが、私が子供の頃歯並びが悪かったのできっとこの子も悪くなるのではないかととても心配です。と言って来ます。

そうですね、以前は歯科医学的に歯並びや顎の形等は70%位遺伝の要素で決定すると言うふうに考えられていました。しかしその後、遺伝の要素はそんなにないのではないかと言う研究が進み、そのパーセンテージはなんと30%位ではないかと言う論文が出てきたのです。さらに現在では遺伝的要素が10%位ではないか、あるいはもっと低い、あまり関係がないと言う論文さえ出てきたのです。親子は当然ですがDNAを半分ほど共有していますので似たような顔になるのではないかと考えられる、のですが、これが実は結構思い込みであるということが近年ではわかってきています。確かに遺伝で親子が似ると言う要素もいっぱいあるのは事実であり間違っていません。

しかしここからがちょっと難しいところでして、出っ歯であるとか歯並びが凸凹している、顎が小さい、あるいは大きい点などに関しては、実は遺伝的な要素はほとんどなくて、生まれてからの生活習慣が大きく影響しているのです。

現代人はどうして歯並びが悪くなるのか?と言う事の研究がだいぶ進んできています。
その原因はかなりわかってきていて、生まれてからどんなものを食べているのか、すなわち我々現代人は現代生活の中でとても柔らかいものを食べています。その結果、顎の周りの筋肉は発達しない、しいては顎の骨自体もあまり成長しないと言うことになり、歯並びがガタガタになっていったりするわけです。

また多くの子供たちは鼻で呼吸せず、口で呼吸をしています。この口呼吸の習慣が、生活が、とても問題です。本来人間の体は鼻で呼吸するように設計されているにもかかわらず、口を開けて口で呼吸しているのです。そうすると舌の位置もおかしい位置となり、口の中で舌があさっての方向へ力をかけて、あごや歯をずらして行きます。そのために上顎が十分に大きくならず下顎だけが前に伸びてしまっているかのような状態の顔になったりしている子もいます。

この口呼吸をどうするか?なのですがこれに関しては、例えば十分に母乳を飲んでいないで育ったと言うことが因果関係があるとも言われています。

ともあれ現在生活の中で子供たちは様々な弊害を抱えて不十分な成長になってしまっていると言うことです。また親子で似ると言うことに関していいますと、それは親がいつも口を開けていれば子供も口を開けているような呼吸をするようになります。生活習慣が親子で似ると言うことです。ですので決して遺伝では無いのですが、後天的な生活習慣の中で、親子が一緒に過ごし、親が間違った呼吸法であるとか発音をしていれば、子供もそれに似通った体の使い方をしてしまいます。その結果歯が出っ歯になったとして、いかにも親子だから遺伝だと思ってしまうわけです。

ここで皆さんによく学んでほしい事は、歯並びは必ずしも遺伝ではないと言うことです。遺伝だから仕方がないと言う事は実は間違っていると言うことです。親が毎日いびきをかいて寝ていれば、いつしか子供もそれが普通だと思い口を開けていびきをかいて寝るようになったりする可能性が高いです。

そういう意味において子供の矯正治療をする際には、できれば親も一緒に生活習慣を見直してみるのが良いきっかけであると思っています。

This cute girl is getting ready for her regular dental appointment at the dentist's office checkup.pediatric medical care concept.

子供の矯正治療と費用

2023年7月23日

先日患者様から矯正の費用に関しての質問がありました。

子供の矯正費用に関して小学校1年生から3年生位の2年間で行う筋肉のトレーニングを用いたマイオブレース矯正、筋機能療法、シリコンのゴムのようなものを用いて筋肉の姿勢のバランスを直す方法のことです。この矯正方法は器具を使ってぐいぐいと歯を押すというよりは、自らの本来の持っている筋肉の動き、舌の筋肉の動きなどを正常化させて正しい生理的な自然な本来DNAの設計図通りの位置に歯が生え上がっていき動くようにとする、とても画期的な治療法で、小学校低学年のある一時期の成長期を利用すると成功すると言われているものです。

当院でもしこの治療を2年間行うと約400,000円弱の費用がかかります。このマイオブレースと言う筋機能療法は東京などの関東では特によく行われている治療法ですが、この正確な治療プログラムに基づいた指導療法を行っている医院はまだ少ないです。またこの治療を行うと費用としては当院よりも多少安いとこもあるかもしれませんが大抵の場合はこれよりもより総額的には高い場合が多いかと思われます。

ところがこの患者さんはこのマイオブレース・アクティビティーズの装置だけが売っている医院を近くで見つけそれが80,000円で売っているそうなのですが、それを買うそうなのです。子供のために。トレーニング法をこちらではかなり包み隠さず聞かれたら教えたりしているのでそれを子供に伝えて自分が指導すればうまくいくのではないかと言うことなのです。ちなみにこの方はご自身が針金を使って矯正をしていますが、当院では針金やインビザラインなどのマウスピース矯正を受けたとしてもすべての患者さんに治療終了後にいかに長持ちするかと言う重要な観点の上から筋機能療法、マイオブレース矯正の指導トレーニングをかなりの部分、サービスとして教えています。

先程の約2年間で行われる小学校低学年の矯正治療は約400,000円ほどと言いましたが相場でも大体それぐらいに近い額で、その治療費のほとんどはトレーニングの2年間のプログラムの費用と言っても過言ではなく、装置の費用と言うよりは指導料の部分です。ちなみに例えば塾で言えば塾の教科書代、テキスト代等が仮に2万円だとすると実際の塾に1年間行けば600,000円かかるとしまして、そのような費用負担になるのではないかと思いますが、テキストだけを買って母親が教えるから残りの600,000円を払わないでも成果が出るのではないだろうかと言う話になるかと思います。残念ながらこれは難しいと思います。というのも他院で治療している矯正中の患者さんがよく途中から医院を変わりたいと相談に来ることがあるのです。

そうすると、残念ながら装置を買っていくら、指導料は別途1回5000円と10,000円とかと言う請求を受けているようなのですが1回や2回位指導を受けたから、成果が出ると言うようなものではないのです。やはり成長期2年間と言う期間を経過を見ながらやっていくことがプログラム全体としてもう仕組みとなっているので、その部分だけを買ったりしてなんとかすると言う事は不可能なわけです。ですが入り口部分としての安さに魅力を感じてしまい、そのような行動をとっている保護者の方がたまに見受けられるようです。非常に残念でなりません。そして結局当院に再度受診をすることになるわけですが、そうするとやはりどうしてもプログラムとしての費用なので全体の費用がかかってしまいます。

よくよく考えて欲しいのですが、もし保護者の方が子供を塾に通わせる場合あるいはスポーツを本格的にやらせようと思っている場合、より安い塾に入れるでしょうか?それよりもその子に成果の出るところを選んだ方が良いのではないでしょうか。高ければ良いと言うわけでは無いですが、安いと言う事はかなり私は危険ではないかと思っています。なぜなら安いと言う事はそのもの自体をその金額で渡すことができるのですが、それ以上のサービス内容、使い方、今後やらなければいけないこと、困ったときにどうしたらいいかなどフォローは何もないと言うことです。これが日本の矯正と、世界の医療における差としての非常に重篤な問題点です。

診断や情報、指導にこそとても価値があり、かつそのことをするために実は下準備や研究教育などにとても費用がそもそもかかっているわけです。そういった形にはなっていない部分に対しての費用を払おうとしない文化が日本にはあるかと思います。一方矯正の先進国アメリカなどではむしろ診断であるとかアドバイスに対してとても高い費用がかかり、全体の総費用の分配の中でそちらに当てられています。スポーツで言えばコーチをしてアドバイスする人間に高いチャージを支払っている有名選手はいっぱいいます。

診査、診断、アドバイスにこそ、価値があります。

Young beautiful woman holding dental aligner orthodontic to teeth correction with happy face near mouth

ドクターから見たマウスピース矯正とワイヤー矯正どちらが良いか?

2023年7月16日

前回、患者様よりワイヤー矯正かマウスピース矯正かどちらが自分に合っているのかと言う話をしました。今回はさらに患者様自身のパーソナルな都合ではなく医学的に見てドクターがどのようにそれを判断していくのかと言う点をさらにお話ししていきたいと思います。

実はその患者様のお口の中の状況において、明らかにこれはワイヤーでやるしかない、もしくは明らかにこれはマウスピース、インビザラインなどでやった方が良いと言う2つに分かれる場合があります。またどちらでもほぼ同じの同等の結果が得られるであろう、という場合もあります。もっと特殊な例としてはワイヤー矯正とマウスピース矯正のコンビネーションをやったほうがいいと言うような場合もあります。ただほとんど多くの場合はワイヤーでもマウスピースでもどちらでもいけると言う診断になる患者さんが圧倒的に多いです。

ですが専門家として歯並び、噛み合わせを見ていく上で、この場合はマウスピースの方が有利であろう、この場合はワイヤーの方が有利であろうと言うことがありますのでそれをお伝えしなければならないシーンもあるのです。ですからもしあなたがマウスピースを希望していたとしても、私が歯科矯正的にどちらのほうが有利であると言うことがある場合には、例えばやはりワイヤーにしたほうがいいと思いますよと、お伝えしてお勧めします。逆にそんなに多くは無いのですがこれはマウスピースでやったほうが有利ですよと言う場合もあります。それはどんな場合かと言うと顎の関節に負荷がかかりすぎていて、顎関節症になっていたりもしくは顎関節症になりそうであったりと言うような場合が考えられます。このような場合は顎の関節に負荷を与える事を考えマウスピースの厚みが約1ミリから2ミリほどあり顎関節のクッションとなるマウスピース矯正を進めていることがあります。

またかなり専門的な話になりますが歯を抜いての矯正の場合には針金の方がワイヤーの方が良い場合が多いです。ですがこのようにここには書いてますがそれでも歯を抜いているにもかかわらずマウスピース矯正でも十分に成果が出る場合もこれまたなんとあるのです。ですのでせっかくやるなら目立たないマウスピースが良いと思っている人でもワイヤーではなくてマウスピースでも充分同等の結果が得られると言う場合もありますのでこれ本当に非常に微妙な話なのです。ですからいろいろなところであなたはどういう方法が良いかと言う情報を得ているのではないかと思いますが、一人一人ケースバイケースだと思ってください。またその矯正の先生がどちらが得意なのかと言うことにも影響がある場合があります。

すなわち例えば、インビザラインなどのマウスピース矯正が得意な人の場合はまず目もっててマウスピース矯正を全面的に進めてくる可能性が高いですし、マウスピース矯正しかやっていないと言う矯正歯科もある位ですから、そうなるとどちらが良いと言うよりはマウスピース矯正で何とかならないかと言うところからどのように歯を動かすべきかと言う治療計画になっていくわけです。一方で矯正の専門医でワイヤーを中心に行っている人たちはあまりインビザラインなどのマウスピース矯正をやろうとはしません。それは1つには大学病院などの矯正歯科ではマウスピース矯正は一般的に行われていなく針金を使ったワイヤー矯正が中心ですのでそのテクニックを駆使したやり方をすることになると言うことなのです。このようなことから非常に患者様にとっては紛らわしい情報が起きているということなのです。

ここから私の個人的な意見を言います。マウスピース矯正、ワイヤー矯正それぞれに得意な動かし方があると言うことがわかっています。ですのでどちらがより有利であるかと言う事は50/50で検討すべきです。その中で明らかにワイヤーの方が有利であるとか、明らかにマウスピースの方が有利であると言うことであればそちらの道に進んだほうがいいです。また4対6くらいの差であれば自分の好みの方を選ぶのも手だと思います。

このようなことからよく相談して話し合って、どの方法で行くのかを決めると言うことをしっかりやるべきです。自分がどのように思っているのか、自分がどのように考えているのかと言うことも重要なのですが、どちらが有利な動かし方となるのかということも検討する必要があるわけです。

そして私は患者さんの希望をよく聞いた上でその希望に沿ってやった方が良い場合はそれを後押しますし、希望に沿わない方法になる場合にはどのような違いがあるのかと言うことを今一度説明しますし、さらに明らかに希望と違う方法に行くしかないと言う状況であれば、もうこちらでやるしかないですよと言うことをきっぱりと伝えています。

そしてさらにこのように散々最初に治療計画を立てても実際には人間の体ですから思ったように全てが動くわけでもないです、そして途中で治療計画を変えてワイヤーからマウスピースに変わったりマウスピースからワイヤーに変わったりと言う患者さんも実際に何人も私も経験しています。

そういう意味において自分の意見を言う事、そしてドクターの意見を受け入れると言うこと、そして予定通りに必ずしも進行するわけでもなくそこから治療計画が大きく変わることもあり得ること、それを受け入れていくと言うことが自分の体にとって最善となると言うことなので、理解してください。

white smile with curvature tooth of young woman on background in studio

マウスピース矯正かワイヤー矯正か?

2023年7月13日

こんにちは先日患者様で、マウスピース矯正にしたいのだが自分の場合はワイヤーの方が合ってるのかマウスピースの方が合っているのかどちらがより適していると言う事はあるのでしょうか?と言う質問がありました。

そうですねよくある質問です。成人の方の場合多くの場合は、マウスピース矯正、インビザラインなどを希望される方が多いです。それはあなたも何となく想像がつくと思いますが、針金が目立たなく見た目的に良さそうと言うことです。後は歯磨きもそんなに大変そうじゃないし、とか、痛くなさそうだし。このような意見がよく聞かれます。一方で成人の方でも、私はワイヤー矯正の方がいいですと、希望される方もいます。

それでその人にどうしてあなたはワイヤーの方がいいと思われるのですか?と聞くと、食事の準備とかしたときに味見をするのだけれども味見をする際にいちいちマウスピースを外したりとか何か自分にはめんどくさい気がする。との事でした。マウスピース矯正の場合は、毎日24時間のうち少なくとも20時間以上は装着していることが必須です。そうするとマウスピースを外して良いのは4時間と言うことになるのですが、安全域を考えれば22時間は見ていたほうがいいと思います。

それでどんな時にマウスピースを外すのか、と言えば、まずは歯磨きをする時、です。毎日3回歯磨きすると思うのですが、その際は当然マウスピースを外して自分の歯を全て磨きます。これもし仮に1回歯磨き15分、ちょっと多めに言っていますが、かかったとして3回やったとして45分外していると言う計算になります。そして後、食事1日3回外したとして食事の時間が仮に1回20分だったとします。そうするとそれで1時間ですね。合計1時間45分と言うことになります。これなら確かに22時間以上入れていてとても安全なようにも思います。

しかしどうでしょう?途中でお茶飲んだりちょっとコーヒー飲んでお菓子少し食べてなんて時間もあると思いますそうするとやっぱりそこにプラス30分ぐらいはなんだか外しそうに思いますよね。さらにですね、もし週末に今日は友達とレストランでご飯を食べるなどと言う状態になった場合、1時間は外してますよね、多分。もしかしたら豪華なディナーをあなたが食べるとなると2時間そこで外すことになるかもしれません。2時間コースです。そうすると1日あたり絶対に必須として入れていておいた方が良い時間20時間ギリギリと言う状況が生まれる可能性があります。

このようなことを様々検討していくと、24時間のうち20時間以上本当に入れてられるような生活スタイルなのか、そしてもっと言うと自分自身が20時間ちゃんと入れていられるような性格なのか?のようなことを検討していくことになります。そしてなおかつ一方でワイヤーでも色々と検討しなければならないことがあり、それは針金を入れた状態で食事をしますし、その針金を入れた状態でその上から歯磨きを丁寧にすると言うことです。すなわち歯磨きの時間はもし5分かかるとすれば、プラス5分かかって10分かかるよと言うことです。しっかり歯を磨いてなければ虫歯になるリスクもあるでしょうし歯周病になるリスクも出てくると言うことなのです。その両者をよく想像してみて自分にはどちらが良いのかと言うことを考えてみる必要があるわけです。

今ここで書いた事は患者さん目線からの自分がどちらに合っているのかと言う話です。すなわちドクターからどちらがあなたの場合は良いのかと言う話ではないです。

ここ重要です。

自分の生活やスタイルや、自分の性格、今まで自分がどんな行動してきたと思うか、また今後の自分の仕事や余暇においてどのような状況でいたいのか。そのような自分自身のパーソナルな見地からどうしたら良いかと言う話をしているのです。

そしてその自分の意見としてはどうだと言うことを一応踏まえて、次回医学的にドクターから見てどうなのかと言うことも考えなくてはいけないのでその点についてさらにお話をしていきたいと思います。

知多ホームニュース・令和3年3月上旬号掲載

2021年3月6日

 

「マウスピース矯正の利点」

 

Dさん(17才)より

「はり金でやった場合と、マウスピースでやった場合では、はり金の矯正の方が優れているのですか?」

 

「Dさんの場合、上の出っ歯と下の曲がっている所を特に治すことになるのですが、マウスピース矯正の場合、0.1mm単位で歯を動かしていくので痛みがでにくい、目立たないということもあり、この方法をお勧めします。

治療法はいくつか考えられますので、何がその人に合っているのか主治医と相談することが大事です。」

 

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home202102上旬

知多ホームニュース・令和3年2月上旬号掲載

2021年2月8日

「矯正治療と舌」

 

Mさん(7才)のお母さんより

「矯正治療を行っていく上で舌の位置はとても大切ですか?」

 

「そうですね、舌の正しい位置を習得することは、矯正治療の成果に大きく関与しています。

具体的な場所は上あごの裏のスポットといわれる位置に舌がくっついていることです。

アニメ動画で説明をしています。

これができなければ、将来後戻りのリスクが高くなることがあります。」

 

 

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ホームニュース202012上旬

知多ホームニュース・令和2年12月上旬号掲載

2020年12月1日

「マウスピース矯正」

 

Mさん(13才)のお母さんより

「こんなに歯が出っ歯になってしまいました。

インビザライン矯正でマウスピースだけで治るのでしょうか?

後でやりなおしではり金を付けることになりますか?」

 

「装置をしっかりはめて使っていれば問題なく良くなっていきます。

それ以外に大切なことは鼻呼吸です。

口を開けていつも息をしていたり舌が下がった位置にあると、どの装置を使ってもよい結果とはなりません。」